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第一章 地下大都市トウキョウ
14.啓司の思い
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啓司は重苦しい気持ちで目覚めた。
大神医師に処方してもらった睡眠導入剤のお陰で久しぶりに長時間眠ることができたが、とても質の良い睡眠とは言えない。
今、何時だろう。
部屋の中を見回しても時計がない。
ウェアラブル端末は取り外されてしまった。
あんな機械ひとつないだけで、すごく心細い。
遠夜は、今朝はちゃんと起きただろうか…
ベッドに起き上ってぼんやりしていると病室のスピーカーから大神医師の声が聞こえた。
「啓司、起きたか」
「はい。おはようございます」
啓司が答えると、大神医師の声は続いた。
「今、食事を運ばせる。
少しでもいいから食べろ」
はい、と口に出す前に病室のドアが開き『失礼します』と人工音声が聞こえて、看護師型ヒューマノイドが食事をワゴンに載せて運んできた。
『お済みになりましたら、ナースコールでお呼びください』
と感情の無い声で言うと、感情の浮かばない瞳で啓司をじっと見て、急に反転して部屋を出て行った。
トウキョウの医療地区メディカルセクションの看護師は殆どが人造人間ヒューマノイドだ。
精神サイキックが病人の場合、生身の看護師だとその思考が勝手に流れ込んできて悪化したり、影響を受けやすいからである。
まったく食欲は湧かなかったが、啓司はテーブルに置かれた食事を少しずつ食べた。
今日の予定は…遠夜はちゃんと会議なんかに参加しているだろうか。
ワガママばかり言って直紀や美都を困らせていないだろうか。
誰からも相手にされなくなったら、どうするつもりなんだまったく。
だけど…
と更に考えて、啓司は思わずフォークを取り落とす。
遠夜がきちんと仕事をこなしていたら?
ワガママなんて言わず直紀や美都と仲良く仕事をやってたら?
啓司がいなくても、全然大丈夫だよなんて言われたら…
俺の方が遠夜に依存しているのかもしれない。
図抜けて頭が良いくせに、甘ったれで幼稚で感情的で、異端児の遠夜。
そう仕向けてきたのは、俺かもしれない。
遠夜に、俺を、頼って欲しくて。
啓司は両手で顔を覆った。
その時、部屋のドアがノックされ「啓司、食事終わったか」と大神医師の声がした。
「あ…はい」
啓司はベッドから落ちたフォークを拾ってプレートに戻した。
大神医師がドアを開けて入ってきた。
「よく眠れたか」
啓司の顔を見てすこし笑う。
「長時間寝たって感じはありますが…」
啓司が言い淀むと引き取って大神医師が言った。
「スッキリはしないか」
「…はい」
大神医師は病室の隅にあった椅子を引っ張ってきて啓司のベッドの横に据えると腰かけた。
「あまり食も進まないな」
「あの…貴彦はどうですか?」
「ああ、大丈夫。
昨日の夜には帰ったよ」
大神医師は安心させるように笑う。
「アイツは誰かの側杖食うのには慣れてるし。
遠夜のお陰で」
「そうですか…」
良かった。
啓司はほっと息をつく。
大神医師に処方してもらった睡眠導入剤のお陰で久しぶりに長時間眠ることができたが、とても質の良い睡眠とは言えない。
今、何時だろう。
部屋の中を見回しても時計がない。
ウェアラブル端末は取り外されてしまった。
あんな機械ひとつないだけで、すごく心細い。
遠夜は、今朝はちゃんと起きただろうか…
ベッドに起き上ってぼんやりしていると病室のスピーカーから大神医師の声が聞こえた。
「啓司、起きたか」
「はい。おはようございます」
啓司が答えると、大神医師の声は続いた。
「今、食事を運ばせる。
少しでもいいから食べろ」
はい、と口に出す前に病室のドアが開き『失礼します』と人工音声が聞こえて、看護師型ヒューマノイドが食事をワゴンに載せて運んできた。
『お済みになりましたら、ナースコールでお呼びください』
と感情の無い声で言うと、感情の浮かばない瞳で啓司をじっと見て、急に反転して部屋を出て行った。
トウキョウの医療地区メディカルセクションの看護師は殆どが人造人間ヒューマノイドだ。
精神サイキックが病人の場合、生身の看護師だとその思考が勝手に流れ込んできて悪化したり、影響を受けやすいからである。
まったく食欲は湧かなかったが、啓司はテーブルに置かれた食事を少しずつ食べた。
今日の予定は…遠夜はちゃんと会議なんかに参加しているだろうか。
ワガママばかり言って直紀や美都を困らせていないだろうか。
誰からも相手にされなくなったら、どうするつもりなんだまったく。
だけど…
と更に考えて、啓司は思わずフォークを取り落とす。
遠夜がきちんと仕事をこなしていたら?
ワガママなんて言わず直紀や美都と仲良く仕事をやってたら?
啓司がいなくても、全然大丈夫だよなんて言われたら…
俺の方が遠夜に依存しているのかもしれない。
図抜けて頭が良いくせに、甘ったれで幼稚で感情的で、異端児の遠夜。
そう仕向けてきたのは、俺かもしれない。
遠夜に、俺を、頼って欲しくて。
啓司は両手で顔を覆った。
その時、部屋のドアがノックされ「啓司、食事終わったか」と大神医師の声がした。
「あ…はい」
啓司はベッドから落ちたフォークを拾ってプレートに戻した。
大神医師がドアを開けて入ってきた。
「よく眠れたか」
啓司の顔を見てすこし笑う。
「長時間寝たって感じはありますが…」
啓司が言い淀むと引き取って大神医師が言った。
「スッキリはしないか」
「…はい」
大神医師は病室の隅にあった椅子を引っ張ってきて啓司のベッドの横に据えると腰かけた。
「あまり食も進まないな」
「あの…貴彦はどうですか?」
「ああ、大丈夫。
昨日の夜には帰ったよ」
大神医師は安心させるように笑う。
「アイツは誰かの側杖食うのには慣れてるし。
遠夜のお陰で」
「そうですか…」
良かった。
啓司はほっと息をつく。
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