未来少女の戦争記

第1話 日常

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴った。このチャイムの音って確か、空襲を連想させないように作られたんだよね。

2045年の広島市は終戦から100年を迎え、毎年行われる式典に加え、イベントが数多く開催されることになっている。

「今日も授業終わり！！部活行こ！！」

さくらは思いっきり背伸びをすると、私とこうすけに向かってそう行った。

「俺は行くけど…さつきは…ねぇ？」

「どうせ行けないですよぉ、2人仲良く部活行ってきてくださいな」

私、戸田彩月は今、とっても重要な任務を受け持っている。イベントで英語のスピーチをするのだ。ただ英語がちょっと人より得意というだけで。

(今日も一人で練習か…)

はぁと小さなため息をつくと、教卓の前に立ち、誰もいない教室でただ一人、練習をした。