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第十一章 露顕と三日夜の餅
25.餅撒き立候補
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東宮が入ってきて、主上の傍に来た。
「厨から連絡が入りまして、餅撒きの為の餅の準備が整いましたと。
いや、大変だったようですよ、何しろあの大量の餅でしたからねえ…」
くすくす笑う。
「月子姫、後で美味しい餅を食べましょうね。
月子姫が以前におっしゃって居られた、雑煮や絡み餅なども用意させましたよ」
東宮はあたしを見てパチッと片目をつぶる。
あら、餅網の出番は?
あたしはちょっと不満に思う。
あたしにも訊いてよねっ!
「餅撒きは誰が行く」
主上が東宮に訊く。
「兄上や月子姫が外にお出になるわけにもいかないですし、私が行きましょう。
誰か、一緒に行ってくれるか」
東宮は部屋の中にいる、公達に声をかける。
右近衛大将様、左衛門督様、蔵人頭様、義光、伊靖君などの若手が挙手する。
「あっ!わたくしも行きますわ」
あたしが挙手すると、周りの空気が凍り付いた。
「いや…月子姫は、行かなくてよろしいですよ」
右近衛大将様が困ったように言い、皆が頷く。
「ここで餅談義でもして待っていましょう」
主上もあたしの手を取る。
なんで…?
あたしは素朴に疑問に思う。
さっき、釣殿で元信様や女房さん達の反応も似たような感じだった。
「どうして?
わたくしがこのお屋敷の女主人になったという、お披露目の祝いのお餅なのでしょう?
わたくしがいないとおかしいでしょう」
「貴族の北の方で、身分の高い女人は民の前に出たりはしないのですよ」
少し強い口調で元信様が言う。
お兄様も「そうですよ、貴女はもう元信の妻なのだから、慎みを持たなくては」と同調する。
えーっ!
なんで元信様ってばそんなこと言うのよ!
あたしは、ここの人間じゃないのよ、慎みなんか知ったことか!
あたしがぶんむくれると、東宮が
「私がずっと月子姫の傍にいるから。
それなら良いだろう。
何かあったらすぐに戻ってくる」
と元信様と定信様を厳しい目で見据えながら言った。
元信様は戸惑ったように東宮を見たが、東宮が立ってあたしの手を取り、
「さあ、暗くならないうちに行きましょう、月子姫」
と言うと、東宮に
「妻をお願い申し上げます」
と手をついて頭を下げた。
「言われなくても判っている」
東宮は不機嫌に言い、あたしを立たせて肩を抱いて「皆、行くぞ」と声をかけた。
他の公達も立ち上がって後に続いて西の対屋を出た。
「厨から連絡が入りまして、餅撒きの為の餅の準備が整いましたと。
いや、大変だったようですよ、何しろあの大量の餅でしたからねえ…」
くすくす笑う。
「月子姫、後で美味しい餅を食べましょうね。
月子姫が以前におっしゃって居られた、雑煮や絡み餅なども用意させましたよ」
東宮はあたしを見てパチッと片目をつぶる。
あら、餅網の出番は?
あたしはちょっと不満に思う。
あたしにも訊いてよねっ!
「餅撒きは誰が行く」
主上が東宮に訊く。
「兄上や月子姫が外にお出になるわけにもいかないですし、私が行きましょう。
誰か、一緒に行ってくれるか」
東宮は部屋の中にいる、公達に声をかける。
右近衛大将様、左衛門督様、蔵人頭様、義光、伊靖君などの若手が挙手する。
「あっ!わたくしも行きますわ」
あたしが挙手すると、周りの空気が凍り付いた。
「いや…月子姫は、行かなくてよろしいですよ」
右近衛大将様が困ったように言い、皆が頷く。
「ここで餅談義でもして待っていましょう」
主上もあたしの手を取る。
なんで…?
あたしは素朴に疑問に思う。
さっき、釣殿で元信様や女房さん達の反応も似たような感じだった。
「どうして?
わたくしがこのお屋敷の女主人になったという、お披露目の祝いのお餅なのでしょう?
わたくしがいないとおかしいでしょう」
「貴族の北の方で、身分の高い女人は民の前に出たりはしないのですよ」
少し強い口調で元信様が言う。
お兄様も「そうですよ、貴女はもう元信の妻なのだから、慎みを持たなくては」と同調する。
えーっ!
なんで元信様ってばそんなこと言うのよ!
あたしは、ここの人間じゃないのよ、慎みなんか知ったことか!
あたしがぶんむくれると、東宮が
「私がずっと月子姫の傍にいるから。
それなら良いだろう。
何かあったらすぐに戻ってくる」
と元信様と定信様を厳しい目で見据えながら言った。
元信様は戸惑ったように東宮を見たが、東宮が立ってあたしの手を取り、
「さあ、暗くならないうちに行きましょう、月子姫」
と言うと、東宮に
「妻をお願い申し上げます」
と手をついて頭を下げた。
「言われなくても判っている」
東宮は不機嫌に言い、あたしを立たせて肩を抱いて「皆、行くぞ」と声をかけた。
他の公達も立ち上がって後に続いて西の対屋を出た。
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