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本編

後日談 バカス・ノット・ユクレース

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 今思えば、俺が義姉を嫌いだったのって、兄上と仲が良かったからなんだろうなぁ――って思う。

 俺は兄上が大好きだ。あぁ、恋愛って意味じゃ無いぞ?俺ちゃんと女性が好きだし。まぁ、その所為でマリナという魔女に騙されたマヌケが俺なんだが――。あれは俺の黒歴史と言うヤツだ。いっそ忘れられれば幸せなのに。
 
 ……今でこそ健康優良児の代名詞ような俺だが、幼い頃は生っ白い病弱な子供だった。
 
 兄上曰く、「甘やかされてたからなぁお前、まぁ甘やかしたのは俺もだけど。過保護にされ過ぎて飲めば良くなるって薬も『苦くて死ぬ』と言って飲まないし――体力つけるために散歩させれば疲れたって、おんぶを要求して来るし」ろくな子供じゃ無かったよね?とか酷いです、兄上――。
 まぁ、そんな兄上が言うには「俺が可愛らしい子供じゃ無かったしなぁ――」と。何言ってるんですか、兄上――子供の兄上ですよ??可愛い以外に何があるって言うんです??俺も見たかったなぁ、幼児の時の兄上……。
 まぁ、後から産まれた弟の俺が赤児の兄上とか幼児の兄上とか見ようも無いんだけど。
 まぁ、でも俺の方は我儘だったし周りを良く見えていないオコサマだったと思う。
 
 俺が義姉上とはじめて会ったのはいつだったか……。

 そう確か恐怖の茶会の後だった。――そう……――恐怖の茶会だ……。
 何歳の時だったか、ほとんど熱も出なくなりもう大丈夫だろうと俺のお披露目が開かれる事になった。とは言え、同年代の子供達と遊ぶ機会が無かった俺の為に、母上が予行練習と言って茶会を開いてくれたのだ。

 友達になれる子がいるだろうか?

 俺が期待していた『お茶会』というものは、同年代の男友達が出来るかも!というワクワクしたものだった。兄上は茶会で将来側近予定の友人が出来たと言っていたし、俺にもそんな友人が出来るかもと期待したのだ。
 まぁ、そんな期待は粉微塵に砕け散ったんだが。
 ――同い年位の令息がいなかった訳じゃない。

 圧倒的に――令嬢が多かっただけだ。

 その令嬢達は、互いを牽制し合っていた。令息達はその有様を見て端の方で固まって怯えている……。俺と母上が来る前に何があったんだ?
 見れば、離れた所でドレスがドロドロに汚れた令嬢が、ギャンギャンと泣いているし俺は来て早々帰りたくなった。

 『あら……まぁ……?』

 母上も想定外だったらしい。
 母上が情報の確認の為に、俺の傍を離れた。その後だった――俺に殺到する猪の群れ――俺は、あの女たちのギラギラした目を忘れられない。アレは狩人が獲物を見る目だった。
 後は、俺の争奪戦と言う名の引っ張りあいだ。互いを牽制しての足の引っ張り合い?違う――

 物理的に!俺の手を引っ張り合ったんだ!!
 
 『私の王子様よ!』『違うわ!私の王子様っ!!』――俺は取りあいされる人形じゃ無い。
 衛士が気付いて助け出してくれる前に、俺の服はボロボロになった。ガクガクブルブルの茫然自失状態になった俺は、衛士に抱きかかえられたまま自室へ帰る事になったのだ――。
 結果――俺は暫く部屋から出られなくなった……。
 俺と母上があの場に行く前に何があったかは何故か兄上が教えてくれた。泣いてた令嬢が、あの場で一番家格が高くて周りの令嬢に喧嘩を売ったらしいのだ。

 『ふふん!わたくしが一番バカス殿下に相応しいのですわ!田舎の山猿は早くお山にお帰りなさい?いるだけ無駄でしてよ!!』

 切っ掛けの言葉はこうだ。
 それから言い争いになり、件の令嬢が泣かされる羽目になったと言う。
 ――王家とお近づきになりたい貴族が、茶会の話を聞いて年齢が近ければ王子妃になるチャンスがあるだろうと遠方の親族――中央の事に詳しく無い者達に片っ端から声を掛けた結果がこれだったらしい。
 伝手を頼りに茶会に令嬢を捻じ込むような連中だ。その令嬢が貴族らしい娘だとは限らない。数が多くとも礼儀も躾も行き届いて無いような娘が大半をしめていたらしい――俺が礼儀がどうのと言えた義理じゃ無いけどな。
 
 兄上が言うにはその喧嘩で血気盛んな状態になった所にエサが飛び込んで来たんろう――と。

 俺――餌だったのか……?
 あの場には、常識的な礼儀を身につけた令嬢も数多くいたらしいけれど、そんな令嬢達はこの騒ぎに呆れて巻き込まれないように距離を開けていたらしいから、俺の視界には入っていなかった訳で……。
 俺は女嫌いになった。
 一時的にだぞ?男が好きになった訳でもない。

 『……バカス。世の中の女の子はあんな野獣ばかりじゃないぞ?普通の女の子はフワフワしてて、柔らかくて優しいんだ……お前が怖がる必要は無いんだよ。野獣共は俺が宰相に色々チクっておいたからもう王都には来ないよ。家の方が大変だろうしね。――父上も、思い切った事をするよねぇ?』

 兄上はそう言って満面の笑顔を俺に見せた。
 当時は意味が分からなかったんだよな……。兄上の言った事。最近あの時の話になったから兄上に聞いてみたら、とんでもない事が分かった。
 兄上は、俺に殺到した令嬢達の氏素性を調べ上げ、その実家の交友関係、借金の有無――裏帳簿の有り無しや、犯罪に係わっていないかなどを調べ上げたと言うのだ。
 それで、脱税や犯罪に係わってた家は宰相の手土産にし、それ以外の家は王子を傷付けるような礼儀も知らない令嬢がいる家として噂が流れるようにしたと言う。
 しかも、その後――父上にもこんな事があったよ?と笑顔で言いに行ったらしい。その場に居なかった筈なのに、まるで見て来たような茶会の状況――その娘達の実家のアレコレ。

 怒った父上が何をしたかって?

 禁止されてる奴隷を売り買いしていた家は断絶。脱税はエゲツナイ感じで追徴課税をむしり取り、噂を流された家からの謝罪は決して受けなかった・・・・・・。実際は受けないだけではなく、存在を無視したらしい。
 そんな感じで、犯罪をしていた家は断絶か家格が著しく下げられる事になった。毟り取った分は街や村の灌漑工事や学校の建設費の一部になったらしい。
 噂を流された令嬢――?未だに嫁の貰い手が無いようだ。未だに謝らせて貰えないかららしい。……噂を流された家の令嬢が、俺の腕を引っ張り合いしはじめた元凶だったようだ。

 『うん?子供だったのにどうしてそんな事を調べられたかって?情報はね売買出来るんだよ。有用な情報を持っていればね?それを対価に欲しい情報を集められるからね』

 兄上、でもそれ子供が出来る仕事じゃ無いと思います。

 『まぁ――そうだねぇ。子供がそんな事に首を突っ込んだら、普通は嫌がられるからね。俺みたいな子供がいたら普通の大人は嫌だと思うよ。そういう意味ではあの事件は丁度良かったかな。将来俺の事を疎ましく思いそうだとか、利用できそうだと思ってるなとか分かったし。――俺としても先見の明がある連中と見分けられたしね。――バカス――お前は、俺が怖いか?』

 『まさか!驚きましたけど、兄上を怖がる事なんてありません!!』

 『ははっ!お前ってだから可愛いんだよな!!』

 ――俺もう成人した男なんで可愛いはちょっと――と言ったら、お前が弟なのは一生変わらないから、じいさんになっても可愛いと言うと思う。諦めろと言われた。
 ちょっと納得できない。
 それでも、俺は兄上を尊敬してるし大好きだ。

 だから、俺は義姉上が嫌いだった。
 
 タイミング的に恐怖の茶会の後にはじめて会ったっていう事もあると思う。あの時の俺は――女=怖い=嫌いって状況だったし。
 それに、兄上が義姉上といると俺が見た事無い顔をするんだ。まるで砂糖菓子でも食べたような甘い顔。
 兄上は、俺と遊んでくれたし優しかったけど、義姉上と比べれば俺の扱いは雑だった。まぁ、俺は男だし少々雑に扱う位が丁度良かったんだろうと今なら分かる。
 けれど、義姉に対しての兄の対応は細やかだった。甘やかといっても良いかもしれない。子供の俺にはそれが納得出来無かった。差別されたように感じたし、兄にお姫様のように扱われる義姉が羨ましかった。

 姫扱いされたい訳じゃないぞ?

 大好きな兄上を取られると思ったのだと思う。だから、俺は俺と仲良くしようとしてくれた義姉に酷い事を言ったり逃げたりした。彼女は哀しそうな顔をして、またそれを兄が慰めるからより義姉の事が嫌いになった。
 話をされても無視して、一切聞かなかった。
 周囲の人間はそれを見かねたのだろう――義姉の良い所を俺に教えようとしてくれたけれど――俺はそれが嫌で、不機嫌になったり、時には部屋の物を投げつけたりして反抗した。

 第二王子にエルグラ―ナ公爵令嬢の話をすると手がつけられなくなる――
 
 それが当時の周囲の認識で、そのうち義姉の話を俺にする者はいなくなった。我ながら最低だったと今は思う。
 だから、俺は兄上の婚約者が義姉だと知らなかったのだ。
 いや、これは言い訳か……。マリナの言葉だけを何も考えずに信じた結果……つまり自業自得だ。あの思い出すのも恥ずかしい事件を起した後――義姉上と再会したのは、兄上からの再教育を終えた後の事だった。
 俺が兄上にお願いしたのだ。
 義姉上に会いたい――と。

 『……どんな意味で俺にそう言ったのかまず話してごらん?』

 黒い兄上が降臨した。
 それは、邪な気持ちを義姉に抱いていた場合は殺す。義姉に文句を言う場合も殺す――そう聞こえるヤツだ。
 もちろん、俺にそんなつもりは無い。けれど、兄上は大真面目だし、その殺気も威圧も本物だ。正直、以前の俺なら動けずに気絶しただろうと思う。

 『義姉上に謝りたいです。舞踏会の時の失態もそうですが、幼い頃の事も――』

 俺は、兄上から目を逸らさずにそう告げた。絶対に目を逸らせてはならない――本当にそう思っているのだと伝える為に……。後は目を逸らせたら狩られる――という本能的なものの忠告に従ったとからだ。

 『そうか』

 兄上は嬉しそうに笑った。
 そして、ぐりぐりと俺の頭を撫でる。

 『ベルに聞いておこう。多分嫌だとは言わない筈だ……』

 そうして数日後、俺は義姉と再会した。
 義姉は腕にリュカを抱いていた。しかも柔らかな笑顔を浮かべて俺の腕にリュカを乗せたのだ!
 俺は思わず、義姉の横に居る兄上を見た。兄上は諦めろと言うかのように苦笑している。

 『抱っこしてあげてくれる?叔父さま――そう。頭を支えてあげてね……そんな怖がらなくても大丈夫よ』

 俺の腕の中のリュカは少し嫌そうな顔をした後、泣きもせず大人しかった。
 小さな手を伸ばして俺の顔を確認するようにペチペチと叩く。赤ん坊は体温が高いらしい。その温もりと重みが少しだけ安心感を与えてくれた。
 義姉の行動に正直に言えば、驚いた。謝るより前に『もう大丈夫よね?信じるわよ??』そう言われた気がする。俺は、こんなに優しい人を邪険にしたのかと後悔が募る……。昔の自分が情けなくて泣きそうになった。

 謝るのには勇気がいる。

 迷惑を掛けた相手にどう思われているだろうと考えたり、許してもらえないかもしれないと思ったり。
 ましてや、許して欲しいと思う相手に自分が悪かったのだと告げる事は、許して貰わなくても良いと思う相手に謝るよりも困難だと思う。
 だけど義姉は、先に許すと示してくれたのだ。ここで、ちゃんと謝らなければ俺は恥知らずになるだろう。義姉に会わせてくれた兄上にも失望されるに違いない。
 何よりも、腕の中の甥っ子に情けない所を見られたく無かった。俺は、リュカを兄上に手渡すと、義姉上の前に立ちその目をまっすぐに見た。

 『義姉上と――敢えて呼ばせて下さい。幼い頃、俺は兄上を取られる気がして貴女の事が嫌いでした……貴女は家族になるのだからと俺と仲良くしようとしてくれたのに……俺はそれを理解しようとしなかった。酷い言葉や態度を取りました。それに、舞踏会の件です。魔女の甘言に惑わされ――いえ、その言葉を信じる事を選んだのは俺です……俺は愚かな子供でした。しっかりと周りを見る目を持っていれば、おかしいと思えたはずなのに……。申し訳ありませんでした――俺は……貴女に最低な事をしました――』

 『……許しますわ――ラグの大切な弟ですもの。リュカだって、叔父さんに遊んで欲しいと思いますし……それに謝るって意外と難しいと思いますの……。謝っているつもりが自己弁護になってしまったり……けれど、バカス殿下はそれをしませんでしたわ。自分の事をしっかりと顧みて努力なさったのだと、わたくし感じましたもの――わたくし、昔から妹か弟が欲しかったのです。わたくしを義姉と呼んで下さるなら、バカス殿下はわたくしの義弟ですわ』

 良い年をして恥ずかしいけれど、俺はこの時半泣きだったと思う。
 それを見ないふりをしてくれた兄上、義姉上――この時に俺は絶対に二人を裏切らない生き方をしようと誓った。いずれ兄上は王となる。その治世を担う一翼に俺はなりたい。
 沢山の人に失望された俺だけれど、この二人は俺を許して信じてくれたから……。
 それから俺は遅まきながら一生懸命に勉強した。恥ずかしさを飲みこんで休学していた学園に戻り、愚かな俺に付き合わせてしまった友人達と再会した。皆一様に恥を忍んでの復学だ。
 それでも、皆それが自業自得である事を理解していた。

 『我々も、謝罪の機会を与えて頂きたいのですが……殿下からお伺い頂けないでしょうか……』

 そう言って頭を下げる三人を見た。かつての俺達からは考えられなかった言葉と態度だろう。
 プライドが高いだけの、人の話を聞かない子供――それがかつての俺達だった。けれど、あの暗い森の中でプライドなんて何の役にも立ちはしない。
 森に行くまで愚かにも、自分達は偉いし強いと勘違いしていたのだ……王の子供だから――高位貴族の子供だからと――それがなんだと言うのだ?それの何処が偉いというのか……。そんな事にも気が付けない幼い精神。
 俺はただの王の息子で、自分では何も成し遂げた事などなかったのに――けれど、その根拠の無い万能感は森の中でベキバキと折られた。今は本当に良かったと思っている。 
 後日、兄上の許可を得て皆も義姉上に謝罪の機会を得られた。義姉上の従弟のルディスはとても居心地が悪そうであったけれど、ちゃんと謝罪をして皆で義姉上に許して貰う事が出来た。
 心のつかえが取れたのだろう。皆頑張って学業に励み、最終学年時には俺が生徒会長――他の奴等もそれぞれ生徒会役員をするまでになった。
 推薦され、生徒会長になった時――周囲を失望させ、愚かだった自分が許されたような気がしたのを覚えている。

         ※         ※         ※
 
 「何をしてますの?」

 声を掛けられて俺は顔をあげた。
 片付けをしていて出てきた昔の写真についつい見入っていたらしい。

 「あぁ、写真ですのね……やだ、メイベルとお義兄さま、全然変わってないじゃない!あの夫婦どうなってるのかしら??」

 「確かに――。あの二人は変わらないなぁ……」

 学園を卒業して十年。
 時の流れの速さを感じる。父上は健在だけれど、早々に母上と田舎に引っ込んで玉座から退いた。良く分からないが、新婚生活をやり直すのだと言う。だから、兄は現在国王だし、義姉上はもちろん王妃だ。
 可愛かったリュカは、綺麗な顔が災いして誘拐されかけたりしたせいか、少し冷めた子供になった。顔の事を言うのは禁句だし、性格も兄上寄りになって来ている。兄上の事は大好きだが、性格はちょっとアレな所があるので、リュカには義姉上に似て欲しいと思う。
 あぁ、もちろん誘拐犯と黒幕は兄上によって塵も残さず殲滅されている。
 外国の貴族だったらしいが、皇太子を誘拐しようと思う辺り物凄い馬鹿だったんだろうなぁ……。
 リュカの下は二人。弟のアレクはおっとりのんびりした子だ。いないと思ったら、アリの行列をじっと見ていたりと、昆虫をはじめ、動植物が好きらしい。
 一番下の妹は唯一の女児と言う事で、特に皆から可愛がられている――昔の俺に近い物を感じるけれど、あの兄上が自分の子をあのまま放置はしないと思うので大丈夫だろう。義姉上もいるし……。
 
 「これ、子供の頃ね――、あのお茶会があった頃かしら?」

 「……それを思い出させないでくれ……」

 彼女の細い指の先、幼い頃の自分がむくれ顔で写真に写っていた。確かにこれは、あの茶会の後、暫くしてから写したもので、部屋に引き籠っていた所を兄上に引っ張り出されて拗ねていた時の写真だと思う。
 あの恐怖の茶会は、未だにトラウマだ。

 「あの時の状況、本当に酷かったものねぇ!」

 クスクスと笑う妻を膝の上に抱え込む。彼女は義姉の親友で、あのお茶会に出席させられていた・・・・・・・令嬢の一人だ。国に貢献した商人が男爵に叙爵された。その財力と商人としての手腕で男爵ながら、かなりの発言力を持っているその人が父親だ。
 そんな人の娘である彼女は、あの場で俺の惨状を楽しみながら見ながら関わり合いにならないようにケーキを食べていたらしい。なかなか良い性格をしていると思う。
 しかも、父親は茶会の惨状と合わせて、その後の俺の行動があまりにも馬鹿そうだったので、王子の婚約者に名乗りを上げるのは止める事にしたようだ。旨みが無いなら手を引く――その判断が早い所がいかにも商人らしい。
 まぁ、昔の俺なら、縁を結んでも害にしかならなかっただろうから、当然の判断だろう。
 それなのに、俺が恋して彼女に求婚し続け――五年かけて口説き落とされるとは義父も思ってもみなかったはずだ。彼女にしても、俺と結婚するつもりはさらさら無く、結婚は面倒そうだから一生独身で行こうと思っていたらしい。

 『あんまりにもしつこいから、可哀想になって来たわ……』

 『なら、結婚してくれ』

 正式な求婚とは言えない告白――それで結婚してくれるとは正直、俺も思わなかった。
 妻いわく、デカイ身体の癖に捨てられた子犬みたいな目で言われたから?との事で、運よくその目に絆されてくれたらしい。
 その後、俺は良く、彼女にデカイ犬扱いされる事となるけれど――……膝枕で髪をワシャワシャされるだけだし、俺的には一切問題無いので幸せだ。
 来年には、俺も父親になる。兄上のような父親に俺もなりたい。子供は双子だというので、にぎやかになるだろう。今からそれが楽しみで仕方が無い――。
 俺は妻を後ろから抱きしめながら幸せを噛みしめた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 当初の予定だと、結婚まで書く予定は無かったのですが、気が付いたら結婚してました。書きながら、バカス結婚するならベルの親友のお姉さんと結婚しそうと思ったのが運のツキです。
 相変わらずお兄ちゃん大好きだし、天然な所は残ってますが……成長したバカスとなります。バ可愛いを目指し、お馬鹿さんになってしまい、その終着点がこちらです。
 それでは、次回はベル&ラグの子供アレク視点がメインで執筆予定です。この感じだと、次の番外編も長くなるかも?更新時期が明確にできなくて申し訳ありませんが、宜しくお願いします。
 
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