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第十章 裁きと除目と薫物合わせ
10.昇進
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次々と、めでたい知らせが飛び込んでくる。
お殿様は、右大臣からなんと太政大臣になったそうで。
もう、すっごい数のお祝いの使者や品物が届き、二人いる家令は対応が間に合わず悲鳴を上げている。
伊靖君は右近衛中将になった。
お殿様もそれから内大臣家も皇族と縁があるので、まだこれから昇進の芽もあるだろうということで、さまざまな公家からのアプローチも多いらしい。
物の怪憑きの姉が居ても、大丈夫そうだねえ、良かった。
そして、元信様は治部卿になった。
っていってもあたしにはよく判らないけど、偉い人みたい。
元信様のお祝いがあたしのところにめっちゃ来るので、あたしは戸惑った。
まだ露顕はおろか、三日夜の餅さえしてないのに…
対応は女房さん達と家令に任せて(あたしにゃ美辞麗句の嵐の返事は無理)、あたしは薫物に集中した。
自分の好きな薫りを持っていけばいいならともかく、お題がなあ…
宝鏡殿の女御様の御父上である、前の太政大臣は、関白になったそうだ。
今までの関白は流刑か蟄居(幽閉かも)、今までの太政大臣は僧侶、になってしまった。
だから、新関白・新太政大臣の娘である、宝鏡殿の女御様とあたしのペアは、前関白・前太政大臣の娘である、中宮・桐花殿の女御様のペアとは、東宮の言う通り形勢が逆転した。
それが薫物合わせにどう関係するかは判らないけれど、願わくは、そういう男の人の政治の世界とは関係なく、フェアに戦いたいな。
その日、お殿様は帰ってこれなかった。
伊靖君は立場上、内大臣家に帰ったみたい。
少輔さんがちょっと可哀相だけど、これは仕方ないな。
身分制度って残酷だよな…
元信様が来たのは、日付が変わってしばらくしたころだった。
あたしはもう寝ていて、少輔さんがそっと起こしに来た。
あたしは急いで袿を羽織り、御帳台を出た。
元信様はべろべろに酔っていて、行直さんに担がれて部屋に入ってきた。
「伊都子姫様、深夜に申し訳ありません…
お祝いの盃をお断りになることもできずに、すべて干されてこうなってしまわれました。
姫のところへ行くとおっしゃって、どれだけお止めしても頑として聴かれず、お連れしてしまいました」
行直さんは実直そうな顔に、困惑と苦渋の表情を浮かべて謝ってくれる。
あたしは「御帳台まで運んでくださる?わたくしでは無理そうだわ」と笑った。
行直さんはあたしに一礼し、元信様を担ぎ直して御帳台に入って、少輔さんが急いで用意してくれた褥に横たえる。
元信様は何か呻いて、また寝入ってしまう。
「では、よろしくお願い申し上げます。
わたくしは供部屋の方へ居りますので、何がございましたらお呼びください」
行直さんは深くお辞儀して、下がっていった。
お殿様は、右大臣からなんと太政大臣になったそうで。
もう、すっごい数のお祝いの使者や品物が届き、二人いる家令は対応が間に合わず悲鳴を上げている。
伊靖君は右近衛中将になった。
お殿様もそれから内大臣家も皇族と縁があるので、まだこれから昇進の芽もあるだろうということで、さまざまな公家からのアプローチも多いらしい。
物の怪憑きの姉が居ても、大丈夫そうだねえ、良かった。
そして、元信様は治部卿になった。
っていってもあたしにはよく判らないけど、偉い人みたい。
元信様のお祝いがあたしのところにめっちゃ来るので、あたしは戸惑った。
まだ露顕はおろか、三日夜の餅さえしてないのに…
対応は女房さん達と家令に任せて(あたしにゃ美辞麗句の嵐の返事は無理)、あたしは薫物に集中した。
自分の好きな薫りを持っていけばいいならともかく、お題がなあ…
宝鏡殿の女御様の御父上である、前の太政大臣は、関白になったそうだ。
今までの関白は流刑か蟄居(幽閉かも)、今までの太政大臣は僧侶、になってしまった。
だから、新関白・新太政大臣の娘である、宝鏡殿の女御様とあたしのペアは、前関白・前太政大臣の娘である、中宮・桐花殿の女御様のペアとは、東宮の言う通り形勢が逆転した。
それが薫物合わせにどう関係するかは判らないけれど、願わくは、そういう男の人の政治の世界とは関係なく、フェアに戦いたいな。
その日、お殿様は帰ってこれなかった。
伊靖君は立場上、内大臣家に帰ったみたい。
少輔さんがちょっと可哀相だけど、これは仕方ないな。
身分制度って残酷だよな…
元信様が来たのは、日付が変わってしばらくしたころだった。
あたしはもう寝ていて、少輔さんがそっと起こしに来た。
あたしは急いで袿を羽織り、御帳台を出た。
元信様はべろべろに酔っていて、行直さんに担がれて部屋に入ってきた。
「伊都子姫様、深夜に申し訳ありません…
お祝いの盃をお断りになることもできずに、すべて干されてこうなってしまわれました。
姫のところへ行くとおっしゃって、どれだけお止めしても頑として聴かれず、お連れしてしまいました」
行直さんは実直そうな顔に、困惑と苦渋の表情を浮かべて謝ってくれる。
あたしは「御帳台まで運んでくださる?わたくしでは無理そうだわ」と笑った。
行直さんはあたしに一礼し、元信様を担ぎ直して御帳台に入って、少輔さんが急いで用意してくれた褥に横たえる。
元信様は何か呻いて、また寝入ってしまう。
「では、よろしくお願い申し上げます。
わたくしは供部屋の方へ居りますので、何がございましたらお呼びください」
行直さんは深くお辞儀して、下がっていった。
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