三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第六章 運命の歯車

22.第二回幾望会・6

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 東宮は権中納言様が横について教えていたが、あたしの方ばかり見ていて、結局伊靖君が解いていた。

 誰のために、こんなに準備してきたと思ってんだっ!
 伊靖君はこういうの好きだから楽しんでやっていたようで、それが救いだったけど…

 そして、参議様・蔵人の頭様ペアは、何と自力で解いた。
 時間もそんなにかからなかった。
 すごい!と満場一致で優勝に決まった。

 参議様と蔵人の頭様に、賞品の蚊よけの使い方を詳しく教える。
 もしかしたら、皮膚トラブルがあるかもしれないから、少し塗って試してくださいと言い添えた。

 蔵人の頭様は「これは凄いですね!毎年、蚊には悩まされているんですよ。妻が喜びます、刺されやすい体質なので」と嬉しそうにニコニコした。

 あら、奥様思い。良いなあ。
 あたしが思わず元信様を見ると、元信様もあたしを見ていて、目が合うとニコッと笑った。
 元信様もあたしのこと考えてくれてるんだと思って、ちょっと照れた。

 「では、お食事に致しましょう。
 東宮様から頂いた、本日のお題食材は、難しゅうございましたわ」
 とあたしが言うと、東宮はあからさまに嬉しそうにニヤニヤする。

 「無敵の月子姫を少しは困らせてやろうと思いましてね、私も頭を悩ませたのですよ」
 笑いが止まらない様子。
 
 庚申待の後、大量に届いた食材のうち、今日のお題となる食材も含まれていた。
 難しい…というのは、この時代に存在する食材と合わせるのが、という意味で、この食材自体は、あたしにとってはごくごくありふれたものだった。

 それは…チーズ。

 一種類しかないし、そんなに量もなかったので、それも大変だった。
 料理長もあたしの提案する使い方にはなかなかピンとこないらしく、でも判らないながらも頑張って作ってくれた。

 女房さん達がお膳を持って、配膳する。
 伊靖君は部屋に帰ったけど、権中納言様は食事中だけはどうしてもここにいると言い張って、居座ってしまった。

 「これはまた…見たこともない料理が…」と参議様が絶句し、蔵人の頭様は「これこれ、この創作料理をとても楽しみにしてきたんです!」とあたしを見て笑う。

 「膳の真ん中にある丸いものは、ピザでございます。
 上に蘇が載っております。
 熱いうちに召し上がった頂きたいので、説明は手短に致します。
 切れ目が入っておりますので、ひとかけらずつ、御手で持ち上げて召し上がってくださいね」

 せっかくオーブンを作ってもらったので、今日はフル活用。

 「それから右上のものは、味噌ドリアでございます。
 蘇は、ピザと同じく、表面にございます。
 器が大変熱くなっておりますので、お気を付けくださいね。
 これはお匙で召し上がってください」

 皆、恐る恐る、ピザを持ち上げて口に入れる。
 小さめのサイズにしたので、食べやすいかな?
 ピザ生地って、二次発酵要らないし、イーストもなくてもなんとか作れるので良かった。

 「うわ、美味しい」
 と一番に声を上げたのは、お兄様だった。
 
 あら良かった。
 あたしは嬉しくて、手を胸の前で打ち合わせる。
 トマトもベーコンもマッシュルームもピーマンもないけど…
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