三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第四章 上達部との交流

8.東宮からの贈り物

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 東宮が突然訪問してきた日の翌々日、「月子姫!」という声が外から聞こえて、あたしは義光君?と御簾を上げて外を見た。
 
 「なに、どうしたの?」
 「東宮殿下から、月子姫に贈り物ですよ」
 と、手に持っていたものを掲げて見せる。

 ん?手綱?
 …って、義光君の後ろにいるのは、…馬!
 白くて所々に茶色の斑点のある、小柄な馬。
 足が太くてずんぐりむっくりな感じ、可愛い。

 「えっ?」
 あたしが驚いて外廊下に出て端近に寄ると、義光君はあたしの目の前まで馬をいてきた。
 「淡香花うすこうかという名前だそうです。
 淡香色の斑が花のように散っているからだとか」

 淡香花…可愛い名前!
 あたしは、淡香花の白いたてがみに触れる。

 「一昨日、伊靖が言っていたことを覚えて居られて、女人でも乗れそうな馬を選んでくださったそうです。
 大人しくて我慢強い馬だそうですから…」

 あ、伊靖君が東宮の前で、あたしが馬に乗りたいと言ったと厩舎の舎人頭が泣きついたって言ったあれかあ。
 よく覚えてるな。
 そして行動が早いなぁ。

 「今日、殿下が私をお召しになって、淡香花を姫にお届け申し上げるようにと。
 何故、私なのかはもう理由を聞かずともバレているようで。
 力の差を見せつけられた感じです」
 ははは、と笑う。

 「乗馬の手ほどきもして差し上げるようにと申しつけられました。
 あ、私はこれでも、伊靖よりは全然上手なんですよ。
 左近衛中将様には敵いませんが…」

 ああ、そうなんだ。
 でも、やっぱりせっかくなら元信様に教えてもらいたいなあ。
 と思っていると、義光君は首を振って「難しいでしょうね」と言った。

 「左近衛中将様は只今、宮中で大変お忙しくていらっしゃって、主上からの信も篤い。
 必要以上に忙しいのは、主上の私情も多分にあるとは、宮中の皆が噂しておりますが…
 最近は東宮殿下も、左近衛中将様にちょっと辛く当たられたりして」
 
 「月子姫という女人を真ん中にして、三つ巴と言ったところでしょうか。
 私も末席ながら参加させていただきたいのだが、如何いかんせん、他の方の身分が高すぎる」

 そう言うと、あたしの方にぐっと顔を近づけて「でも、私は諦めていませんから」と囁く。
 「月子姫が私を選んでくだされば良い話ですからね」
 
 イヤ、悪いけどそれはないな。
 この場所で酔っ払ったあたしに無理矢理キスしてたところを元信様に見つかって「本気で殺されるかと思いました…」ってビビってたくせに。

 「今日は淡香花も疲れているでしょうから、明日から始めましょうか。
 私は厳しい先生ですよ、お覚悟を」
 と笑いながら厩舎に牽いていってしまった。

 凄いなあ…東宮って。
 馬をポンとプレゼントしてくれるんだ。
 
 あたしを真ん中にして、主上と東宮と元信様の三つ巴…?

 まさか!
 あたしがそんなにモテて良い筈がない!
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