異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇

文字の大きさ
162 / 369

第162話 イールスの仕返し 後編

しおりを挟む
イールスとセーレンが屋敷に帰ってくると、セバスがイールスを見て安心したような顔になっている
「イールス様、御無事で何よりです。メサリア様が心配しながら待っています」
セバスが頭を下げながら言う
「御心配を掛けしました」
イールスが丁寧に挨拶をして、屋敷に入っていく

リビングに向かうと、メサリアとアーメリアが待っている
「メサリア様、アーメリア様、御心配をお掛けして大変申し訳ありません」
イールスが頭を下げて言う
「イールス!! 怪我は? 大丈夫なのですか?」
メサリアがイールスを見て少し安心したように言う
「強敵で危なかったです。 まさか命を狙われるなんて思いませんでした」
イールスが頭を下げている
「はぁ…強敵で済ませるのですか? 仕返しもしてきて…」
セーレンが苦笑いしている
「セーレン様、何が有ったのですか?」
アーメリアがセーレンを見てきく
「王立学院襲撃事件は、イールス暗殺とイールスの名声潰しですね…まさか、ディオルバルク・ランドルセイルバウムを一騎討ちで倒すなんて…それもギゼルナム商会に乗り込んで、賠償金の約束と返り討ちにして…黒幕の騎士団副団長を捕らえさせたのですから…それも王命まで出ている状況で、公爵様も協力的ですから…噂になるのは間違いないでしょう」
セーレンが呆れたように説明している

「イールスですのーーーー仕返しもして帰ってきましたのーーー 騎士団を潰す気ですのーーーーーー! ザマーですのーーーー」
メサリアが満面の笑顔で叫んでいる
「困りましたね…イールスの強さを見せ付けたのは…ディオルバルクと言えば、王国騎士でも最強クラスの実力だったはずです。今後どうなるのでしょうか?」
アーメリアが諦めたように呟く
「下賤な身の未熟者が大変な御迷惑をお掛けして申し訳ありません、責任を取って冒険者になります」
イールスが頭を下げている
「アーセリオドールに言いなさい」
「アーセリオドール様とヘルクドール様は、御仕事中でしょうか?」
イールスが居ないのを考えながらきく
「事が事で王宮に出仕しています…王立学院襲撃なんて大問題ですよ」
アーメリアがイールスを見て言う
「御迷惑をお掛けして大変申し訳ありません」
イールスが頭を下げている

イールスが部屋に戻ると、リシリアとサメーリアが待っている
「兄様!! 怪我は? 大丈夫ですか?」
リシリアが泣きそうになりながら言う
「リシリアただいま、怪我はポーション飲んで治っているよ」
「兄様…」
リシリアが泣きそうな顔で破れた制服を見ている
「イールス様、早く着替えて下さい。すぐに制服を仕立て直させます」
サメーリアが笑顔で言うと、イールスが着替えに始めると、サメーリアが血のついた背中や腕を拭うのを手伝っている。リシリアが羨ましそうに見ている
(兄様の手伝いしたいのに…羨ましい)

日が暮れ食事が終わり、しばらくするとヘルクドールとアーセリオドールが帰ってくる
「ヘルクドール様、アーセリオドール様、大変申し訳ありません。この責任を取って冒険者になります」
イールスが頭を下げながら言う
「命を狙われて、返り討ちだけなら良いが…誰を返り討ちにしたか解っているのか? 前騎士団長と互角に戦える唯一のディオルバルクを討ち下したのだぞ」
ヘルクドールが頭を抱えながら言う
「イールス、目立ちたいのか? 目立ちたくないのか? どっちなんだ?」
アーセリオドールが苦笑いしながらイールスを見ている
「目立ちたくないです」
イールスが笑顔で言う
「イールス…はぁ………」
アーセリオドールが頭を抱えている
「イールス、公爵が説明はしていたが、副団長も捕まえたそうだが、今回の件に関わってないだろう?」
ヘルクドールがイールスを見ている
「実は、ディオルバルクさんは娘さんを人質にされて悪事をしていたようです。 娘さん救出の為に、屋敷を強襲しましたが…何故剣を抜かなかったのでしょうか? リゼッタ様と訓練をしたくなかったようですが…」
イールスが考えながら説明している
「あの問題児は副団長を何回か大怪我させている。 左遷はしても直接会わない様にしていたが、今回は乗り込まれて下手に剣を抜けなかったみたいだな…」
ヘルクドールが苦笑いしながら説明していると、イールスが考えながら聞いている

「今日の件は相当問題になっているが…しばらく王立学院は自粛するように言われている」
ヘルクドールが頭を押さえながら言う
「え! 折角の王立学院が…賠償金もっと奪えばよかったか…」
イールスが呟く
「賠償金? なんだ?」
アーセリオドールが反応してイールスを見ている
「ギゼルナム商会に乗り込んで副商会長に約束して貰いました」
イールスが笑顔で説明している
「また金貨1000枚ぐらいか? イールス投資でもしてくれ」
アーセリオドールが不安そうに言う
「今回は王立学院の生活を邪魔されたので、取り敢えず金貨10万枚請求しておきました」
イールスが笑顔で説明している
「は?10万枚? 支払える訳無いだろ!! イールスどうするつもりだ?」
アーセリオドールが頭を抱えている
「あっ! 乗っ取ってしまいましたか? アーセリオドール様欲しいですか?」
イールスが微笑みながらアーセリオドールを見ている
「イールス巻き込まないでくれ!! もう聞きたくない」
アーセリオドールが頭を抱えながら言う
「仕返しは良いが…狙われないようにな」
ヘルクドールが苦笑いして言う
「目立たないようにします」
イールスが頭を下げて言う
「目立たないように? イールス目立たないと言う言葉を理解しているか? 反対の事ばかりしていないか?」
ヘルクドールが頭を抱え始める
「目立たない様に迷宮鍛練をするようにします」
イールスが満面の笑顔で言う
「目立たない様に…そうか? メデル様より買い取りは、しばらく待って欲しいと言われたが…何を買い取らせたのか? イールスに伝えると言ったら、すごい剣幕で怒鳴られたが…あの剣幕相当な物を買い取らさせたのか?」
アーセリオドールが苦笑いしてイールスを見ている
「メデル様に? 4層域と3層域の魔石とかドロップアイテムを全部買い取りをお願いしました」
イールスが笑顔で言う
「そうか…は? 4層域!!」
アーセリオドールがイールスを見ながら叫ぶ
(4層域に行っているのか? スケルトンやゴーストと戦えるのか? イールス無双してないか? 恐ろしい想像が……誰かイールスに常識を教えてくれ)
「4層域か…イールス、絶対に冒険者ギルドで売らない様に…調査されたら面倒になる」
ヘルクドールが頭を押さえながら言う
「クレオとリシアから言われました。買取り価格からクレオとリシアとバロンに分け前を渡さないと…」
イールスが考えながら呟く
「あまり過剰な金貨を渡すと狙われるから気を付けた方が良いぞ…」
ヘルクドールが苦笑いしてから頭を抱えている
(恐ろしい想像が…分け前の金貨を山積みにして渡そうとするなよ…本当にやりそうだが…バロン止めてくれ…イールスには家臣が必要か? 常識がある程度イールスを制御出来る人は居ないか? はぁ………誰か頼む…イールスを止めてくれ)
しおりを挟む
感想 296

あなたにおすすめの小説

解雇されたけど実は優秀だったという、よくあるお話。

シグマ
ファンタジー
 突如、所属している冒険者パーティー[ゴバスト]を解雇されたサポーターのマルコ。しかし普通のサポート職以上の働きをしていたマルコが離脱した後のパーティーは凋落の一途を辿る。そしてその影響はギルドにまでおよび……  いわゆる追放物の短編作品です。  起承転結にまとめることを意識しましたが、上手く『ざまぁ』出来たか分かりません。どちらかと言えば、『覆水盆に返らず』の方がしっくりくるかも……  サクッと読んで頂ければ幸いです。 ※思っていた以上の方に読んで頂けたので、感謝を込めて当初の予定を越える文量で後日談を追記しました。ただ大団円で終わってますので、『ざまぁ』を求めている人は見ない方が良いかもしれません。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強

こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」  騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。  この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。  ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。  これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。  だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。  僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。 「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」 「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」  そうして追放された僕であったが――  自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。  その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。    一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。 「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」  これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

処理中です...