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第五章 四人きょうだい
26.縫姫との会話
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元信様の腕の中で泣きながら寝てしまったらしく、目を覚ますと褥の中にいた。
暑い…何でこんなに上掛けがかけてあるんだ…
ぐぁー…泣きすぎて頭痛てー…
顔が腫れぼったい。
起き上がって文机の上の手鏡を取り、顔を映すと。
おわ、酷い顔。
視線を感じて鏡の中の腫れ腫れの顔から眼を転じると、てっきり女房さんの誰かだと思っていた人が縫姫とわかり、あたしは思わず鏡を取り落とした。
「縫姫…」
「おはようございます…というのも変な時間でございますが…
お目覚めはいかがですか。
今朝は申し訳ございませんでした」
手をついて深く頭を下げる。
「いえ…こちらこそ、みっともないところをお見せしちゃって」
あたしは曖昧で朦朧とした記憶を辿る。
なんだっけ…心に溜まっていたいろんな感情が、縫姫の水無月会退会宣言でうわーっと溢れだしちゃって、大泣きしちゃったんだ。
元信様が抱きしめてくれて、なんか言ってたけど…なんて言ってたのかな。
自分の感情にしか意識が向いてなかった。
「あの…伊都子姫様、水無月会のことなのですが…」
と、縫姫は言いにくそうに話しだす。
「今朝の発言は撤回と申しますか…引き続き、参加させて頂けたらと、思います」
「えっホントにっ?!」
あたしは腫れた顔のことも忘れて、身を乗り出す。
縫姫は苦笑して、あたしに濡らした布を差し出す。
「目にお当てください」
と言われて、あたしは素直に受け取って目に当てる。
おお、冷たくて気持ちいい…
「そのままでお聴きくださいませ。
伊都子姫様がわたくしと仲良くしたいとおっしゃってくださって、とても嬉しゅうございました。
引き留めて、泣いてくださったことにも感動しました」
「あの後、左近衛中将様がわたくしの局をお訪ねになり、いろいろとお話をしてくださいました。
伊都子姫様が、いつも如何にして生活を楽しみ、人生を慈しむ努力をなさって居られるかということ。
いかにご家族や右大臣家に仕える下々の者にまで、日々心配りをして過ごされているかということ」
「東宮様やその他の公達と共にただ楽しんでいるように思われるけれど、実は事前にさまざま準備したり飽きさせない工夫を、常人にはない想像力で次々と生み出して居られるということ。
それは易々とやっているように見えて、とても精神的圧力のかかる作業であること」
「そうおっしゃられてみると今日の庚申待も、伊都子姫様が次々に手妻のように出してくださる催し物や食べ物を、わたくし達はただ楽しんだだけであったと思いいたりました。
石鹸などという、珍しくて素敵な賞品まで用意してくださって」
元信様…
あたしは驚きとともに、泣きたいほどに嬉しかった。
こんなに深く、あたしのことを見て、理解してくれてるんだ。
まだ、知り合ってから日も浅いのに…
「左近衛中将様はわたくしに、伊都子姫様の姉として、伊都子姫様を手助けして欲しいとおっしゃられました。
御仏とのお約束を破ってしまったことも、とてもお心に負荷をかけているはずだからと。
許嫁の自分が不甲斐ないので申し訳ないとおっしゃって居られました」
あたしは布を目から外した。
縫姫は、手を差し出し布を受け取って、また濡らしてくれた。
「左近衛中将様が心から伊都子姫様を愛していらっしゃることに、わたくしは感動いたしました。
微力ではございますが、何かお手伝いできたらと存じます」
そこで言葉を切って、縫姫はあたしに微笑みかけた。
「仲良くしてくださいませ」
暑い…何でこんなに上掛けがかけてあるんだ…
ぐぁー…泣きすぎて頭痛てー…
顔が腫れぼったい。
起き上がって文机の上の手鏡を取り、顔を映すと。
おわ、酷い顔。
視線を感じて鏡の中の腫れ腫れの顔から眼を転じると、てっきり女房さんの誰かだと思っていた人が縫姫とわかり、あたしは思わず鏡を取り落とした。
「縫姫…」
「おはようございます…というのも変な時間でございますが…
お目覚めはいかがですか。
今朝は申し訳ございませんでした」
手をついて深く頭を下げる。
「いえ…こちらこそ、みっともないところをお見せしちゃって」
あたしは曖昧で朦朧とした記憶を辿る。
なんだっけ…心に溜まっていたいろんな感情が、縫姫の水無月会退会宣言でうわーっと溢れだしちゃって、大泣きしちゃったんだ。
元信様が抱きしめてくれて、なんか言ってたけど…なんて言ってたのかな。
自分の感情にしか意識が向いてなかった。
「あの…伊都子姫様、水無月会のことなのですが…」
と、縫姫は言いにくそうに話しだす。
「今朝の発言は撤回と申しますか…引き続き、参加させて頂けたらと、思います」
「えっホントにっ?!」
あたしは腫れた顔のことも忘れて、身を乗り出す。
縫姫は苦笑して、あたしに濡らした布を差し出す。
「目にお当てください」
と言われて、あたしは素直に受け取って目に当てる。
おお、冷たくて気持ちいい…
「そのままでお聴きくださいませ。
伊都子姫様がわたくしと仲良くしたいとおっしゃってくださって、とても嬉しゅうございました。
引き留めて、泣いてくださったことにも感動しました」
「あの後、左近衛中将様がわたくしの局をお訪ねになり、いろいろとお話をしてくださいました。
伊都子姫様が、いつも如何にして生活を楽しみ、人生を慈しむ努力をなさって居られるかということ。
いかにご家族や右大臣家に仕える下々の者にまで、日々心配りをして過ごされているかということ」
「東宮様やその他の公達と共にただ楽しんでいるように思われるけれど、実は事前にさまざま準備したり飽きさせない工夫を、常人にはない想像力で次々と生み出して居られるということ。
それは易々とやっているように見えて、とても精神的圧力のかかる作業であること」
「そうおっしゃられてみると今日の庚申待も、伊都子姫様が次々に手妻のように出してくださる催し物や食べ物を、わたくし達はただ楽しんだだけであったと思いいたりました。
石鹸などという、珍しくて素敵な賞品まで用意してくださって」
元信様…
あたしは驚きとともに、泣きたいほどに嬉しかった。
こんなに深く、あたしのことを見て、理解してくれてるんだ。
まだ、知り合ってから日も浅いのに…
「左近衛中将様はわたくしに、伊都子姫様の姉として、伊都子姫様を手助けして欲しいとおっしゃられました。
御仏とのお約束を破ってしまったことも、とてもお心に負荷をかけているはずだからと。
許嫁の自分が不甲斐ないので申し訳ないとおっしゃって居られました」
あたしは布を目から外した。
縫姫は、手を差し出し布を受け取って、また濡らしてくれた。
「左近衛中将様が心から伊都子姫様を愛していらっしゃることに、わたくしは感動いたしました。
微力ではございますが、何かお手伝いできたらと存じます」
そこで言葉を切って、縫姫はあたしに微笑みかけた。
「仲良くしてくださいませ」
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