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第六章 運命の歯車
16.蚊除け
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義光がたくさんのミントの葉と、すりこぎとすり鉢を持ってきた。
熱湯が要るのを思い出して、また取りに行ってもらう。
ごめん…
綺麗に洗ってあるミントの葉を、すりこぎですり潰す。
ミントの爽やかな薫りがあたりに漂う。
雑誌では、タオルで覆って熱湯をかけるとか書いてあったような気がするけど…繊維を潰して細胞を壊した方が良い気がした。
スプレーがないから直に肌に塗りつけるしかないな…
草負けしないかしら。
「月子姫…人使いが荒いですよ…」
這う這うの体で義光が帰ってくる。
ごめんよ、これからまた君を実験台にするつもりだ。
恨むなら蚊を恨んでくれたまえ。
粗く潰した葉を布に包んで、別の容器の上に置いたざるに入れて熱湯を注ぐ。
少し浸して、冷めるまで待つ。
「すごい匂い。これなら蚊も寄ってこないのかなあ。
清涼感があって、夏に良いですね」
布を見つめながら義光がにこにこする。
こういうとこ、なんか本当に可愛いなあ。
お人好しなんだよね基本的に…お坊ちゃんっていうか。
あたしが義光を見ていると、義光はふと顔を上げてあたしを見て
「何ですか?何かついてます?」
と自分の顔を触る。
「ううん…何もないよ」
あたしがなんとなく照れてうつむくと
「そういう表情、とても可愛らしい。
私より年下の少女のようで…守らなくてはと思わせるような…」
囁いて、両手であたしの頬を包み顔を上げさせて唇を合わせる。
ちょっ…こらっ!
あたしは腕に力を入れて身を引き
「罰よっ!この薄荷液を肌につけて庭を一周してきなさいっ!」
と命令する。
「えーっ!」
義光は絶望的な表情になる。
あたしは可笑しくて、笑いをこらえながら「はい、頑張って!」とまだ温かいミント液を綺麗な布に染みこませて、義光の顔や手に塗布する。
「こんなことまでさせられて、接吻一回じゃ足りないですよ」
と義光は言いざまにあたしの手をつかんで引き寄せ、抱きしめる。
「俺のものになって…お願いだから。
本当の名前を教えて。
俺だけが知る、あなたの名を呼ばせて」
耳に頬に、熱い吐息がかかる。
体重をあたしの方にかけて、床に倒そうとする。
あたしは頭を振り、全身をよじらせて義光の腕の中から抜け出す。
心臓が…ドキドキして治まらない。
「そ、んなこと…言えないよ、判ってるでしょ。
義光の気持ちは嬉しいけど、でもあたしは…弟みたいにしか見られない。
ごめん…」
床についた手に涙が落ちる。
「姫…」
義光はあたしを抱き起こす。
あたしの身体が硬直するのが判ったのか「何もしませんから…」と、傷ついたように薄く笑う。
「判ってますよ、でも俺は…私は貴女を愛してる。
今しばらくこういう関係でいさせてください。
いつか貴女が、私を愛してくれるまで」
懐紙を出し、あたしの涙を拭ってくれる。
それから、殊更に声の調子を変えてあたしに笑いかける。
「私ばかり、蚊の餌食になる実験をさせられるのは不公平ですよ。
月子姫も薄荷液を塗って、端近くらいまでは来て下さらなきゃね」
うう…判ったよ。
あたしは、隙あらばあたしの手から布を奪い取ってあたしにミント液を塗ろうとする、義光の手を払いのけながら自分で塗布した。
すーすーして結構、気持ちいい。
「これ良いねえ」と義光を見ると、義光は「そうですね、さっぱりします」と笑う。
ごめんね本当に。
あなたの好意と優しさに、すごく甘えてるよね。
熱湯が要るのを思い出して、また取りに行ってもらう。
ごめん…
綺麗に洗ってあるミントの葉を、すりこぎですり潰す。
ミントの爽やかな薫りがあたりに漂う。
雑誌では、タオルで覆って熱湯をかけるとか書いてあったような気がするけど…繊維を潰して細胞を壊した方が良い気がした。
スプレーがないから直に肌に塗りつけるしかないな…
草負けしないかしら。
「月子姫…人使いが荒いですよ…」
這う這うの体で義光が帰ってくる。
ごめんよ、これからまた君を実験台にするつもりだ。
恨むなら蚊を恨んでくれたまえ。
粗く潰した葉を布に包んで、別の容器の上に置いたざるに入れて熱湯を注ぐ。
少し浸して、冷めるまで待つ。
「すごい匂い。これなら蚊も寄ってこないのかなあ。
清涼感があって、夏に良いですね」
布を見つめながら義光がにこにこする。
こういうとこ、なんか本当に可愛いなあ。
お人好しなんだよね基本的に…お坊ちゃんっていうか。
あたしが義光を見ていると、義光はふと顔を上げてあたしを見て
「何ですか?何かついてます?」
と自分の顔を触る。
「ううん…何もないよ」
あたしがなんとなく照れてうつむくと
「そういう表情、とても可愛らしい。
私より年下の少女のようで…守らなくてはと思わせるような…」
囁いて、両手であたしの頬を包み顔を上げさせて唇を合わせる。
ちょっ…こらっ!
あたしは腕に力を入れて身を引き
「罰よっ!この薄荷液を肌につけて庭を一周してきなさいっ!」
と命令する。
「えーっ!」
義光は絶望的な表情になる。
あたしは可笑しくて、笑いをこらえながら「はい、頑張って!」とまだ温かいミント液を綺麗な布に染みこませて、義光の顔や手に塗布する。
「こんなことまでさせられて、接吻一回じゃ足りないですよ」
と義光は言いざまにあたしの手をつかんで引き寄せ、抱きしめる。
「俺のものになって…お願いだから。
本当の名前を教えて。
俺だけが知る、あなたの名を呼ばせて」
耳に頬に、熱い吐息がかかる。
体重をあたしの方にかけて、床に倒そうとする。
あたしは頭を振り、全身をよじらせて義光の腕の中から抜け出す。
心臓が…ドキドキして治まらない。
「そ、んなこと…言えないよ、判ってるでしょ。
義光の気持ちは嬉しいけど、でもあたしは…弟みたいにしか見られない。
ごめん…」
床についた手に涙が落ちる。
「姫…」
義光はあたしを抱き起こす。
あたしの身体が硬直するのが判ったのか「何もしませんから…」と、傷ついたように薄く笑う。
「判ってますよ、でも俺は…私は貴女を愛してる。
今しばらくこういう関係でいさせてください。
いつか貴女が、私を愛してくれるまで」
懐紙を出し、あたしの涙を拭ってくれる。
それから、殊更に声の調子を変えてあたしに笑いかける。
「私ばかり、蚊の餌食になる実験をさせられるのは不公平ですよ。
月子姫も薄荷液を塗って、端近くらいまでは来て下さらなきゃね」
うう…判ったよ。
あたしは、隙あらばあたしの手から布を奪い取ってあたしにミント液を塗ろうとする、義光の手を払いのけながら自分で塗布した。
すーすーして結構、気持ちいい。
「これ良いねえ」と義光を見ると、義光は「そうですね、さっぱりします」と笑う。
ごめんね本当に。
あなたの好意と優しさに、すごく甘えてるよね。
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