異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇

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第149話 リシリアと迷宮 中編

イールス達は少し休憩をしてから騎士達に見送られて、扉を開けて部屋に入る
「え? あのボス…グレイウルフでない…シルバーウルフ!!」
クレオがボスの姿を見て呟き、剣を構えている
「グォーーーーーーー」
シルバーウルフが咆哮をあげると、ウルフが数頭現れてくる。リシリアが驚いた様に立ち尽くし、イールスは魔剣を抜いて、接近しようとしている

ウルフ達が突進してくると、バロンと護衛達が剣を構え迎撃している。イールスは闘気をまとい、シルバーウルフに接近していく

シルバーウルフはイールスが接近してくると、突進しながら噛み付こうと飛び付き、イールスはかわしながら、剣を振り抜いてシルバーウルフの前足を斬り、足が黒い霧なって消えて、シルバーウルフは体勢を崩した様に倒れ込み、イールスはすぐに追撃するようにシルバーウルフの首目掛けて剣を振り下ろし、シルバーウルフが両断されると、黒い霧になって消えていく

「カルスさん、流石です」
クレオが笑顔でイールスの方にやってくる
「こんなに簡単だったかな? 弱い個体だったのかな?」
イールスが残った毛皮と魔石を見て呟く
「いつも4層で戦っているからだと思います。カルスさんは本当に強いですから」
「え? 半人前の未熟者だよ」
イールスが笑顔でクレオを見て言うと、護衛達が呆れた様にイールスに視線を集めている。護衛達もウルフを全部倒して魔石と牙を拾っている
「カルスさんは目標です!! もっと鍛練して強くなります」
クレオが笑顔で言うと、イールスが魔石と毛皮を拾い、鞄に入れている。
「クレオ半人前の未熟者を目標にしたらダメだよ! …目標はもっと高くしようね…騎士に見付からない様に早く進もう」
イールスが笑顔で言うと、全員イールスを見て、護衛達は苦笑いしている
(半人前の未熟者では無いですから…早く誰か達人と教えて欲しい…いつまで半人前と言うのか…一生か? クレオさんとリシアさんも相当な実力者になっているのに、まだまだ半人前と思っているのも似ているのか? バロン殿何とか言ってくれ…全員がイールス様の影響を受けているか…)

2層域に向かい、戦っている騎士や兵士に近付かない様に進み、門の前まで到着すると、休憩を取り始める
「この頃騎士や兵士が多いです…バロンさんがいつも一緒だから安心はしていますけど…」
リシアが少し落ち着かない様に呟く
「遠征が近いからかな? …この程度の階層で鍛練にもならないと思うけど」
イールスがリシアを見て言う
「遠征が近い? 何か起きているのですか?」
リシアが驚いた様にイールスを見ている
「まだ発表はされてないから、内緒にね」
イールスが慌てて言うと、バロンが苦笑いしている
「はい、カルスさん…カルスさんも向かわれるのですか?」
「予定は無いよ…どうかしたの?」
「え! もし向かうなら御一緒したいと思っています。カルスさんが居るから迷宮にも入れるので…カルスさんが良ければお願いします」
リシアが笑顔で言うと、クレオも頭を下げている
「予定は無いから安心して良いよ」
イールスが笑顔で言うと、バロンがイールスを見ている
(侯爵家が動くなら、レズムード伯爵家は動かない筈だな…イールス様が向かわれるなら、総大将になると思われるが…クリオとリシアの能力ならイールス様の護衛も出来るだろう…)

扉から入ると、奥に白い大きなタイガーが姿を現す
「ホワイトタイガー!!」
イールスが闘気をまとい突進しながら叫ぶと、ホワイトタイガーがイールスに向けて飛び付いてくる。イールスがホワイトタイガーの前足をかわして、剣を振るが、ホワイトタイガーを掠めて黒い煙をだしながら、ホワイトタイガーが飛び退いている

ホワイトタイガーはイールスを警戒するように間合いを取っている
「魔力の源よ、炎の矢となりて、我が敵を穿て!ファイヤーアロー」
リシリアがホワイトタイガーが動かないのを見ながら魔法を放ち、炎の矢がホワイトタイガーの顔に当たり、ホワイトタイガーがよろけてからリシリアを睨み、すぐにイールスの方を見るが、イールスはすでに姿が無く、ホワイトタイガーはイールスを探すように周囲を見ている。イールスを視界に捉えた瞬間、イールスの剣がホワイトタイガーの首に迫り、ホワイトタイガーが両断され黒い霧なって消えていく

イールスが残った毛皮と魔石と腕輪を拾っている
「兄様、余計な手出ししましたか?」
リシリアが不安そうに聞く
「良いタイミングだったよ、ホワイトタイガー警戒して動かなかったから…ファイヤーアローも完璧だったよ」
イールスが微笑みながらリシリアを見ている
「良かったです」
リシリアが少し嬉しそうに笑みを浮かべる
(褒められた? 嬉しいーーー)

3層域向かい、イールスは全員に魔剣を手渡している
「バロン、この腕輪使ってね」
イールスが腕輪を差し出して言う
「イールス様、イールス様の方が必要では? それに効果は?」
バロンが驚いた様に腕輪を見ている
「疾風の腕輪と言ってました。バロンが早く動けたら、色々便利でしょ」
イールスが笑顔で言うと、イールスもミノタウロスの金の腕輪を出して、身に付けている
「イールス様にこそ必要では…え! もう1個…」
バロンがイールスの腕輪を見て苦笑いしている
「こっちの腕輪の効果も確認しないとね」
イールスが笑顔で言うと、護衛達がバロンを見て苦笑いしている
(イールス様ですから、文句を言ってももう聞きません…さっきも拾ってましたから、次は…リシリアさんかクレオさんに手渡すのか? 身に付けたくない気持ちは解るが…助けられないぞ)

「リシリアさんに身に付ける方が有効では?」
バロンがリシリアを見ている
「実は…もう受け取ってます…」
リシリアが外套から腕輪を見せて言うと、バロンが諦めた様にリシリアの顔を見てから身に付けている
(腕輪を簡単に臣下に貸し与えるなんて…イールス様が相手では文句を言っても仕方無いか…誰か常識を教えないのか? この腕輪の価値も誰か教えて欲しい…そもそもリシリアさんも何者だ?)
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