三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第七章 宮中

5.いつもの集まり?

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 部屋の周りが何だかざわざわと騒がしくなった。
 複数の男の人の楽しそうな声が廊下を響いてくる。

 「月子姫!ご機嫌いかがですか!」
 と一番にやかましく入ってきたのは、東宮。
 
 あたしじゃーねーだろー!
 ここは楓間だろー!
 更衣様にご挨拶しろ―!!

 東宮は第二回幾望会の後、あんな形で怒って帰ってしまったが、翌日には平謝りの文が届いた。

 嫌いにならないでほしい、本気で貴女を愛している、無理無体むりむていなやり方はしないから、と哀願というか懇願というか、読んでいてちょっと可哀相になっちゃうような手紙だった。

 暁の上様のことは同情するし、このバカみたいな素直さはなんか嫌いにはなれないっていうか。
 でもまあ、あたしはいずれにせよ、貴方には嫁がないよ。

 「楓間の更衣様、月子姫、ご機嫌麗しゅう。
 月子姫、今日は天気が良くて良かったですね。
 道中はいかがでしたか」
 と右近衛大将様の声。
 
 「楓間の更衣様、初めまして。
 月子姫、お会いしたかったですよ!
 新たな演習問題を持ってきたんです!」
 ガサガサと紙の音を響かせて、権中納言様の声。

 だーかーらー。
 あんた達、皆、バカじゃないのっ。

 「申し訳ありません…更衣様…」
 あたしが謝ると、更衣様はくすくすと可笑しそうに笑う。
 「本当に、皆様あんな感じでいらっしゃるのね。
 面白いわ、物語の世界がここにあるのだと実感するわ」

 「主上も今日はそわそわしていらっしゃって、なんだか可笑しかったなあ」 
 と右近衛大将様。
 「そうそう、退出あそばされるのもえっらい早かった」
 権中納言様が笑っている。

 「月子姫、お顔を見せてください」
 と東宮が几帳を動かそうとする。

 「ダメです!楓間の更衣様もいらっしゃるのよ!」
 あたしが厳しく制すると、「えっ、そこに…?」と驚いたように手を止めた。

 「わたくしもそろそろ、御帳台に戻らなくてはね。
 主上がお越しあそばされるわ」
 更衣様は膝立ちして、優雅に顔を隠し、周りを女房さん達に囲まれながら御帳台に戻っていった。

 東宮がすぐさま几帳を退けてしまう。
 内侍さんや式部さんは動じないけど、更衣様の女房さん達は、呆気にとられたようにこちらを見ている。
 
 もう…恥ずかしいなあ…

 そこへ「主上のお成りでございます」と呼ばわる声がして、皆一斉に平伏する。
 あたしも手をついて頭を下げた。
 いつの間にか、元信様があたしの隣に来ていた。

 初めてだ…主上に会うの…
 なんだかドキドキする。

 御簾の上げられた御帳台に、主上が入ってきて座る衣擦れの音がする。
 「皆、おもてをあげて」
 低く響く優しい声が聴こえた。

 几帳を退けられてしまったので、あたしは扇で顔を隠しながら身体を起こした。
 左隣に東宮、右隣に元信様。
 なんかおかしいよね、この構図…
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