32 / 35
第二部 視線
第三十二話 判っているんだ本当は
しおりを挟む
老舗旅館にきたというのに。
最初の一時間はぎこちなく二人は接していたのだが。
「あああああ!!!! くそどうしてもキャラたりねぇ、ガチャ回す!」
「待ってろ助けにいく……」
「柚ちゃん、早く!! 早く蘇生し、ァアア!! 負けたぁあ!!」
二人はスマホを片手にソシャゲ戦士となっていた。
それもこれもオーナーが話題に「若い子の間で何が流行ってるのか」と訊いた事実も悪いし、その返答がどう考えても今から一緒に楽しむとなるとかなりの金額が必要になるソシャゲを紹介した柚が悪かった。
オーナーは真剣な顔で次の戦略を練っていたが、じ、と柚を見やる。
(ここにきて何もシないのもな、オレらしくないのよね)
最初は警戒心に満ちていた柚であったが、ソシャゲを紹介してからは年頃の少年らしくはしゃいでくれていた。
これで少しはえっちに持って行きやすい空気にはなっただろうか。
癒やされたいのも本当、だけどぎこちない柚を見たかったわけではないのも本当だ。
自然な形で笑う顔も見たし、あとは収まらない性欲を処理してもらおうか。
「柚ちゃあん」
「何、今戦力あげて……ッ?!」
抱き寄せてキスをし、ゆっくりと剥がすようにスマホを取り上げれば、蕩けた柚の顔が完成する。
柚へ深く深くキスを贈れば、目をきゅっと閉じて、息継ぎを必死にしようとしている。
「おー、なぁ……」
「綺麗な目だこと」
それでも、どんなに綺麗な目でも、欲に蕩けた目でも、心は堕ちていないことは判らない程、馬鹿ではない。
ゆっくりと敷かれた布団に運び、下ろすなり、柚のださいシャツを脱がす。
オーナーは柚のださいシャツをまじまじと見やると、ぺいっと放り投げ指をさししめした。
「何これ、どういう趣味してんの。自分で服くらい買えよ」
「……珍しいな、ムードのない言葉をアンタが言うなんて」
「笑えるだろ、それだけ必死なんだよ」
三日しかもう抱けない柚に対して。
それ以上はたとえ金を払っていたとしても、柚を抱く気にはなれない。
泡沫の夢――これは、ただの夢だと。理想的なえっちな子に巡り会えた夢でも、見ているのだと思う期間には充分だった。
「柚ちゃん、真剣に愛してるとでも言えば、一つでもあいつにオレは勝てたか?」
「……無理するなよ、真剣なアンタは……アンタじゃない」
「そりゃそうだ、一人に絞れないもおん」
くつりと笑って、柚の身体に触れた。
いつもの滑らかな手つきと愛撫に柚の身体は反応し、既に胸は尖りを顕わにしている。
優しく触れるように、乳首へ口付け、オーナーは舌で転がした。
*
舌で転がされるだけの愛撫に焦れったさを感じる柚は、足をもぞもぞとさせる。
徐々に熱くなっていく身体に気付けば、オーナーはいつもの振る舞いに戻り、にやあと笑った。
「何おったててんの。気持ちいいんだ、やっぱり?」
「あ、ン、ちが、違う……ッ」
「嘘は言うなよ、それこそムードないよ、柚ちゃん」
猛る柚自身を、ベルトを外し下肢から衣服をはぎ取れば顕わにさせ、それを丁寧に握りしごいていく。
その度に柚から嬌声が漏れ、声は切なさに震えている。
やはり、オーナーには柚の声はしっくりくる、手放したくなくなる程には。
それでも、自分は大人だから。引き際を弁えないと、と考える理性。
理性をぶっちり断ったのは、柚の甘ったるく自分を呼ぶ声。
「オーナあ……、イ、きたい」
「イきたかったらどうするんだっけか、教えたよな?」
「あっ、……おーなーの、でかい、そ、れ、いれて、くだ、さい」
「何処に?」
「……お、れの、えっちな、雌孔、にぃ」
柚は仕込まれた通りに、自分から後孔を広げ誘いを見せた。
目は生理的な涙で潤み、頬は紅潮し、どこからどう見ても美味しそうな果実である。
〝柚〟ではなくこれではまるで〝桃〟のようだ。
桃のように甘ったるく、果汁がまとわりべたつく、あの瑞々しい果実のようだ。
ぞくぞくと一気に嗜虐心が高まれば、オーナーは柚へ持ち込んできていたローションをかけ、解していく。
じっくりと味わう仕草に柚は焦れ、やや腰を振ってしまう。
そんな淫らな姿により一層興奮していく。
「すけべな身体してるよなあ、とっても可愛くてえっろい」
「誰のせいで……ッ」
「オレのせいですぅ~。そろそろ挿れるぞ……ッ」
後ろからゆっくりと挿入された質量に、柚は身体を震わせ受け入れる。
びくりびくりとしつつも、オーナーが動き出せば声をあげ、思わず柚は自分の手で擦りあげ、早く達しようとするもオーナーに制され手を押さえられた。
「あ、やだ、手ぇどかせ……!」
「お口も手癖も悪い子だなあ、折角じーっくり味わってるのにそりゃあないんじゃない?」
流石淫乱だね、と耳元で低く囁かれれば身体に悦が一気に走り、柚はそれだけで果てた。
柚の身体は、半分はもうオーナーの好みに作り替えられてはいた、だから反応してしまうのだ、嫌だとしても。
ぜいぜい息をあげて、前からとろとろと白い液体を零しながらも、オーナーはそれを知らんぷりし、密着したまま腰を緩くグラインドさせた。
「夜まで。たのしも」
オーナーは無邪気に笑い、誘う柚の秘所でピストンしやがては果てた。
一回だけ昼は抱かれ、何事もなかったように後処理をされ、夜は料理に舌鼓をうち。
オーナーとはまたソシャゲをし、戦場を通じて少しだけ柚はオーナーと打ち解けた。
夜も深まればオーナーは、まだ柔らかい柚を浴衣を捲り確認し、布団の中で柚を抱き寄せ、横抱きに挿入する。
眠っている柚は眠気からいつもより色気を含ませた声で喘ぎ、起きる頃には既に挿入されていたので、驚くも、既に身体は悦で高められていて、そのまま達した。
一日目はそんな終わり方をした。
最初の一時間はぎこちなく二人は接していたのだが。
「あああああ!!!! くそどうしてもキャラたりねぇ、ガチャ回す!」
「待ってろ助けにいく……」
「柚ちゃん、早く!! 早く蘇生し、ァアア!! 負けたぁあ!!」
二人はスマホを片手にソシャゲ戦士となっていた。
それもこれもオーナーが話題に「若い子の間で何が流行ってるのか」と訊いた事実も悪いし、その返答がどう考えても今から一緒に楽しむとなるとかなりの金額が必要になるソシャゲを紹介した柚が悪かった。
オーナーは真剣な顔で次の戦略を練っていたが、じ、と柚を見やる。
(ここにきて何もシないのもな、オレらしくないのよね)
最初は警戒心に満ちていた柚であったが、ソシャゲを紹介してからは年頃の少年らしくはしゃいでくれていた。
これで少しはえっちに持って行きやすい空気にはなっただろうか。
癒やされたいのも本当、だけどぎこちない柚を見たかったわけではないのも本当だ。
自然な形で笑う顔も見たし、あとは収まらない性欲を処理してもらおうか。
「柚ちゃあん」
「何、今戦力あげて……ッ?!」
抱き寄せてキスをし、ゆっくりと剥がすようにスマホを取り上げれば、蕩けた柚の顔が完成する。
柚へ深く深くキスを贈れば、目をきゅっと閉じて、息継ぎを必死にしようとしている。
「おー、なぁ……」
「綺麗な目だこと」
それでも、どんなに綺麗な目でも、欲に蕩けた目でも、心は堕ちていないことは判らない程、馬鹿ではない。
ゆっくりと敷かれた布団に運び、下ろすなり、柚のださいシャツを脱がす。
オーナーは柚のださいシャツをまじまじと見やると、ぺいっと放り投げ指をさししめした。
「何これ、どういう趣味してんの。自分で服くらい買えよ」
「……珍しいな、ムードのない言葉をアンタが言うなんて」
「笑えるだろ、それだけ必死なんだよ」
三日しかもう抱けない柚に対して。
それ以上はたとえ金を払っていたとしても、柚を抱く気にはなれない。
泡沫の夢――これは、ただの夢だと。理想的なえっちな子に巡り会えた夢でも、見ているのだと思う期間には充分だった。
「柚ちゃん、真剣に愛してるとでも言えば、一つでもあいつにオレは勝てたか?」
「……無理するなよ、真剣なアンタは……アンタじゃない」
「そりゃそうだ、一人に絞れないもおん」
くつりと笑って、柚の身体に触れた。
いつもの滑らかな手つきと愛撫に柚の身体は反応し、既に胸は尖りを顕わにしている。
優しく触れるように、乳首へ口付け、オーナーは舌で転がした。
*
舌で転がされるだけの愛撫に焦れったさを感じる柚は、足をもぞもぞとさせる。
徐々に熱くなっていく身体に気付けば、オーナーはいつもの振る舞いに戻り、にやあと笑った。
「何おったててんの。気持ちいいんだ、やっぱり?」
「あ、ン、ちが、違う……ッ」
「嘘は言うなよ、それこそムードないよ、柚ちゃん」
猛る柚自身を、ベルトを外し下肢から衣服をはぎ取れば顕わにさせ、それを丁寧に握りしごいていく。
その度に柚から嬌声が漏れ、声は切なさに震えている。
やはり、オーナーには柚の声はしっくりくる、手放したくなくなる程には。
それでも、自分は大人だから。引き際を弁えないと、と考える理性。
理性をぶっちり断ったのは、柚の甘ったるく自分を呼ぶ声。
「オーナあ……、イ、きたい」
「イきたかったらどうするんだっけか、教えたよな?」
「あっ、……おーなーの、でかい、そ、れ、いれて、くだ、さい」
「何処に?」
「……お、れの、えっちな、雌孔、にぃ」
柚は仕込まれた通りに、自分から後孔を広げ誘いを見せた。
目は生理的な涙で潤み、頬は紅潮し、どこからどう見ても美味しそうな果実である。
〝柚〟ではなくこれではまるで〝桃〟のようだ。
桃のように甘ったるく、果汁がまとわりべたつく、あの瑞々しい果実のようだ。
ぞくぞくと一気に嗜虐心が高まれば、オーナーは柚へ持ち込んできていたローションをかけ、解していく。
じっくりと味わう仕草に柚は焦れ、やや腰を振ってしまう。
そんな淫らな姿により一層興奮していく。
「すけべな身体してるよなあ、とっても可愛くてえっろい」
「誰のせいで……ッ」
「オレのせいですぅ~。そろそろ挿れるぞ……ッ」
後ろからゆっくりと挿入された質量に、柚は身体を震わせ受け入れる。
びくりびくりとしつつも、オーナーが動き出せば声をあげ、思わず柚は自分の手で擦りあげ、早く達しようとするもオーナーに制され手を押さえられた。
「あ、やだ、手ぇどかせ……!」
「お口も手癖も悪い子だなあ、折角じーっくり味わってるのにそりゃあないんじゃない?」
流石淫乱だね、と耳元で低く囁かれれば身体に悦が一気に走り、柚はそれだけで果てた。
柚の身体は、半分はもうオーナーの好みに作り替えられてはいた、だから反応してしまうのだ、嫌だとしても。
ぜいぜい息をあげて、前からとろとろと白い液体を零しながらも、オーナーはそれを知らんぷりし、密着したまま腰を緩くグラインドさせた。
「夜まで。たのしも」
オーナーは無邪気に笑い、誘う柚の秘所でピストンしやがては果てた。
一回だけ昼は抱かれ、何事もなかったように後処理をされ、夜は料理に舌鼓をうち。
オーナーとはまたソシャゲをし、戦場を通じて少しだけ柚はオーナーと打ち解けた。
夜も深まればオーナーは、まだ柔らかい柚を浴衣を捲り確認し、布団の中で柚を抱き寄せ、横抱きに挿入する。
眠っている柚は眠気からいつもより色気を含ませた声で喘ぎ、起きる頃には既に挿入されていたので、驚くも、既に身体は悦で高められていて、そのまま達した。
一日目はそんな終わり方をした。
1
あなたにおすすめの小説
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ある日、人気俳優の弟になりました。2
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。穏やかで真面目で王子様のような人……と噂の直柾は「俺の命は、君のものだよ」と蕩けるような笑顔で言い出し、大学の先輩である隆晴も優斗を好きだと言い出して……。
平凡に生きたい(のに無理だった)19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の、更に溺愛生活が始まる――。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる