三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第十章 裁きと除目と薫物合わせ

1.裁き・1 太政大臣

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 その晩は、誰もが目が回る忙しさだった。
 呼び出された殿上人が続々と深夜に参内する。

 関白と太政大臣は、任意同行というよりは殆ど連行されるような感じで宮殿に連れてこられた。
 
 だが、狡賢ずるがしこい太政大臣は間一髪で僧形になっており、断罪するのみに留まった。
 こつこつと証拠を集めた、お兄様と左衛門督様は地団太を踏んで悔しがったという。


 暁の上様と右兵衛督様は、主上と東宮の前に引ったてられた。
 二人とも痛々しく痩せ細り、この数カ月の懊悩を物語っていた。
 
 二人して床に這いつくばるようにして謝罪する。
 「東宮殿下、申し訳ありません…!
 罰は如何様いかようにもお受けいたします。
 しかし郁子姫(お義兄様)に罪はありません、わたくしだけを罰してくださいませ!」

 主上も東宮も、二人の深い愛情と引き裂かれた痛み苦しみをまざまざと感じて、思わず二人から顔を背ける。
 
 左衛門督様が二人の罪状と犯罪の経緯を読み上げる。
 東宮に輿入れする以前に、郁子姫と右兵衛督様は関係を持っていたこと。
 太政大臣がそれを知りながら、偽って東宮に輿入れさせたこと。

 東宮と暁の上はこれまでに一度も契ったことがないこと。
 従って暁の上の懐妊はあり得ず、お腹の子は右兵衛督の子供であること。

 主上は「東宮は太政大臣から脅されていた。だから暁の上の腹の子の父親が誰か判っていても、公にすることができなかった」と苦々しく呟いた。

 「いや…私は、大臣がどうあろうと、公にするつもりはなかった。
 お腹の子には罪はない。
 母親の暁の上に愛情はなくとも、私の子として育てればいつか子供には愛情も持てると思った」

 東宮が苦しげに言うと、二人は打ちのめされたように泣き出した。
 「追って沙汰する。別室で待つように」と左衛門督様が命じた。
 

 次に俎上に上がったのは、中宮の毒殺未遂事件だった。
 肝心の厨司長が自殺してしまっているので、自白無しの状況証拠のみだった。
 
 でも、緻密に調べ上げられた厨房で働く料理人や下働きの者に至るまでの証言により、当日の厨房での厨司長の動きや発言などが克明になった。
 太政大臣の家臣から証言が採れ、厨司長が誰に頼まれてやったのかも明らかにされた。
 
 しかもそれを、その日に参内していた右大臣家の伊都子姫の犯罪として騒ぎ立てるように指示し、無実の伊都子姫を罪に陥れようとしたことも、桐花殿の女御付きの女房により立証された。
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