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第九章 二度目の死と伊都子姫
15.四日ぶりの食事
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それからあたしはまた眠り、起きた時には日が高く昇っていた。
式部さんと少輔さんが都から来てくれていて、あたしにしがみつくようにして泣いてくれた。
ごめんね、あの日の朝、あたし縫姫の局に行くって言って、そのまま行方不明になって死んじゃったんだもんね。
もうホント、いつもいつも心配させてごめん…
内侍さんはいないのかな、と思って訊いてみる。
するとなんと、楓間の更衣様付きの女房ってことにして宮中に上がって、東宮の謀反容疑に関する裁きについての記録係をするよう主上から任命されたんだって。
書記官というよりは従軍記者みたいだよね…
頑張って!
女房さん二人に身体を綺麗に拭いてもらって小袖まで着替えさせてもらって、やっと人心地がつく。
お坊さんじゃさすがに手が出せなかったらしい。
いやいや、当然ですたい。
髪も綺麗に梳いてもらって、お化粧もしてもらった。
鏡を見ると、おっ、少し痩せた?
「姫、お目ざめですか…
お化粧なさったのですね、お綺麗です」
と、元信様が入ってきて、褥の前に座る。
「元信様…」
あたしはそう言って、その後言葉が続かない。
話したいことがたくさんありすぎて、何から話していいのか…
「お腹が空かれたでしょう、ここにいらしてからもう丸四日ですがその間、何も召し上がって居られませんからね」
元信様は微笑んで、式部さんに食事を運ぶように命じる。
あたしの沈黙を空腹のせいだと思う辺り、さすがというか何というか。
確かにおっしゃる通り、お腹空いてますけどね…
もうちっとロマンチックに進行しませんか?
僧房なので、精進料理だった。
意外とバラエティに富んでいて、飽きない味に仕上げてあった。
京都のお野菜って美味しいよね。
元信様がつききりであたしの口に料理を運んでくれる。
嬉しいけど…食べにくいっす。
薬湯まで服ませてもらって、やっと解放される。
…と思ったら、抱きあげられ元信様の膝に乗せられてしまった。
抱きしめられて、あたしは元信様の肩に頭を載せる。
「姫のお陰で、東宮殿下の出家は未然に防がれました。
本当にありがとう」
元信様は抱きしめたまま囁くように言う。
「姫の息が止まった時、私も一緒に死のうと思いました。
姫がいない人生なんて考えられない。
太刀が行直に取り上げられていなかったら、自害していたと思います」
行直さん、グッジョブ!
あたしが生き返ったって、元信様が死んじゃうんじゃ意味ないよね。
だけどさ…
あたしは自分の身体に回されている元信様の腕に触れる。
元信様がこんなにも愛してるのは、
伊都子姫。
あたしじゃないんだよ、ね。
昨夜、この考えに久しぶりに囚われ、あたしは独り泣いてしまった。
伊都子姫は『左近衛中将様と幸せに』って言ってくれたけど、怖くて言えないの。
あたしは伊都子姫ではないのだと。
このまま、元信様を騙し続けていて良いわけはない。
だけど本当のことを言って、嫌われてしまったら…それこそ、あたしは生きていけない。
式部さんと少輔さんが都から来てくれていて、あたしにしがみつくようにして泣いてくれた。
ごめんね、あの日の朝、あたし縫姫の局に行くって言って、そのまま行方不明になって死んじゃったんだもんね。
もうホント、いつもいつも心配させてごめん…
内侍さんはいないのかな、と思って訊いてみる。
するとなんと、楓間の更衣様付きの女房ってことにして宮中に上がって、東宮の謀反容疑に関する裁きについての記録係をするよう主上から任命されたんだって。
書記官というよりは従軍記者みたいだよね…
頑張って!
女房さん二人に身体を綺麗に拭いてもらって小袖まで着替えさせてもらって、やっと人心地がつく。
お坊さんじゃさすがに手が出せなかったらしい。
いやいや、当然ですたい。
髪も綺麗に梳いてもらって、お化粧もしてもらった。
鏡を見ると、おっ、少し痩せた?
「姫、お目ざめですか…
お化粧なさったのですね、お綺麗です」
と、元信様が入ってきて、褥の前に座る。
「元信様…」
あたしはそう言って、その後言葉が続かない。
話したいことがたくさんありすぎて、何から話していいのか…
「お腹が空かれたでしょう、ここにいらしてからもう丸四日ですがその間、何も召し上がって居られませんからね」
元信様は微笑んで、式部さんに食事を運ぶように命じる。
あたしの沈黙を空腹のせいだと思う辺り、さすがというか何というか。
確かにおっしゃる通り、お腹空いてますけどね…
もうちっとロマンチックに進行しませんか?
僧房なので、精進料理だった。
意外とバラエティに富んでいて、飽きない味に仕上げてあった。
京都のお野菜って美味しいよね。
元信様がつききりであたしの口に料理を運んでくれる。
嬉しいけど…食べにくいっす。
薬湯まで服ませてもらって、やっと解放される。
…と思ったら、抱きあげられ元信様の膝に乗せられてしまった。
抱きしめられて、あたしは元信様の肩に頭を載せる。
「姫のお陰で、東宮殿下の出家は未然に防がれました。
本当にありがとう」
元信様は抱きしめたまま囁くように言う。
「姫の息が止まった時、私も一緒に死のうと思いました。
姫がいない人生なんて考えられない。
太刀が行直に取り上げられていなかったら、自害していたと思います」
行直さん、グッジョブ!
あたしが生き返ったって、元信様が死んじゃうんじゃ意味ないよね。
だけどさ…
あたしは自分の身体に回されている元信様の腕に触れる。
元信様がこんなにも愛してるのは、
伊都子姫。
あたしじゃないんだよ、ね。
昨夜、この考えに久しぶりに囚われ、あたしは独り泣いてしまった。
伊都子姫は『左近衛中将様と幸せに』って言ってくれたけど、怖くて言えないの。
あたしは伊都子姫ではないのだと。
このまま、元信様を騙し続けていて良いわけはない。
だけど本当のことを言って、嫌われてしまったら…それこそ、あたしは生きていけない。
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