三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第十章 裁きと除目と薫物合わせ

9.皆の隠し事?

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 それから三人で牛乳プリンを食べたけれど、あたしはなんだか味がしなかった。
 
 東宮が二の姫ににこやかに話しかけ、二の姫が頬を赤らめて答える姿を見ていると、まるで一幅の絵画を見ているようで、とてもお似合いだと思った。

 でもしかし…何だったんだ、今までの東宮のあたしに対する、あの激烈なアプローチは。
 突然の東宮の方向転換に、あたしには釈然としない思いが残った。

 まあいいんだけどさ、東宮が最初に決められていた通りに二の姫と結婚してくれれば、それが一番なんだけどさ。

 そのうち宮中からまた東宮に参内を促す催促がひっきりなしに来て、ながっちりの東宮はやっと重い腰を上げた。

 「ああもう、面倒だ。
 いっそのこと、ここに皆が来ればいいのに」

 嫌だよ!
 人んちを何だと思ってんだ!

 「今日の人事で、もうここを宮中と言ったって構わないくらいのことになっているさ。
 はぁーあ」

 東宮は大きく伸びをすると、二の姫の手を取り「では、ご機嫌よう」と笑いかけた。
 二の姫はこくんと可愛らしく頷く。

 あたしに「来週の薫物合わせ、楽しみにしておりますよ。今日で一気に宮中では形勢逆転だし、月子姫の勝利は信じて止みませんがね」といたずらっぽく笑いながら言う。

 「さあ、どうでしょう…」
 あたしが曖昧に笑うと、東宮はあたしに近づいて
 「月子姫らしからぬお言葉ですね、何か欲しいものがあればすぐに届けさせますよ。
 蜂蜜ですか?胡麻油ですか?」
 心配そうな言葉と裏腹に目は笑っている。

 あたしは、一瞬、訳の判らない寂寥感に襲われ、下を向いた。
 東宮はあたしの頭をポンポンと叩き「では、またね」と言って、部屋を出て行った。

 「お姉様…」
 二の姫が心配そうに声をかけてくれる。
 あたしは「薫物合わせ、自信ないのよ実は…」と正直に言う。

 二の姫はあたしの手を可愛らしい両手で包むようにして
 「お姉様なら大丈夫ですわ。
 わたくしも、もちろん左近衛中将様も、東宮様だってお姉様の応援をしております」
 とあたしを見上げる。

 かぁいーなー。
 あたしは一生懸命に言ってくれる二の姫の気持ちが愛しくて「ありがとう」と笑った。
 
 「東宮様に求婚されて良かったわね!
 わたくしより先に露顕かしら?」
 と言うと、二の姫は一瞬、きょとんとする。
 
 「いえ?お姉様がお先では?」
 と言って、はっとしたように口に手をあて
 「い…えいえ、どうでございましょう」
 とわざとらしく誤魔化して、では失礼いたします、と言って急いで戻って行ってしまう。

 皆、何だ。
 あたしは腕を組む。

 何か、皆であたしに隠している。
 内侍さんの『月子姫物語』の時みたいに。

 もーう!
 なんか面白くないぞ!
 いろいろと!
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