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第十一章 露顕と三日夜の餅
24.本名ときょうだい会
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「おお、そうそう。
伊久子姫の結婚相手が権中納言殿に決まったのだよ」
お殿様が、ニコニコしながら閉じた蝙蝠で掌をパンと叩く。
伊久子姫??
誰?
「縫姫でございますよ」
あたしのポカンとした顔を見て、権中納言様が可笑しそうに笑って言う。
えっ!縫姫?!
あたしは驚き、それから、あっそうか、と納得した。
そうだよね、まさか「縫姫」なんて本名じゃないよね。
本当は「伊久子姫」っていうのか。
「縫姫も権中納言殿の求婚に最初はずいぶん固辞していたのだが、やっと承諾してくれてなあ。
父も、あの世の縫姫の母にこれで顔向けできるというものだ。
まあ…出自から言うと、正室になるのは難しいかもしれないが…」
うわー!縫姫、想いが叶って良かったねっ!
あたしは嬉しくなって元信様の顔を見る。
元信様もにっこり頷いてあたしの手を握った。
「うふふ、『お義兄様』、おめでとうございます」
あたしが笑み零しながら両手をついて頭を下げると、権中納言様は「ありがとう、月子姫」と照れたように笑う。
「ここに縫姫を連れて遊びに来ますよ。
これからも、算学のやり取りで研鑽しあいましょう」
わ、嬉しい!
もう縫姫に会えることもないかと思ってた。
「まあでも、太政大臣殿が楓間の更衣様と榊の上様の後ろ盾になってくださるということで、父上も私も安堵いたしました」
定信様が本当に安心したように言って、前の左大臣様と元信様も、お殿様に深く頭を下げた。
「なんの、儂には入内する娘が居らんでな。
榊の上様の後ろ盾になることについては、二の姫も了承してくれたし。
あの娘はほんに優しい…」
蕩けるような笑顔で、お殿様は蝙蝠を口許に当てる。
そうね、それについては全面的に賛成よ。
あたしへの当てつけであってもね!
「『水無月会』も賑やかになりますね」と権中納言様が言う。
「水無月会?」と前の左大臣様が不思議そうに訊く。
「えっでも…水無月会は、蒲原伊隆卿の実子が仲良くする、というのがコンセプトのきょうだい会でございますので…四人より増えることはありませんの」
あたしは戸惑って、現代語交じりで言う。
「へえ!そんな会を…月子姫は本当に面白いなあ。
それはぜひ、私も参加させていただきたいな!
元信の実兄だしね!」
定信様が目を瞠る。
いや…だから…配偶者や縁戚まで入れてたら、際限なくなるでしょうが…
この時代、皆さん、きょうだい多いんだから。
迷惑顔のあたしをよそに
「おお、それは良い。ぜひ東宮や余も参加したい」
と主上が言い出し、辺りは和気藹々として収拾がつかなくなってしまった。
伊久子姫の結婚相手が権中納言殿に決まったのだよ」
お殿様が、ニコニコしながら閉じた蝙蝠で掌をパンと叩く。
伊久子姫??
誰?
「縫姫でございますよ」
あたしのポカンとした顔を見て、権中納言様が可笑しそうに笑って言う。
えっ!縫姫?!
あたしは驚き、それから、あっそうか、と納得した。
そうだよね、まさか「縫姫」なんて本名じゃないよね。
本当は「伊久子姫」っていうのか。
「縫姫も権中納言殿の求婚に最初はずいぶん固辞していたのだが、やっと承諾してくれてなあ。
父も、あの世の縫姫の母にこれで顔向けできるというものだ。
まあ…出自から言うと、正室になるのは難しいかもしれないが…」
うわー!縫姫、想いが叶って良かったねっ!
あたしは嬉しくなって元信様の顔を見る。
元信様もにっこり頷いてあたしの手を握った。
「うふふ、『お義兄様』、おめでとうございます」
あたしが笑み零しながら両手をついて頭を下げると、権中納言様は「ありがとう、月子姫」と照れたように笑う。
「ここに縫姫を連れて遊びに来ますよ。
これからも、算学のやり取りで研鑽しあいましょう」
わ、嬉しい!
もう縫姫に会えることもないかと思ってた。
「まあでも、太政大臣殿が楓間の更衣様と榊の上様の後ろ盾になってくださるということで、父上も私も安堵いたしました」
定信様が本当に安心したように言って、前の左大臣様と元信様も、お殿様に深く頭を下げた。
「なんの、儂には入内する娘が居らんでな。
榊の上様の後ろ盾になることについては、二の姫も了承してくれたし。
あの娘はほんに優しい…」
蕩けるような笑顔で、お殿様は蝙蝠を口許に当てる。
そうね、それについては全面的に賛成よ。
あたしへの当てつけであってもね!
「『水無月会』も賑やかになりますね」と権中納言様が言う。
「水無月会?」と前の左大臣様が不思議そうに訊く。
「えっでも…水無月会は、蒲原伊隆卿の実子が仲良くする、というのがコンセプトのきょうだい会でございますので…四人より増えることはありませんの」
あたしは戸惑って、現代語交じりで言う。
「へえ!そんな会を…月子姫は本当に面白いなあ。
それはぜひ、私も参加させていただきたいな!
元信の実兄だしね!」
定信様が目を瞠る。
いや…だから…配偶者や縁戚まで入れてたら、際限なくなるでしょうが…
この時代、皆さん、きょうだい多いんだから。
迷惑顔のあたしをよそに
「おお、それは良い。ぜひ東宮や余も参加したい」
と主上が言い出し、辺りは和気藹々として収拾がつかなくなってしまった。
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