三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第十一章 露顕と三日夜の餅

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 中宮様と宝鏡殿の女御様、それにお殿様が息を呑んでいるのが判る。
 あたしは退かずに主上を見据えた。

 主上はあたしをじっと見つめていたが、やがて、ふうっと優しく微笑んだ。
 手を伸ばして、あたしの髪に触れそっと撫でる。

 「私は、賭けに負けてしまったな」
 小さく呟いて、それからもう少し大きな声で言う。

 「判りました。
 そなたの希望を叶えましょう。
 太政大臣」
 はっ!とお殿様は平伏し「失礼いたします」と御前を下がっていった。

 「その代わり、私の願いも叶えますよ」
 今度はふふっと楽しげに笑ってあたしの頬を撫で、手を離して「式部と内侍はおるか」と大きな声で呼んだ。
 式部さんと内侍さんが「失礼申し上げます」と入ってきた。
 
 「月子姫をお連れして」と主上が言うと「かしこまりました」と丁寧に頭を下げ、「姫様、こちらへお越しくださいませ」とあたしの手を取って立ち上がらせる。

 なに?
 なんなの?

 中宮様と宝鏡殿の女御様も、驚いたように主上を見ている。
 主上はあたしを見上げてにこっと笑い「では後ほど、月子姫」と言った。

 御簾の外、大広間にいる人たちもざわざわと動き出していた。
 え?ちょっと何?
 どういうこと?

 あたしは式部さんと内侍さんに導かれ、長い廊下を歩く。
 二人は興奮が抑えきれないように上気しているように見える。

 「ねえ、二人とも、何か知っているんでしょ?
 どういうことか説明して頂戴」

 あたしは二人に訊くけど、二人は顔を見合わせて曖昧に笑う。
 「もうすぐ判りますわ。
 実はわたくしどもも、詳しくは存じませんのです」

 ええ~?本当にぃ~?
 あたしは二人をめつける。

 二人は顔を逸らして、あたしの手を引いて急いでどこかへ向かう。
 やがてあたしは降りた場所とは違うところで、牛車に乗せられた。
 牛車はガラガラと動き出し、宮殿から出るみたいな感じ。

 どこ行くのよ~帰るの?
 訊いても無駄だろうな、と思いながらも訊いてみる。
 やっぱり笑ってごまかされる。

 そんなことを何度か繰り返し、意外と早く、牛車はどこかの門をくぐってどこかの敷地内に入ったようだ。
 太政大臣家《わがや》じゃないな。
 どこなんだろう。

 しばらく進んで、やがて牛車は停まり、後ろの御簾が巻き上げられる。
 「いらっしゃい、月子姫」
 廊下に立って、にこやかにあたしに手を差し出しているのは…東宮!

 え、何で?
 っていうか、そう言えば薫物合わせに居なかったよね?
 ここにいたの?

 あたしは東宮に手を引かれて、廊下に降り立つ。
 ひ、ろーーーーーい…

 宮殿もかくやと言うほどのでかい建物。
 とお――――くに馬場のようなものが見える。

 ここ、どこ?
 まさか、東宮御所、とか…?

 これから何が始まるのっっ??
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