三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第三章 賀茂祭・露頭の儀

19.二の姫の病の正体

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 東宮は心配そうに見送り、伊靖君の酌をしていた二の姫付きの女房さんを呼んで尋ねる。
 「二の姫の、病のご様子は?」

 女房さんは「あ、はい…」と言って東宮の盃にお酒を満たす。
 どう伝えようかと考えているようだった。
 「お疲れが激しく、とみにおみ足の痺れが酷くなられて…日常生活の所作にも影響がでて居られます。
 時々、心の臓が苦しいと仰せになることも」

 「そうか…」
 東宮は表情を曇らせて、盃を呷るとささみを口に運ぶ。
 あたしは、女房さんの話を聞いて、考えていた。
 「ねえ、最初は食欲がないとか、全身がけだるいとか、そんな症状あった?」
 
 女房さんに訊くと、しばらく思い出しているふうだったが
 「あ、そう申せば、そうでした。
 最近疲れやすいの、食欲がないのと仰せになって居られて…だんだんおみ足がむくんで痺れなどが…」
 と言った。

 脚気《かっけ》じゃないか、それ?
 ビタミンB1の欠乏症だよ!

 以前に、医者が江戸時代にタイムスリップするというTVドラマがあって脚気の話が出てきた。
 そのころちょうど学校の家庭科の授業でビタミン摂取の話を聞いて、脚気のこと少し調べてみたんだよね。
 二の姫の現在の症状を聞いてると、脚気の中期症状くらいに思える。
 膝蓋腱反射やってみれば一発なんだけど、貴族の令嬢相手にそういうわけにもいかないしなあ。

 えーっと、治療は…何を食べればいいんだったっけ。
 豚肉が一番いいんだけど…
 そうだ、玄米だ!
 
 「加持祈祷かじきとうを良くする僧侶にここへいらしていただくように、手配しましょう」
 東宮はお殿様に言っている。
 お殿様は平伏して「ありがとうございます。なんとお優しい…きっと二の姫の病もすぐに治りますでしょう」と有り難がっている。

 あたしが伊都子姫に突き飛ばされてここへ来た時。
 葬式のお経かと思った読経は、加持祈祷というものだったというのは後から知った。

 「加持祈祷なんて意味ないわ。
 二の姫に必要なのはお祈りなんかじゃない、ビタミンB1よ。
 あたしが治してみせる」
 東宮とお殿様の非科学的な話に辟易したあたしは、心のつぶやきを思わず口に出して言ってしまった。

 東宮とお殿様、そこにいた皆が唖然としてあたしを見つめる。
 やば…

 そこへ、天の助けか、料理長自ら「失礼いたします、伊都子姫様の創作料理にございます」と言いながら、侍女さん達数人を従えて入ってきた。
 おっ!やったっ!
 けんちんうどんと茶碗蒸し!
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