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第一章 何処へ?
18.お返事
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このお手紙を読んだのが伊都子姫だったら、お返事はどうするだろう。
あたしは考えこんだ。
感情に任せて、破り捨ててしまうのか(ありそう…)。
それとも、もし伊都子姫も入内していたら同じ立場になっていただろう、宝鏡殿の女御に同情して加勢するか…
っていうかさ!!
あたしは突如、重大なことに気づいた。
あたし、薫物合わせなんて全っ然知らないんだよ!!
加勢するも何も、まるっきりどんなものかどうしたらいいのか、なあんにも判らないんだから、そもそも参加できるわけないじゃん!
やっぱダメだ。断ろう。
あたしはしおらしく俯いて、か細い声を出す。
「…わたくし、やはりできそうにありませんわ。
この状況で、主上や新女御の御前で上手にやれる自信がどうしても持てませんの。
それに、わたくしごときが加わったところで、宝鏡殿の女御側が勝利するとも思えませんし…」
その場にいた皆が一様にガッカリした表情になる。
うう…役立たずでごめんよ…
お殿様がたまりかねたように御帳台の中に入ってくる。
思わず身を引いたあたしの手を取って、涙ながらに言った。
「姫…貴女の辛いお気持ちはよう解る。父にもよっく解りますぞ。
だがのう、姫や。
主上や宝鏡殿の女御それに前の太政大臣殿も、辛いお立場なのだよ。
姫の知識と技術があれば、必ずやお助け申し上げることができるはず」
いやそれが…無いのよ!
知識も技術も、ほんっとに基本的なとこから皆無!
ところが、あたしを囲む円はだんだん狭まってくる。
「左様でございますとも。
姫様の、日頃の薫物に関する鍛錬の成果を発表する、またとない機会でございますわ!」
と式部さん。
「姉上、昨年の薫物合わせの様子を、従者に逐一報告させていたではありませんか。
結果を冊子にまとめて、その上でご自分ならこうするああすると、それはもう姦しいのなんのって。
お忘れですか?」
賢しらに伊靖君が言う。
「そうですわ!
主上に調合したお香を奏上なさいましたし、左近衛中将様だって姫様が差し上げられたお香をそれはそれは喜んでお使いになっていらっしゃいますし」
と衛門さんが励ますように続ける。
左近衛中将様のあの良い匂いは、伊都子姫が調合したお香だったのか…
さっき、ちらっと文机の上の冊子を見たけど、日記とレシピみたいのがあった。
あのレシピみたいのが、伊都子姫の薫物研究の賜物なんだなあ、きっと。
「姫様!どうか、お考えをお改めくださいまし」
内侍さんが泣き落としにかかる。
ううう…
皆して卑怯なり。。
「判ったわよ…
でも無理そうだったら、その場で断るわよ。
それでもいいですね?って書いてよ!」
あたしががっくりと肩を落として言うと、皆は手を取りあわんばかりにして喜び合った。
何故?
そんなに喜ぶの??
内侍さんは嬉々として筆を執る。
美しい手蹟でさらさらと何事かを書く。
あたしはそれを見ながら、すっごく不安だった。
できるかな、あたしに…
あたしは考えこんだ。
感情に任せて、破り捨ててしまうのか(ありそう…)。
それとも、もし伊都子姫も入内していたら同じ立場になっていただろう、宝鏡殿の女御に同情して加勢するか…
っていうかさ!!
あたしは突如、重大なことに気づいた。
あたし、薫物合わせなんて全っ然知らないんだよ!!
加勢するも何も、まるっきりどんなものかどうしたらいいのか、なあんにも判らないんだから、そもそも参加できるわけないじゃん!
やっぱダメだ。断ろう。
あたしはしおらしく俯いて、か細い声を出す。
「…わたくし、やはりできそうにありませんわ。
この状況で、主上や新女御の御前で上手にやれる自信がどうしても持てませんの。
それに、わたくしごときが加わったところで、宝鏡殿の女御側が勝利するとも思えませんし…」
その場にいた皆が一様にガッカリした表情になる。
うう…役立たずでごめんよ…
お殿様がたまりかねたように御帳台の中に入ってくる。
思わず身を引いたあたしの手を取って、涙ながらに言った。
「姫…貴女の辛いお気持ちはよう解る。父にもよっく解りますぞ。
だがのう、姫や。
主上や宝鏡殿の女御それに前の太政大臣殿も、辛いお立場なのだよ。
姫の知識と技術があれば、必ずやお助け申し上げることができるはず」
いやそれが…無いのよ!
知識も技術も、ほんっとに基本的なとこから皆無!
ところが、あたしを囲む円はだんだん狭まってくる。
「左様でございますとも。
姫様の、日頃の薫物に関する鍛錬の成果を発表する、またとない機会でございますわ!」
と式部さん。
「姉上、昨年の薫物合わせの様子を、従者に逐一報告させていたではありませんか。
結果を冊子にまとめて、その上でご自分ならこうするああすると、それはもう姦しいのなんのって。
お忘れですか?」
賢しらに伊靖君が言う。
「そうですわ!
主上に調合したお香を奏上なさいましたし、左近衛中将様だって姫様が差し上げられたお香をそれはそれは喜んでお使いになっていらっしゃいますし」
と衛門さんが励ますように続ける。
左近衛中将様のあの良い匂いは、伊都子姫が調合したお香だったのか…
さっき、ちらっと文机の上の冊子を見たけど、日記とレシピみたいのがあった。
あのレシピみたいのが、伊都子姫の薫物研究の賜物なんだなあ、きっと。
「姫様!どうか、お考えをお改めくださいまし」
内侍さんが泣き落としにかかる。
ううう…
皆して卑怯なり。。
「判ったわよ…
でも無理そうだったら、その場で断るわよ。
それでもいいですね?って書いてよ!」
あたしががっくりと肩を落として言うと、皆は手を取りあわんばかりにして喜び合った。
何故?
そんなに喜ぶの??
内侍さんは嬉々として筆を執る。
美しい手蹟でさらさらと何事かを書く。
あたしはそれを見ながら、すっごく不安だった。
できるかな、あたしに…
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