三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第六章 運命の歯車

17.第二回幾望会・1

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 第二回幾望会の二、三日前から、東宮から手紙が矢継ぎ早に日に何度も来るようになった。
 伊靖君や義光が言っていたように、今回のゲストはかなり気を遣う方々らしい。

 まつりごとと関係ない遊びの会とは言っても、やっぱりまったく切っては考えられないのかな。
 男の人も大変だ。

 …と、考えたあたしは、自分で返事を書いてなるべく早く送るようにしていた。
 そしたら、幾望会の前日に来た元信様が、笑って言った。

 「ここ数日、姫からお文がたくさん来ると、東宮殿下がとてもお喜びでしたよ。
 その場に使いの者を待たせて、主上の目の前でお返事を書かれたりして。
 主上も苦笑なさって、関白殿は呆れて居られました」

 なあんだそれえ。
 あたしは拍子抜けっていうか、全身から力が抜けた。

 とことん、そういう奴なんだね、東宮って…
 気を遣って損した。
 あたしの時間と労力を返せ。

  第二回幾望会は、蒸し暑い日だった。
 あーもーやだなー、もっと涼しくなってからやろうよ…

 夕刻、またも牛車の列が右大臣家の門前にでき、近隣の住民が集まってきて大路はえらい騒ぎになった。
 
 内裏から借りた衛士えじでは足りず武士もののふにも来てもらって、交通整理をしてもらう。
 もう…皆さま、お乗り合わせでお願いしますよ。

 何でこんなに車が多いんだと疑問に思っていたら、強引に権中納言様と右近衛大将様が来ちゃったらしい。
 伊靖君の部屋で、義光も一緒に遊んで過ごすんだってさ。
 伊靖君もこんな姉を持ったばかりに、いい迷惑だよね、ごめんね。

 人が集まると部屋がどうしても暑くなるので、もう几帳は立てない。
 ホンット、平安時代の姫君にはあるまじき行為だけれど、東宮から皆、さんざん話を聞いて知っているのであまり気にしていないらしい。
 
 嫌がってるのは元信様くらい。
 すまないねえ、こんな許嫁で…
 
 臨時で屋敷中の女房さん達が集められ、手伝ってくれる。
 新しく入ったという、二の姫付の女房さんは挨拶に来て「伊都子姫様、お目もじが叶いまして大変嬉しゅうございます…まあ…草紙の通りで…」と目を見張ってあたしを見ていた。

 なに?なんなの?
 あたしが訊こうとすると、すっと頭を下げ、下がって行ってしまった。

 先触れの声が次々と上がり、貴公子たちが入ってくる。
 無礼講と言ってあるので、皆さん平服の直衣。
 お、っしゃれ~…

 あたしはもう、とにかく暑いのが嫌なので、袿を二枚くらい重ねただけの軽装。
 それでも下着と合わせると結構な嵩になって、決して決して涼しくはない。
 後ろでひたすら団扇で仰いでくれてる式部さんありがとう。

 一番に入ってきた、水色の直衣の若い公達が、あたしの前に来て座り、手をついて頭を下げる。

 「初めまして、伊都子姫様。
 弟がお世話になっております」

 ん?弟?誰?
 あたしが思っていると、その公達は顔を上げあたしを見て微笑む。
 あっ!

 「元信の兄の、定信でございます。
 お見知りおきを…」
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