異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇

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第137話 フィーネリーゼと薬草 中編

フィーネリーゼを見送ると、女性を見ている
「申し訳無いのですが、すぐに荷物もまとめて貰いますか? 妹様の分も」
イールスが考えてから女性を見て言う
「すぐに」
女性が驚いたように呟き、侍女に指示すると、侍女が嬉しそうに頭を下げてから走っていく

フィーネリーゼと侍女が薬草を植え替えた鉢を持ってくる
「フィーネリーゼ様、立派な花ですね」
イールスが鉢を見て言う
「3年も掛かりましたから…見納めですけど」
フィーネリーゼが花を見て呟き、少し悔しそうな顔をしていると、イールスの馬車が入ってきて、馬車に鉢を乗せている。荷物を持った侍女も屋敷から出てくる
「フィーネリーゼ、イールス様に匿って貰いなさい、良いですね」
女性が微笑みながら言うと、フィーネリーゼが驚いている
「妹が…不幸に出来ません」
フィーネリーゼが抗議をする
「令嬢様も知り合いに匿って貰います」
イールスが笑顔で言う
「フィーネリーゼをこれ以上不幸に出来ません、フィーネリーゼなら何処でも幸せになる道は有ります…早く行きなさい…愛しています」
女性が微笑みながら言うと、フィーネリーゼが考えながらイールスの馬車に乗り込む。走っていく馬車を女性が見送っている
(不自由な生活をさせました…この数日のあの笑顔…きっと幸せになりなさい…いつかもう一度幸せになった姿を見たいですが…)

イールスは、王立学院に向かい、令嬢を呼び出してからシリカローレンも呼び出して、一緒に馬車に乗って貰う。馬車の中で説明をしながら、ビーレルバウム男爵家の屋敷に向かう
「イールス様、必ず令嬢は守ります」
シリカローレンが微笑みながら言う
「頼みます。 フィーネリーゼ様も別の知り合いに匿って貰いますから安心して下さい」
イールスが笑顔で言うと、令嬢が申し訳なさそうに見ている
「御父様が許さないと思いますが…」
令嬢が考えてから申し訳なさそうに呟く
「商人への借金の件ですが、男爵様以外に取り立ては行きません、ビーレルバウム男爵家に商人は近付け無いですから…結納金と言う令嬢売買は成立もさせないですから…」
イールスが笑みを浮かべていると、シリカローレンが気が付いた様に頷いている
(相手があの商会ですか? それなら追い返ししますが…資金もイールス様なら余裕で用意出来ますから安心して良いですね)
「そこまで…御母様は…」
令嬢がフィーネリーゼと相談をしている間に、ビーレルバウム男爵家に到着して、シリカローレンと令嬢が降りて、イールス達はセルメリア侯爵家に向かう

イールスが馬車を降りる
「イールス様、来訪歓迎します」
執事が笑顔で頭を下げている
「申し訳無いのですが、少し事情が有るので…大変申し訳無いのですが、ブライドル様を呼んで欲しいと思います」
イールスが挨拶をしてから頭を下げて、小声で言う。執事がイールスの目を見て少し考えてから、侍女に伝えると、しばらくしてブライドルが出てくる
「友よ!! 遠慮は要らないぞ」
ブライドルが嬉しそうにイールスを見ている
「ブライ様、本日もお元気そうな姿を拝見できて嬉しく思います」
イールスが丁寧に挨拶をしていると、執事や侍女が驚いたようにイールスを見ている
「イールス、どうかしたのか?」
ブライドルが少し驚いたように馬車を見ていると、フィーネリーゼが申し訳なさそうに顔を出している
「実はフィーネリーゼ様を匿って欲しいのですが…借金の所為で、結納金と言う資金欲しさに奴隷のような結婚をさせられそうになってます」
イールスが事情を話すと、ブライドルが驚いたようにフィーネリーゼを見ている
「申し訳無いのです…断って貰っても良いです…」
フィーネリーゼが頭を下げながら言う
「解った! イールスの頼みならいくらでも匿うぞ」
ブライドルが笑顔でフィーネリーゼを見ている
「ブライ様、実はもう一つ…この3つの薬草は持ってないですか?」
イールスがメモを差し出すと、ブライドルがメモを見ている
「有るぞ! 案内しよう」
ブライドルが笑顔で言う
「本当ですか? 少し病気で薬草が必要なので譲って貰えますか? 必ず御礼して貰いますので…」
イールスが頭を下げている
「病気か? 解った!! すぐに用意させるぞ!! フィーネリーゼ様も早く行くぞ」
ブライドルが笑顔で言うと、フィーネリーゼがブライドルと一緒に歩いていき、イールスも追い掛けていく。執事と侍女が驚いたように見送っている
(ブライドル様の笑顔…ブライ様と言う事は…家柄も内緒にしているのか? 旦那様に報告も必要なのか…様子を見た方が良いのか…)

温室に入ると、フィーネリーゼの目が輝き、嬉しそうにブライドルと話しながら植物を見ていると、侍女がメモの薬草を鉢に植え替えて持ってくる
「イールス、この植物だ! 急ぐのか?」
ブライドルが笑顔で言う
「フィーネリーゼ様を頼みます」
イールスが頭を下げている
「任せてくれ、温室を一緒に楽しめるのは良いことだ」
ブライドルが笑顔で言う
「こんな凄い温室が有ったなんて、早く見たかったです」
フィーネリーゼも興奮気味に言うと、イールスが鉢を受け取り、侍女の案内で馬車まで戻る

馬車に薬草の鉢を乗せる
「それではこれで失礼しますが…一人言ですが、ランクスルバウム男爵家のフィーネリーゼ様は、社交界では悪い噂が流れていますが…3人の元婚約者の所為です。 調べて本人を見てくれれば解ります…今回も借金の所為で危ない事になってます。母親の許可を貰い匿いますので…あくまで一人言です」
イールスが執事を見て言う
「畏まりました。 フィーネリーゼ様は外出しないように匿います」
執事が微笑みながら頭を下げると、イールスは馬車に乗り、セーレンと合流してから王宮に向かう

兵士に伝えて、バウルトリアを呼んで貰い、イールスが丁寧に挨拶をする
「イールス、馬車に呼ぶ等…何を考えている?」
バウルトリアが呆れたようにイールスを見ている。騎士達も意外そうにイールスを睨んでいる
「こちらの鉢を届けに来ました。この鉢を持って入るのは難しく大変申し訳無いと思っています」
イールスが馬車の鉢を見せて説明をしている。バウルトリアが驚いたように見ている
「まさか…それも完全な物を…すぐに薬師を呼べ」
バウルトリアが驚いて目を見開き、騎士に怒鳴ると、しばらくして薬師が走ってくる

「嘘…間違いないですが…何故?」
薬師が驚きながら薬草を見ている
「大切に育てていた人に譲って貰いました。後程御礼を伝えて欲しいと思います」
イールスが笑顔で頭を下げている
「すぐに持っていけ!! 絶対に無駄にするな!! 薬草が見付かって祈る言い逃れ出来ないぞ!!」
バウルトリアが大声で言うと、薬師が大事そうに鉢を抱えて歩いていき、バウルトリアと王宮に入り部屋に向かいソファーに座る
「イールス、何故あの薬草を手に入れられた」
バウルトリアがイールスを見ている

「温室です。実はしばらく前から温室に薬草が有るのを知りました。魔法研究院から予算申請出てませんでしたか?」
イールスが笑顔で説明している
「あの申請…薬草を育てられるなら…必要だが…簡単では無いだろう? 大丈夫なのか?」
バウルトリアが考えながらイールスを見ている
「温室を作り、今回の薬草を栽培している人に栽培方法など色々指導して貰いたいと思います。 花好きの人ですが、既に趣味の範囲を越えています。花が咲けば凄く喜びます」
イールスが笑顔でフィーネリーゼの性格等を話している

「今回の褒美の件も有るから…すぐに許可を出して貰う…温室か…盲点だったな…至急作らせた方が良いが…王太子妃様の病気次第か…」
バウルトリアが考え込んでいると、セーレンが驚いている
(え! バウルトリア師が機密をバラすなんて…相当な事ですけど… あの顔は言葉にした事を気が付いて無いのですか?)
「それでは本日はそろそろ失礼したいと思います」
イールスが笑顔で頭を下げている
「イールス、病気が治ったら使いを出すぞ」
バウルトリアがイールスを見て言うと、イールスとセーレンが帰っていく
「イールスにもっと早く相談をするべきだったな…イールスの事を王家の命の恩人と称えたいが…無理だろうな… 旅に出したく無くなるが…若い内に苦労も…」

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