兄さん覗き見好きなんだね?

かぎのえみずる

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第一部 自覚と狂宴

第十六話 洗浄代わりの挿入

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 オーナーは一回三人で抱くと今はまだ堕ちる気配のない柚に笑いかけ「淫乱」と囁く。 愛でも囁く甘ったるい声で囁かれた言葉は到底褒め言葉ではない。
 柚はただ、ただの一回オーナーを睨み付けた――ぶわりと感じる気迫。凄み。
 怒りを感じ取れば益々堕とすのが楽しみだと、オーナーは満足し、二人を背にしてドアを開けて出て行った。

 ――勿論カメラは残っている。

「兄さん……僕を許して。安易に、こんな、とこへ」
「いいよ、俺に付き合ってくれたんだろう……? 俺は、オーナーから、搾り取れるだけ搾る……枯葉、お願いだ。キスは、キスだけは俺だけに……」
「兄さん!!」

 枯葉は柚にキスをし、深く深く舌で抉るように絡ませ、柚もまた応える。
 あまりの気持ちよさにもう出ないのに、感じてしまい、悦を逃がそうと思わず離れてしまう。

「兄さん、触らせて」
「うん、……おいで」
 兄の笑顔に枯葉は咄嗟に飛びつくように抱きしめ、自身の主張する雄を起立した兄の雄へと擦りつける。
 擦りつけられた柚は小さく笑いかけ、枯葉の頭を撫でた。

「なぁ、枯葉……その、言いづらい、が」
「何ですか?」
「抱いて、欲しい。悪夢を、忘れさせてくれ……甘い夢を、頂戴」


 枯葉は柚を支えると、一歩一歩を踏み確かめるように、風呂場へ連れ込みキスを優しくした。
 それだけでも激しいセックスのあとの刺激だからか、柚の身体は敏感だ。
 えっちなことを、枯葉としたい想いに駆られていた。
 幾度も求め合うようなキスをしてから、枯葉と柚は呼吸を整える。

「兄さん、つらくないですか、大丈夫?」
「うん……お願い、突いて」

 最後に貫かれたのがオーナーであった事実が、柚にとっては今はいやだった。
 これから先にまたオーナーに抱かれるとしても、枯葉が最後には見捨てさえしなければそれでいい――柚は内心決意する。
 尻を突き出す形で、壁に手をついた格好の柚は、枯葉の手を自分の腰に置かせる。
 枯葉は柚の腰を引き寄せ、耳元へキスしたり、項を舐めたり噛んだりしながら、ゆっくりと宛がう。
 萎えることのない肉棒に、枯葉は自分自身で嗤いそうになったが、柚の漏れる洗い息づかいに興奮し、抽送し始め、自身の雁で枯葉以外の欲液を掻き出そうとした。
 ゆっくり、時間を味わうようなピストンで、じわりじわりと柚を追い詰めていく。
 がくがくと柚の足が震えていると、枯葉は柚を抱え、支え包み込むような姿勢で抱く。
「兄さん、えろくて可愛い」
「ア……!! 言うな、よ」
 可愛いだなんて普段は気にも留めない。男だから可愛いだなんて言われても何とも思わない、だがそれでもこの場で囁かれる愛情籠もった言葉に感じ入り、柚は声を震わせる。
 柚には判らなかった、今日までどうして枯葉の盗撮でなければ達せなかったのか判らなかったのだ。
 あの日彼女を寝取られ、獰猛な瞳が自分を捕らえた瞬間こそが――恋の始まりであったと気付く。
 何とも最悪な瞬間に恋をしている、道理で友人から回ってきたAVでは駄目だったわけだ。
 情事で扱いたのではなく、枯葉で扱いていたのだと気付くには遅すぎた――。
「枯葉、好きだ、好き……」
「兄さん……! 僕も、僕もです!」
 柚の項に吸い付き舐めてから枯葉は囓った。大きな興奮が二人を包み込む。


「かれはぁ、奥に、欲しい」
 甘いおねだりに、枯葉は柚の耳元へキスし、それでもまだゆっくりとした腰の動きだ。
 緩やかな動きの方が、枯葉をしっかりと味わい刻まれてる感覚で、柚にはぞくぞくとする。
 細やかな息づかいが耳に掛かるたびに、腰がくねる。

「かれは、もう――」
「兄さん、駄目ですよ。もっと貴方を味わいたい、誰も見ていない此処で」
「おねが、い。オレ、もう、もう駄目……」
「兄さん、僕だけの兄さん――……」

 奥へごりごりと押し当てると、柚はがくがくと震えながら達してしまい、その締め付けにより枯葉も達する。

「ああ、――洗うつもりだったのに、僕ので染みてしまった」

 言葉には清々しささえ感じる明るさで、枯葉は笑い項に噛みついた。


(枯葉が抱いてきた相手に、なりたかったのか……俺)
(枯葉、しばらくはえっちな俺でも我慢して……信じて。最後に、お前の元に戻るから)


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