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第五章 四人きょうだい
5.元信様の乱入
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その後、もう夜も更けたころに元信様が息せき切って駆け込んできた。
あたしは幾望会で疲れ切り、その上、大泣きしたりして眠くてもう寝ていたんだけど、外廊下の蔀をガタン!と音をたてて持ち上げて走りこんできた元信様に叩き起こされた。
「姫!先ほどの、あの状態は何だったのですかっ!」
大声で言って、あたしを強引に褥から抱き起こす。
あたしは眠くてぼーっと元信様の顔を見た。
「殿下にお訊きしても終始ご機嫌斜めで何も答えて下さらないし、私はもう心配で心配で…
民部大輔と東宮殿下と、いったい何があったのですか?!」
元信様はあたしの両肩をつかんで、真剣な顔で問いただす。
「姫、答えてください。
あれは、…なんだったのですか…」
そう言うと、うつむいて涙を零す。
「元信様、落ち着いてくださいませ…」
あたしはこんな時に不謹慎だと思いながらも、欠伸をしてしまう。
だって疲れてるんだよ~…
「ああ…お疲れですよね。今日は本当にお疲れ様でした。
だけど、私は、あの光景がずっと目の前にちらついて、まったく何も手につかないのです。
見間違いであってくれと何度も思うのですが、やはりそうではなかったと思い直して」
あたしをぎゅっと抱きしめる。
「姫、姫、私を安心させて…
もうどうにかなってしまいそうだ」
安心…はさせられないかもな。
すまんこってす。
あたしはだんだん覚醒してきた頭を振って、元信様に事の経緯を話した。
元信様はじっと黙って聞いていたが、次第にぐっと唇をかみしめて何かに耐えるような表情になる。
「そうですか…
殿下が強硬手段に出たら、私ごときでは太刀打ちできない。
父や太政大臣殿でもダメでしょう。
右大臣殿は、姉妹姫で殿下に輿入れさせても構わないとお思いになるかもしれない。
姫か二の姫、どちらかが皇子をお産みになれば、ご自身が朝廷で返り咲けるかもしれないから」
えーっ!そんなことあるかなぁ…
以前、東宮は二の姫の許嫁なんだから、色目使うなみたいに言われたし。
「暁の上様のご懐妊で、宮廷も大騒ぎです。
東宮殿下にお輿入れあそばした関白殿の御娘御はまだご懐妊なさって居られない。
太政大臣殿はそれはもう、大はしゃぎで。
男皇子をお産みまいらせるように加持祈祷の僧をたくさん集めるよう、大声で指示なさったり」
妊娠した時点で、もう性別は決まってるんだよ。
…なんて知ってても言えないわ。
あたしは幾望会で疲れ切り、その上、大泣きしたりして眠くてもう寝ていたんだけど、外廊下の蔀をガタン!と音をたてて持ち上げて走りこんできた元信様に叩き起こされた。
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「殿下にお訊きしても終始ご機嫌斜めで何も答えて下さらないし、私はもう心配で心配で…
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「姫、答えてください。
あれは、…なんだったのですか…」
そう言うと、うつむいて涙を零す。
「元信様、落ち着いてくださいませ…」
あたしはこんな時に不謹慎だと思いながらも、欠伸をしてしまう。
だって疲れてるんだよ~…
「ああ…お疲れですよね。今日は本当にお疲れ様でした。
だけど、私は、あの光景がずっと目の前にちらついて、まったく何も手につかないのです。
見間違いであってくれと何度も思うのですが、やはりそうではなかったと思い直して」
あたしをぎゅっと抱きしめる。
「姫、姫、私を安心させて…
もうどうにかなってしまいそうだ」
安心…はさせられないかもな。
すまんこってす。
あたしはだんだん覚醒してきた頭を振って、元信様に事の経緯を話した。
元信様はじっと黙って聞いていたが、次第にぐっと唇をかみしめて何かに耐えるような表情になる。
「そうですか…
殿下が強硬手段に出たら、私ごときでは太刀打ちできない。
父や太政大臣殿でもダメでしょう。
右大臣殿は、姉妹姫で殿下に輿入れさせても構わないとお思いになるかもしれない。
姫か二の姫、どちらかが皇子をお産みになれば、ご自身が朝廷で返り咲けるかもしれないから」
えーっ!そんなことあるかなぁ…
以前、東宮は二の姫の許嫁なんだから、色目使うなみたいに言われたし。
「暁の上様のご懐妊で、宮廷も大騒ぎです。
東宮殿下にお輿入れあそばした関白殿の御娘御はまだご懐妊なさって居られない。
太政大臣殿はそれはもう、大はしゃぎで。
男皇子をお産みまいらせるように加持祈祷の僧をたくさん集めるよう、大声で指示なさったり」
妊娠した時点で、もう性別は決まってるんだよ。
…なんて知ってても言えないわ。
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