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第五章 四人きょうだい
6.二人の決意
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あたしは思いついて、東宮が「そんな筈はない」と呟いたことを話した。
元信様は顔色を変えて、口に手をあてる。
「なんと…そんなことを…
全然喜んでおられる様子がないので、おかしいと思ってはいたのです。
主上からお祝いの言葉を賜っても、ずっと険しい表情で。
主上もめでたいことなのに、と訝しんでいらっしゃった」
元信様はしばらく考えに沈んでいた。
やがて顔を上げてあたしを見た。
「やはり主上にご相談申し上げてみます。
東宮殿下が姫を后に望まれたら、止められるのは主上だけです」
「主上は、私が姫を頂きたいとお願い申し上げた時にも、ずいぶん反対なさいました。
まあ私は右大臣殿の政敵である、左大臣の息子だという理由もあったわけですが。
やはり一番の理由は、姫が誰か他の男の妻になられるのを耐えがたく思われたのでしょう」
東宮がそこまでの強硬手段に出るかはわからないけど…
うーんでも、勢いでやっちゃうかもな、あの人なら。
「それから、暁の上様のご懐妊についても…
以前に兄からちらっとお噂を聞いたことがあって。
兄にも真偽を確認して、主上に奏上してみます」
そこまで言うと、あたしの髪を愛しそうに撫でて、肩に手を回して引き寄せた。
「殿下が無体なことをなさったとき、私が姫のお側にいたかった。
私が姫をお守りしたかった…悔しくて仕方ない…」
「結果的には守ってくださったんだし…
わたくしは嬉しかったです」
あたしは、元信様が優しく髪をなでてくれるリズムにすごく安心して目を閉じた。
「今日の幾望会での、堂々たる女主人ぶりも素晴らしかったですよ。
参加者の皆様が、口を極めて褒めていらっしゃいました。
私もとても誇らしかったです」
「東宮殿下との息もぴったりで、そこは私としてはどうしても嫉妬してしまうわけですが…
殿下も次回を楽しみになさって居られるようでした」
「え?まだ続くんですの?」
あたしは驚いて訊いた。
赤ちゃん生まれるんでしょうよ、あたしなんかと遊んでる暇あるの?
「殿下はそのつもりでいらっしゃるようでしたよ。
…それも悪い方に転ばなければ良いが…」
あたしの髪にキスしながら呟く。
はあ、なんだかよく判らないけど、宮廷って権謀術数が渦巻いているのね…
あたしは欠伸した。
元信様は小さく笑う。
「申し訳ありません、深夜に叩き起こしてしまって。
全然安心できる事態でないことは解りました」
「私は絶対に貴女を手放さない」
と言って、唇にキスする。
「貴女は、どうですか。
東宮殿下の思し召しに背くことで、大臣の立場をさらに悪くし、伊靖君の出世の道を閉ざす結果になるかもしれない」
身体を離し、真剣な瞳であたしの目を覗き込む。
あたしは一度目を瞑って、開いてまっすぐに元信様を見た。
にっこり笑う。
「わたくしは元信様と共に」
言いかけたところで、苦しいほど抱きしめられる。
「姫…愛している…狂おしいほどに」
耳元で囁いて、深く口づけた。
この後、あたしたちは皆、抗えない大きな運命の渦に巻き込まれることになる。
元信様は顔色を変えて、口に手をあてる。
「なんと…そんなことを…
全然喜んでおられる様子がないので、おかしいと思ってはいたのです。
主上からお祝いの言葉を賜っても、ずっと険しい表情で。
主上もめでたいことなのに、と訝しんでいらっしゃった」
元信様はしばらく考えに沈んでいた。
やがて顔を上げてあたしを見た。
「やはり主上にご相談申し上げてみます。
東宮殿下が姫を后に望まれたら、止められるのは主上だけです」
「主上は、私が姫を頂きたいとお願い申し上げた時にも、ずいぶん反対なさいました。
まあ私は右大臣殿の政敵である、左大臣の息子だという理由もあったわけですが。
やはり一番の理由は、姫が誰か他の男の妻になられるのを耐えがたく思われたのでしょう」
東宮がそこまでの強硬手段に出るかはわからないけど…
うーんでも、勢いでやっちゃうかもな、あの人なら。
「それから、暁の上様のご懐妊についても…
以前に兄からちらっとお噂を聞いたことがあって。
兄にも真偽を確認して、主上に奏上してみます」
そこまで言うと、あたしの髪を愛しそうに撫でて、肩に手を回して引き寄せた。
「殿下が無体なことをなさったとき、私が姫のお側にいたかった。
私が姫をお守りしたかった…悔しくて仕方ない…」
「結果的には守ってくださったんだし…
わたくしは嬉しかったです」
あたしは、元信様が優しく髪をなでてくれるリズムにすごく安心して目を閉じた。
「今日の幾望会での、堂々たる女主人ぶりも素晴らしかったですよ。
参加者の皆様が、口を極めて褒めていらっしゃいました。
私もとても誇らしかったです」
「東宮殿下との息もぴったりで、そこは私としてはどうしても嫉妬してしまうわけですが…
殿下も次回を楽しみになさって居られるようでした」
「え?まだ続くんですの?」
あたしは驚いて訊いた。
赤ちゃん生まれるんでしょうよ、あたしなんかと遊んでる暇あるの?
「殿下はそのつもりでいらっしゃるようでしたよ。
…それも悪い方に転ばなければ良いが…」
あたしの髪にキスしながら呟く。
はあ、なんだかよく判らないけど、宮廷って権謀術数が渦巻いているのね…
あたしは欠伸した。
元信様は小さく笑う。
「申し訳ありません、深夜に叩き起こしてしまって。
全然安心できる事態でないことは解りました」
「私は絶対に貴女を手放さない」
と言って、唇にキスする。
「貴女は、どうですか。
東宮殿下の思し召しに背くことで、大臣の立場をさらに悪くし、伊靖君の出世の道を閉ざす結果になるかもしれない」
身体を離し、真剣な瞳であたしの目を覗き込む。
あたしは一度目を瞑って、開いてまっすぐに元信様を見た。
にっこり笑う。
「わたくしは元信様と共に」
言いかけたところで、苦しいほど抱きしめられる。
「姫…愛している…狂おしいほどに」
耳元で囁いて、深く口づけた。
この後、あたしたちは皆、抗えない大きな運命の渦に巻き込まれることになる。
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