異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

第42話 王立学院の日常

王立学院に登校して、教室に入ると、生徒達がイールスを見てヒソヒソと噂話をしている
「イールス様、おはようございます」
アリシナが、イールスを見付けて笑顔で言いながら、イールスの前に来る
「イールス様、おはようございます」
フレシカが、アリシアの後ろで微笑んでいる
「アリシナ様、フレシカ様、本日もお元気そうで嬉しく思います」
頭を下げながら、丁寧に挨拶をしている

「選択授業ですが、本日は魔法薬作成や魔法学が有ります。イールス様は取りますか？」
アリシナがイールスを見詰めている
「魔法薬作成と魔法学ですか？ 冒険に役に立ちますので、受けたいと思います。 それと料理も少し興味が有ります」
「本当ですか！！ 私も受けます！！」
アリシナが満面の笑顔で言うと、フレシカが微笑みながら見ている

午後になり、選択授業の教室に向かう
「イールス様、人が少ないですね」
アリシナが残念そうに言う
「そうですね、魔法薬作成はやっぱり人気は無いのでしょうか？」
周囲を見てから、空いている席に座り、アリシナとフレシカがイールスの両脇に座る
「あ！！ 居ました」
クレーシアがやってくる
「クレーシア、遅いですよ」
アリシナが嬉しそうに笑顔で言うと、クレーシアがアリシナの隣に座り、アリシナと仲良く話していると、次々と生徒達が入ってくる

講師が入ってくると、部屋を間違えて無いか確認している
「今年は多いが、魔力が無いと魔法薬は作れないぞ」
講師が苦笑いして、生徒達を見ている
（何故こんなに？ 満席なんて初めてだぞ！！ 何が起きている！！ それもほとんど女性何て！！）

「あの・・・席が足らないのですが・・・」
生徒達が急いで入ってくると、周囲を見て言う
「は？ えーと・・・事務局に」
講師が苦笑いしていると、慌てたように人を呼んで、相談をしている

事務局の人が慌てて、椅子をいくつか持ってきて、生徒達が座り始める
「魔法薬の説明から始める・・・」
講師が真剣に説明を始めると、寝ている生徒もいる

「次回、魔力が有るか、確認して魔力が有る者が優先的に授業を受ける資格を与える事にする」
講師が最後に言うと、生徒達が顔を見合せて、ヒソヒソ話をしている。イールス達が教室を出ていくと、多くの生徒がすぐに教室を出ていく

イールス達は、魔法学の教室に入り、空いている席に座り待っていると、多くの生徒が次々と集まり、席に座っていく
「イールス様、何だか人が多いですね」
アリシナがイールスを見て言う
「何故でしょうか？ こんなに魔法に興味がある人が居るのでしょうか？」
周囲を見てから言う

魔力が無いとあまり役に立たないのに…みんな、研究熱心なのかな？

「イールス様、自覚が無いのですか？ イールス様が受ける授業だからです。 イールス様の受ける授業を沢山の生徒から聞かれました」
クレーシアが呆れたように言う
「何故でしょうか？」
「え！ 自覚が無いのですか？ あれだけパーティーで見せ付けて・・・ ルーゼント伯爵家と親密な関係なら、多くの人がイールス様と仲良くしたいと、思ってます」
クレーシアが呆れ気味に言うと、アリシナがイールスを微笑みながら見詰めている
「目立ちたく無いのですけど…」

講師が入ってくると、生徒の多さに驚いて教室から出て確認している
「魔法に興味が有る人が、多いとは！」
講師が嬉しそうに言うと、授業を始め、多くの生徒が興味無さそうに聞いている

授業が終わる
「イールス様、内容解りましたか？」
アリシナが少し眠そうに聞く
「はい、基礎的な事は、本で読んでいますので、知識は有ります」
「え！ イールス様魔導書読んでいたのですか！」
アリシナが驚いている
「魔法も少し教わりました。まだまだ未熟ですが・・・冒険者になったら、魔法が使える方が有利だと思ってます」
「魔法が使えれば、後ろから援護も出来ます」
フレシカが笑顔で言う
「魔法・・・後ろから援護・・・イールス様と一緒に冒険が出来るかも・・・勉強しないと・・・」
アリシナが考えながら呟く
（魔法覚えて、イールス様と冒険もしたい）
「アリシナ、魔法は才能が全てです。中々才覚が有る人は居ませんよ」
クレーシアが言うと、アリシナががっかりしている

数日後
「今日は選択授業を受けないのですか？」
アリシナが寂しそうに聞く
「はい、アリシナ様興味が有る授業が有りませんので、午後は帰ります」
「そうですか…明日また会いましょう」
アリシナが寂しそうに言うと、イールスは、王立学院を出て、魔法研究院に向かう

魔法研究院の門番に通行証を見せて
「イールスと申しますが、メデル様宛で魔法薬の勉強で来ました」
「少しお待ちください」
門番が事務員に伝えると、事務員が出てくる
「案内します。こちらへどうぞ」
事務員が少し驚きながら言う
（この子がメデル様が直々に案内するように言っていた子なの？ まだまだ若い少年にも見えますが…）

魔法薬研究室に案内されて、メデルの部屋に行く
「イールス、来たのですね、早速作りますか？」
メデルが微笑みながら言う
「メデル様、お久し振りです。御迷惑かも知れませんが、今日はポーション作成を教えてほしく、御訪問させて貰いました」
丁寧に挨拶をすると、メデルが微笑みながら案内してくれる。メデルに見て貰いながら作成を始める。瓶に詰め終わり、イールスが続けて準備を始め、次のポーションを作成を始め、メデルが慌てた様子で見ている
（は？ 連続作成！！ この子やっぱり異常すぎます！！ 天才セロスを越える才能かも…）

人を呼んで鑑定を始める
「メデル様、良いデキです、小銀貨２枚になります。合わせて２０本ですので、大銀貨４枚です」
「やっぱり…すぐに用意しておいて下さい」
メデルが言うと、職員がポーションを持って出ていく

メデルの部屋に向かい、ソファーに座る
「イールス、この間の解毒薬も良いデキでした。 イールス王立学院はどうですか？」
メデル微笑みながら聞くと、イールスが色々な出来事の話をしている
「まさか…王立学院からの応援依頼の授業をイールスが受けていたなんて…あんな授業受けるより、魔法薬作ってくれた方が、王家の為になるのに…」
メデルが呟く
「大変勉強になってます。冒険者になる為に色々経験が出来て嬉しく思ってます」
「イールス、王家の為を思うなら仕官しなさい…すぐに決める必要は有りませんが、考えておきなさい」
メデルが真剣に色々な話をイールスにしている

「メデル様、本日も貴重な時間費やして頂き、本当に感謝してます」
頭を下げながら、丁寧に挨拶をする
「攻撃魔法も教えて欲しかったら、ポーション１００本作ったら教えます。セロスの馬鹿野郎に任せておけません」
メデルが考えてから言う
「え！本当ですか！！ 頑張って作成するようにします」
イールスが嬉しそうに言うと、イールスが帰っていく姿をメデルが見ている
「あの子…凄いのが解ってないのですか？ 連続作成何て荒業見せて、その上未熟者で済む訳有りません…あの子は絶対に仕官させます…知識に得たら名を残す魔法使いになりそうですが…」
メデルがイールスの後ろ姿を見ながら呟き、ニヤニヤしている