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第六章 運命の歯車
18.第二回幾望会・2
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「あっ、お、兄様でいらっしゃいましたか。
お世話になっております。
元信様には、その、ご迷惑をかけっぱなしで…」
あたしはしどろもどろになりながら、とにかく頭を下げる。
お兄様は「お顔をあげてください」と優しく言う。
「こちらこそ、意固地な弟でご迷惑をおかけしております。
もっと上手に、他人に頼ることを覚えなさいと常々申してはおるのですが…
今宵は楽しみにして参りました。
どうぞよろしくお願いもうしあげます」
言って爽やかに微笑むと立ち上がり、女房さんに案内されて座席につく。
元信様と全然タイプが違うけど、でも顔立ちが似ていて(お兄様の方が平安的美男子)、あたしはちょっと見惚れてしまった。
その次にあたしの前に座ってお辞儀をしてくれたのは、緋色の直衣にお洒落に飾りをつけた、歳は元信様と同じくらいの公達だった。
「初めまして、伊都子姫。
東宮殿下に、猟官運動のように再三お願い申し上げて、やっとお目通りが叶いました。
今日は朝から楽しみにしておりました」
ニコニコしながら話す。
明るい人のようだな、伊都子姫とは初対面らしい。
…っていうか、東宮、あまりハードル上げないで…
期待していたほど楽しくなかったらどうしよう。
チキンハートが震えるわ。
その後に挨拶してくれたのは、深い緑色の直衣の、真面目そうな人だった。
歳は、元信様のお兄様くらいかな?
二十代前半、って感じ。
「伊都子姫、お初にお目にかかります。
本日はお招きにあずかりまして、大変嬉しく思っております」
と固い口調で言って、こきっと音が鳴りそうな感じで頭を下げる。
うわぁ…幾望会には向いてないんじゃ…
何でこんな人にしたんだろ。
あたしは不安を覚える。
「愛しの月子姫、ご機嫌麗しくあそばしますか」
と、もう酔っぱらってんのかい、って感じで浮かれて入ってきたのは東宮。
麗しくないよ。
あんたのせいだよ。
あたしは昨夜、元信様から聞いた話を思い出してぶすっとする。
東宮はあたしを見てから、式部さんに指示して東宮の座所をあたしの隣に移動させ、そこに座ってあたしの手を取る。
「庚申待からお会いできず、私は本当に寂しく思っていたのですよ。
ここ数日はお文を度々頂き、貴女も私と同じお気持ちで居られるのだと確信いたしましたが」
そうじゃねーよっ!
なんだこの、どこまでもポジティブ思考。
少し分けてくれ、元信様に。
あたしが何度も手を振り払うのにも構わず、東宮はあたしの手を執拗に握る。
目の前の貴公子たちが、それを見て息を飲むのが判る。
お、ほほほ…わたくしは、かの有名な石の姫でございますから…
東宮は立ち上がり、そこにいる皆を見回す。
「左近衛中将も揃ったようだな。
では、第二回幾望会の開会を宣言する」
その声はどっしりと深みがあり、あたしの手を握ってちゃらちゃらしている東宮と同一人物とは思えなかった。
判らない…どちらが真実で、どちらが演技なのか。
お世話になっております。
元信様には、その、ご迷惑をかけっぱなしで…」
あたしはしどろもどろになりながら、とにかく頭を下げる。
お兄様は「お顔をあげてください」と優しく言う。
「こちらこそ、意固地な弟でご迷惑をおかけしております。
もっと上手に、他人に頼ることを覚えなさいと常々申してはおるのですが…
今宵は楽しみにして参りました。
どうぞよろしくお願いもうしあげます」
言って爽やかに微笑むと立ち上がり、女房さんに案内されて座席につく。
元信様と全然タイプが違うけど、でも顔立ちが似ていて(お兄様の方が平安的美男子)、あたしはちょっと見惚れてしまった。
その次にあたしの前に座ってお辞儀をしてくれたのは、緋色の直衣にお洒落に飾りをつけた、歳は元信様と同じくらいの公達だった。
「初めまして、伊都子姫。
東宮殿下に、猟官運動のように再三お願い申し上げて、やっとお目通りが叶いました。
今日は朝から楽しみにしておりました」
ニコニコしながら話す。
明るい人のようだな、伊都子姫とは初対面らしい。
…っていうか、東宮、あまりハードル上げないで…
期待していたほど楽しくなかったらどうしよう。
チキンハートが震えるわ。
その後に挨拶してくれたのは、深い緑色の直衣の、真面目そうな人だった。
歳は、元信様のお兄様くらいかな?
二十代前半、って感じ。
「伊都子姫、お初にお目にかかります。
本日はお招きにあずかりまして、大変嬉しく思っております」
と固い口調で言って、こきっと音が鳴りそうな感じで頭を下げる。
うわぁ…幾望会には向いてないんじゃ…
何でこんな人にしたんだろ。
あたしは不安を覚える。
「愛しの月子姫、ご機嫌麗しくあそばしますか」
と、もう酔っぱらってんのかい、って感じで浮かれて入ってきたのは東宮。
麗しくないよ。
あんたのせいだよ。
あたしは昨夜、元信様から聞いた話を思い出してぶすっとする。
東宮はあたしを見てから、式部さんに指示して東宮の座所をあたしの隣に移動させ、そこに座ってあたしの手を取る。
「庚申待からお会いできず、私は本当に寂しく思っていたのですよ。
ここ数日はお文を度々頂き、貴女も私と同じお気持ちで居られるのだと確信いたしましたが」
そうじゃねーよっ!
なんだこの、どこまでもポジティブ思考。
少し分けてくれ、元信様に。
あたしが何度も手を振り払うのにも構わず、東宮はあたしの手を執拗に握る。
目の前の貴公子たちが、それを見て息を飲むのが判る。
お、ほほほ…わたくしは、かの有名な石の姫でございますから…
東宮は立ち上がり、そこにいる皆を見回す。
「左近衛中将も揃ったようだな。
では、第二回幾望会の開会を宣言する」
その声はどっしりと深みがあり、あたしの手を握ってちゃらちゃらしている東宮と同一人物とは思えなかった。
判らない…どちらが真実で、どちらが演技なのか。
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