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第三章 賀茂祭・露頭の儀
18.何故か饗宴
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あたしの部屋の前に牛車は停まり、あたしは東宮に手を取られて降りた。
あー疲れた…
もうダラーっとしたい。
これから東宮と夕食とか、マジで嫌だ!
部屋に入ると、おーっ…
頑張ったわね、右大臣家で働く皆さま。
結構ちゃんと、宴席ぽくなっていた。
お殿様と伊靖君、何故か義光君まで平伏して、東宮を迎えている。
「本日は、わざわざお運び頂き、恐悦に存じ奉ります…」
お殿様が何だか難しい呪文のような言葉を発し、東宮は笑って止める。
「いや、右大臣、急に来たのは私の方ですので、そんな挨拶は無用ですよ。
二の姫のご機嫌はいかがですか」
「は、只今参りますので…」
と畳を重ねた席に誘う。
「民部大輔も来ていたのか」
東宮は義光君に目を止めて声をかける。
義光君は平伏し「は、宮中で治部大輔と居りましたところ、早馬が参りまして東宮殿下が右大臣家にお越しあそばすとのことで、なんか一緒に来てしまいました」と言った。
東宮は笑って「そうか。それは災難だったな」と言いながら上座に座った。
あたしを手招きして、横に座らせる。
めんどくさい…お酌なんかできないぞ。
あたし付きの女房さんが出払っているので、少輔さんと小侍従さんという女房さんが二人でこまごまと世話をしてくれる。
お膳の上には先附というか、お通しみたいにささみの梅肉和えが載っている。
飾りの紫蘇の緑が美しく映える。
「お、さっそく、姫の創作料理ですか」
盃にお酒を注いでもらって、お膳を見て嬉しそうに言う。
「山鳥のささみという部分を使っております。
干した梅を塩漬けにしてほぐしたもので和えてあります」
あたしが説明すると、ほお…とあたしを見て感心したように呟く。
「では、東宮殿下の御来訪を祝して。乾杯!」
とお殿様が上機嫌で音頭を取り、あたしたちは「乾杯!」と唱和する。
東宮はささみを恐る恐る口に入れ、おお、と感嘆の声をあげる。
「酸い中にも旨味がありますね…このささみというのは、美味しいものですね」
そうでしょ。高たんぱく低カロリー、太りすぎの殿上人には、嬉しいヘルシーメニューよ。
とも言えないので、黙って微笑む。
そこへ「失礼いたします、二の姫様にございます」と声がして、二の姫が入ってきた。
女房さんに支えられてなんとか東宮の前まで来ると、頽れるように座って東宮に頭を下げる。
折れそうにか細い体躯。
十二単が重そう…
「東宮様、ご無沙汰しております。
本日のお越し、誠に嬉しく存じます」
可愛らしく細い声で口上を述べる。
「二の姫、お久しぶり。
お加減はいかがですか」
東宮は優しく尋ねる。
二の姫、顔色悪いなあ…
気を失ってしまうんじゃないかと心配でじっと見つめていると、二の姫は辛そうに身体をあたしの方に向けて頭を下げた。
「姉様、ご快癒なさったようで、おめでとう存じます。
お見舞いにも伺えず、申し訳ありません…っ」
細い身体を二つに折るようにしてゴホゴホと咳き込む。
「ありがとう。
でもわたくしのことはどうでも良いのよ、貴方の方こそ、あまり具合が良くないようね。
ご無理なさらず、お休みになって」
あたしが言うと、東宮も「うん、そうしてください」と言葉を添える。
「申し訳ありません。
…失礼させていただきます…」
咳き込みながら、またよろよろと部屋を出て行った。
あー疲れた…
もうダラーっとしたい。
これから東宮と夕食とか、マジで嫌だ!
部屋に入ると、おーっ…
頑張ったわね、右大臣家で働く皆さま。
結構ちゃんと、宴席ぽくなっていた。
お殿様と伊靖君、何故か義光君まで平伏して、東宮を迎えている。
「本日は、わざわざお運び頂き、恐悦に存じ奉ります…」
お殿様が何だか難しい呪文のような言葉を発し、東宮は笑って止める。
「いや、右大臣、急に来たのは私の方ですので、そんな挨拶は無用ですよ。
二の姫のご機嫌はいかがですか」
「は、只今参りますので…」
と畳を重ねた席に誘う。
「民部大輔も来ていたのか」
東宮は義光君に目を止めて声をかける。
義光君は平伏し「は、宮中で治部大輔と居りましたところ、早馬が参りまして東宮殿下が右大臣家にお越しあそばすとのことで、なんか一緒に来てしまいました」と言った。
東宮は笑って「そうか。それは災難だったな」と言いながら上座に座った。
あたしを手招きして、横に座らせる。
めんどくさい…お酌なんかできないぞ。
あたし付きの女房さんが出払っているので、少輔さんと小侍従さんという女房さんが二人でこまごまと世話をしてくれる。
お膳の上には先附というか、お通しみたいにささみの梅肉和えが載っている。
飾りの紫蘇の緑が美しく映える。
「お、さっそく、姫の創作料理ですか」
盃にお酒を注いでもらって、お膳を見て嬉しそうに言う。
「山鳥のささみという部分を使っております。
干した梅を塩漬けにしてほぐしたもので和えてあります」
あたしが説明すると、ほお…とあたしを見て感心したように呟く。
「では、東宮殿下の御来訪を祝して。乾杯!」
とお殿様が上機嫌で音頭を取り、あたしたちは「乾杯!」と唱和する。
東宮はささみを恐る恐る口に入れ、おお、と感嘆の声をあげる。
「酸い中にも旨味がありますね…このささみというのは、美味しいものですね」
そうでしょ。高たんぱく低カロリー、太りすぎの殿上人には、嬉しいヘルシーメニューよ。
とも言えないので、黙って微笑む。
そこへ「失礼いたします、二の姫様にございます」と声がして、二の姫が入ってきた。
女房さんに支えられてなんとか東宮の前まで来ると、頽れるように座って東宮に頭を下げる。
折れそうにか細い体躯。
十二単が重そう…
「東宮様、ご無沙汰しております。
本日のお越し、誠に嬉しく存じます」
可愛らしく細い声で口上を述べる。
「二の姫、お久しぶり。
お加減はいかがですか」
東宮は優しく尋ねる。
二の姫、顔色悪いなあ…
気を失ってしまうんじゃないかと心配でじっと見つめていると、二の姫は辛そうに身体をあたしの方に向けて頭を下げた。
「姉様、ご快癒なさったようで、おめでとう存じます。
お見舞いにも伺えず、申し訳ありません…っ」
細い身体を二つに折るようにしてゴホゴホと咳き込む。
「ありがとう。
でもわたくしのことはどうでも良いのよ、貴方の方こそ、あまり具合が良くないようね。
ご無理なさらず、お休みになって」
あたしが言うと、東宮も「うん、そうしてください」と言葉を添える。
「申し訳ありません。
…失礼させていただきます…」
咳き込みながら、またよろよろと部屋を出て行った。
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