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絶対支配領主『バハムート』人類衰退度A+
第23話 同刻、傍観者たちは
しおりを挟む同刻。カンユ村にて。
「そ、村長! あれをご覧ください!!」
村人から指差され、アイーガは辿るようにしてその先を見やる。
な……!? と驚愕する。村人が見ていなければ腰を抜かしていたかもしれない。現に村人の何人かは地面にへたり込んでいた。
地鳴りのような唸り声の先に、竜の頭が見えていたのだ。崖を隔て、数キロ先の荒野にいるというのに、はっきりと視認できてしまうほどの巨躯。
言われなくても分かる。あれこそが神竜バハムートであると。
「もう、この世界は終わりだ……っ!」
視界に収めただけで、若者の一人が涙ながらにそう呟いた。
本来彼らを励ます立場にあるはずのアイーガでさえ、気休めの言葉を吐けずに立ち尽くしていた。
*
同刻。火山の傍にて。
「おいおい……何だありゃあ……!?」
ロイもまた驚愕の表情を浮かべていた。彼の場合、数年前に一度バハムートを見たことがあるけれど、それでもなお衝撃を受けている。
ロイはバハムートを見上げすぎて、仰向けに倒れそうになりながら独りごちる。
「冗談じゃない……野郎、前よりデカくなってやがる……!!」
以前でさえそこらのドラゴンと一線を画す巨体だったが、現在に至ってはそれより二回り以上も成長している。ともすれば標高数百メートルの火山よりも大きい。
『スレイヤーズ』が足止めしていたドラゴンも、その大半が尻尾を巻いて姿を消してしまっている。バハムートの咆哮を間近で受けて、恐ろしくなったのだろう。
残ったのは量産型の火竜のみ。かつてアオイが言っていたが、これらの量産型はバハムートが生み出しているらしい。つまり他の原種より忠誠度が高いため、主を置いて逃げ出さないのである。
団員――特に前回バハムートに挑んだ際にいなかった新人たちがうろたえている。
「団長ォッ!! 敵の親玉があんなデカブツだなんて聞いてませんぜ!?」
「さっきまでの威勢はどうした!? 自前の汚え槍を昂ぶらせてたくせによお!」
「あんなデブス見たんじゃ縮み上がりますって! 俺の好みの範囲超えてますってええええええええっっっ!!」
最悪敵前逃亡してしまいかねないほどの混乱。逃げ出した者も途中でドラゴンに食われてしまうのがオチだろう。
こんな時頼りがいのある団長であれば、仲間も迷うことなく信じてくれるはずなのに、と己の無力さを痛感する。実力では到底アオイに及ばないロイは、自身を奮起させる意味合いを込めて叫んだ。
「ここが踏ん張りどころだ! あの死にたがりが戻ってくるまで絶対に耐えろ! 特に上空からは通すなよ!!」
盾を叩き、ドラゴンからの注目を集めるロイ。ここを離れれば、タイガは多勢に囲まれ無残な死を遂げる。『スレイヤーズ』の旗を掲げている以上、その結末は容認できない。
ロイは剣を高々と天へと掲げて、上空を飛ぶドラゴンを睨み付けながら吼えた。
「行くぞっ!! 『スレイヤーズ』の旗を折りたくない奴だけついて来い!!」
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