異世界漂流~転生者絶対倒すマン!~

名無なな

文字の大きさ
18 / 24
絶対支配領主『バハムート』人類衰退度A+

第18話 いざ竜退治へ

しおりを挟む
 タイガは一人、荒野の岩陰に身を潜めていた。少しでも闇が晴れるのを待っているのだ。

 彼もある程度夜目が利くとはいえ、通常時よりも精度に欠けるのは間違いない。しかし竜種は鼻が利く。大雑把な範囲攻撃を主とする相手に、闇夜は有利に働く。
 悠長にしていられる時間はないものの、間もなく明るさを取り戻してくるだろう。それを待ってからでも遅くはない、という判断だ。ただでさえ劣勢なのだから、せめて環境くらいはフラットを保ちたい。

 土地勘のない場所だが、特に迷うことはなかった。目印の火山が常に見えていることと――――。あたかも大蛇が大地を横切ったような。
 それがバハムートによる一撃なのだと、タイガは薄々勘付いていた。バハムートは根城からカンユ村まで、動くことなくブレスを放ったのだ。


 竜の索敵範囲外に、ポッと小さな灯火が浮かぶ。タイガがジッポライターに火を点け、煙草に火を灯したのだ。
 ふう、と匂いを楽しむ。異世界によっては煙草が存在しない世界もあるため、常にストックしてあるが、前もこの世界にも煙草は見当たらなかった。これが最後の一箱だ。


「…………、」


 彼は決戦の前には、いつもこうやって煙草を楽しむ。言わばゲン担ぎのようなもの。元々は、これが最期になるかもしれない、というネガティブ思考から始まったことだった。そして今もそういう思いが煙とともに胸の中に渦巻いている。

(今回ばかりは厳しいかもしれんな……。数では大きく離されている上に、ドラゴンは決して雑魚じゃない。それが徒党を組むとなれば、俺も本気を出さざるを得ないだろう。加えて、これまでに何人かの転生者を殺してきたバハムートが控えている。実力が拮抗しているかもしれない……)

 不安要素を挙げればキリがない。しかしそれを前もって把握しておくことで、火事場であっても慌てずに行動することができる。少なくとも彼はそうしてきた。
 じっくりと煙草を味わっていると、急に空気がざわついてきた。何体かのドラゴンが接近してきているのだろう。煙にでも釣られて来たか、思いのほか嫌煙家だったらしい。

 ちょうど煙草も短くなってきたので、タイガは諦めて岩陰から離れた。頭上には五体のドラゴンがバラバラに旋回を繰り返している。

「さてと……」

 タイガは片手剣を作り、戦闘態勢を整えた。かつて触ったことのある竜殺しの剣を模した武器を、【調和】の力によって作り出したのだ。
 名残惜しさとともに、煙草を後方へと放り投げた。


「――――悪いが道、開けてもらえるか? その先で女性と待ち合わせをしているんだ」


 見上げて告げるも、ドラゴンらは拒むように吼えた。ピリピリと大気が震える。
 分厚い黒雲の向こうで太陽が昇ったのか、周囲が一気に明るさを取り戻す。タイガは迎え来る敵の姿をしっかりと見据え、予備動作なしに飛びかかった。

「行くぞ――――いざ竜退治だっ!!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

処理中です...