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第九章 二度目の死と伊都子姫
20.都へ
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朝早く、まだ靄の立ち込めるお寺の境内にはやたらたくさんの人と馬がひしめき合っていた。
右近衛大将様、権中納言様、義光、伊靖君、蔵人頭様が迎えに来てくれていた。
兵部卿様、参議様が都の入り口まで迎えに来てくれるらしい。
美味しい精進落としを用意しております、と伝言があった。
牛車が山道を登れないので、あたしは輿に乗る。
重いけどごめんね…
住持様を始め、お坊さんたちが皆で見送ってくれる。
主上やお殿様、その他の公達から多額のお布施や寄進があったそうで(元信様談)、恵比須顔に見えたのは気のせいかなあ?
「大臣や公達の北の方様などが御祈祷にいらっしゃることはままありますが、このようにお迎えの多い方は初めてでございますよ」
住持様は驚いたように若公達を見回す。
「伊都子姫様が担ぎ込まれてからも、わたくしどもは驚きの連続でございましたが…
何しろ殿上人と呼ばれる若公達が続々と見えて、てんてこまいでございました」
あらら…ご迷惑をおかけしましたわ。
「しかし東宮殿下が仏の道に入られるのは、まだ少しお早いかと存じましたので、姫様がいらしてくださってようございました」
住持様は最後に言って、穏やかに笑い「また御祈祷にお越しください、殿下によろしくお伝えください」と合掌して頭を下げた。
皆、馬に乗って、あたしの乗った輿を中心に列を作り、下山する。
温石を入れた袋を持っているけど、結構寒い。
「その後、どうですか…主上から文は逐一頂戴しておりますが…」
元信様が右近衛大将様に訊いているのが聴こえた。
右近衛大将様は低い声で答えている。
何を言っているのかは判らない。
しかし、輿って意外と快適。
少し床が斜めになるのは仕方ないけど、思ったほど揺れない。
力者さんたちプロの人って凄いなあ…
どれくらい経ったのか、日が高く昇ってだいぶ気温も上がって暖かくなるころ、斜めだった輿の床が水平になり、輿の進むスピードも上がった。
やがてざわざわと人の声が聴こえだし、しばらくその雑踏の中を進んで、どこかの建物の敷地に入る訪いの声がして大門の開く音がし、静かな庭園のようなところへ入って輿は停まって地面に降ろされた。
「月子姫!お待ちしておりましたよ」
兵部卿様の声がして、輿の扉が開かれる。
明るい秋の日差しが差し込み、あたしは眩しくて目を細める。
元信様が「お疲れ様でした、具合はいかがですか。大丈夫ですか」と輿の中へ身体を半分ほど入れ、あたしを抱きかかえる。
どこかのお屋敷の、部屋の中へ案内される。
そこには宴会場のようにたくさんの座布団とお膳が並んでいた。
「月子姫…待ちわびましたよ」
一番奥にいる人物が声をかけてくる。
低く響く声…
主上!
右近衛大将様、権中納言様、義光、伊靖君、蔵人頭様が迎えに来てくれていた。
兵部卿様、参議様が都の入り口まで迎えに来てくれるらしい。
美味しい精進落としを用意しております、と伝言があった。
牛車が山道を登れないので、あたしは輿に乗る。
重いけどごめんね…
住持様を始め、お坊さんたちが皆で見送ってくれる。
主上やお殿様、その他の公達から多額のお布施や寄進があったそうで(元信様談)、恵比須顔に見えたのは気のせいかなあ?
「大臣や公達の北の方様などが御祈祷にいらっしゃることはままありますが、このようにお迎えの多い方は初めてでございますよ」
住持様は驚いたように若公達を見回す。
「伊都子姫様が担ぎ込まれてからも、わたくしどもは驚きの連続でございましたが…
何しろ殿上人と呼ばれる若公達が続々と見えて、てんてこまいでございました」
あらら…ご迷惑をおかけしましたわ。
「しかし東宮殿下が仏の道に入られるのは、まだ少しお早いかと存じましたので、姫様がいらしてくださってようございました」
住持様は最後に言って、穏やかに笑い「また御祈祷にお越しください、殿下によろしくお伝えください」と合掌して頭を下げた。
皆、馬に乗って、あたしの乗った輿を中心に列を作り、下山する。
温石を入れた袋を持っているけど、結構寒い。
「その後、どうですか…主上から文は逐一頂戴しておりますが…」
元信様が右近衛大将様に訊いているのが聴こえた。
右近衛大将様は低い声で答えている。
何を言っているのかは判らない。
しかし、輿って意外と快適。
少し床が斜めになるのは仕方ないけど、思ったほど揺れない。
力者さんたちプロの人って凄いなあ…
どれくらい経ったのか、日が高く昇ってだいぶ気温も上がって暖かくなるころ、斜めだった輿の床が水平になり、輿の進むスピードも上がった。
やがてざわざわと人の声が聴こえだし、しばらくその雑踏の中を進んで、どこかの建物の敷地に入る訪いの声がして大門の開く音がし、静かな庭園のようなところへ入って輿は停まって地面に降ろされた。
「月子姫!お待ちしておりましたよ」
兵部卿様の声がして、輿の扉が開かれる。
明るい秋の日差しが差し込み、あたしは眩しくて目を細める。
元信様が「お疲れ様でした、具合はいかがですか。大丈夫ですか」と輿の中へ身体を半分ほど入れ、あたしを抱きかかえる。
どこかのお屋敷の、部屋の中へ案内される。
そこには宴会場のようにたくさんの座布団とお膳が並んでいた。
「月子姫…待ちわびましたよ」
一番奥にいる人物が声をかけてくる。
低く響く声…
主上!
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