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私と小さなお客さん
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「にゃ~」
コンビニの前を掃除していると、可愛らしい猫が私を見上げていた。
「こんにちは、ねこさん。」
猫を撫でようと私が手を出すと、猫は素っ気なく ぷいっ として駆け出してしまった。
少しくらい撫でさせてくれても良いのに……。
私はしょんぼりとしながらレジに戻り、手を洗う。
先程の様子を見ていたのか、先輩が声を掛けてきた。
「佐倉ちゃん!猫ちゃんに逃げられちゃったね!」
「そうなんですよ~。最近よく見掛けるので、撫でたかったんですが……逃げられてしまいました……。」
「どんまいっ!小さいお客さんには懐いてたんだけどな~。あ、ほらあそこ。」
先輩が指で示す先には小学生位の子供達があの猫を取り囲んで餌をあげていた。
「私も餌で……。」
「佐倉ちゃん~……。その前に仕事!」
「あ!は、はい!!」
笑いながらだけど、先輩に叱られてしまった。
もっと、しっかりしないと!
人が多くなる時間帯になり、店長がヘルプで入ってくれていた。
「佐倉さんも随分レジ打ちに慣れてきたみたいだね。」
「あ、ありがとうございます!」
自分なりに頑張っていた事を褒められ、つい嬉しくなってしまう。
ウィーーン
自動ドアが開き、お客さんかと思ったが誰もいなかった。
「にゃー」
「あれ?ねこさん?」
私はそのまま猫を視線で追い掛けると、猫は棚にあったキャットフードを口に咥える。
「え!?ねこさん!?お、お会計!!」
私の大きな声に驚いた猫は、キャットフードを咥えたまま、外に出てしまった。
「佐倉ちゃん、猫ちゃんはお金持って無いと思うよ?」
笑いながら言う先輩の言葉に私は自分の発言が恥ずかしくなり、顔に熱がこもる。
「んー、最近ここの駐車場で猫に餌をあげてる人がいるからかな?」
店長は悩ましげに思案する。
そんな様子に先輩は言葉を発した。
「なら、次に来た時はちゃんと注意しましょう!」
そうですね!
ちゃんと猫さんに注意しないといけませんね!
あの愛くるしい姿を前にちゃんと注意出来るか不安に思いながらも、私は先輩の言葉に頷いた。
────
後日。
再びやってきた可愛らしいお客さん。
私はそのお客さんの前に膝を折り、視線を低くする。
「ねこさーん。勝手に商品を持って帰っちゃ駄目なんですよー?」
「にゃー」
「勝手に持って帰ったら店長が困っちゃいます。もう、やらないで貰えますか?」
優しく私は語りかけるが、猫は私を一瞥した後、再びキャットフードを咥える。
「猫ちゃん!今度は私が相手だよ!!」
先輩は猫の前に立ちはだかり、猫を捕らえようとするが、ひらりひらりと躱され、そのまま外へと飛び出して行った。
「私が相手でも駄目かっ!!」
「先輩……どうしましょう?」
「店長に相談してみよう!今、バックヤードにいるから、聞いてみるよ!!」
そう言って先輩はバックヤードへ行き、私はレジに向かった。
しばらくすると、先輩がレジに来て、私に一枚の紙を渡してきた。
……??
なんだろう?
「佐倉ちゃんって絵は得意?」
「えっと……趣味程度です。」
「私が描いたら店長にダメ出しされちゃってさ!」
「──っ!?」
もう一枚出された紙に、おそらく先輩が描いたであろう絵があった。
その絵は、猫と言って良いのか……。
ゾンビにも見える、ホラーテイストの絵に私は驚きを隠せなかった。
そんな私の様子を先輩はにこにこと笑いながら見て、白紙の紙を私に渡す。
「だから、佐倉ちゃんが描いてくれないかな!」
「え、あ、はい。」
言われるがまま、私は紙を受け取り、猫の絵を描いた。
「おー!可愛らしい猫ちゃんだね!」
本物とは似ても似つかない、猫のイラストを見て先輩が言葉を放つと、その紙を持ってバックヤードに行ってしまった。
なんで急に猫さんの絵を……?
不思議に思いながらも、私は商品を持ってきたお客さんのレジ打ちをする。
お客さんがいなくなると、店長がバックヤードから出て、自動ドアのガラスに紙を張り付けていた。
「店長?何をしているんですか?」
私は気になり、店長の元へ寄ると店長は柔らかな笑顔で答えてくれる。
「猫君の事をね。そっちに回って見ても良いよ。」
そう言われたので、自動ドアをくぐり紙を見ると私が描いたイラストと店長が書いた文字がそこにあった。
──────
猫君に餌を与えない様にお願い致します。
猫君がキャットフードを万引きしています。
当店では、猫君に注意を致しましたが、聞き入れて貰えませんでした…。
皆様のご協力を、宜しくお願い致します。
──────
自分のイラストが沢山の人に見られると思うと恥ずかしくなるが、これで猫が来なくなってしまうかもしれないと、思うと少し寂しい気持ちにもなってしまった。
レジに戻ると先輩がにこにこと私を見ていた。
「佐倉ちゃんも猫ちゃんに餌をあげちゃ、駄目だよ?」
「わ、分かってますよっ!!」
少しだけなら、と顔に出てしまっていたのだろうか。
見抜かれていた事に私は少し恥ずかしくなってしまった。
コンビニの前を掃除していると、可愛らしい猫が私を見上げていた。
「こんにちは、ねこさん。」
猫を撫でようと私が手を出すと、猫は素っ気なく ぷいっ として駆け出してしまった。
少しくらい撫でさせてくれても良いのに……。
私はしょんぼりとしながらレジに戻り、手を洗う。
先程の様子を見ていたのか、先輩が声を掛けてきた。
「佐倉ちゃん!猫ちゃんに逃げられちゃったね!」
「そうなんですよ~。最近よく見掛けるので、撫でたかったんですが……逃げられてしまいました……。」
「どんまいっ!小さいお客さんには懐いてたんだけどな~。あ、ほらあそこ。」
先輩が指で示す先には小学生位の子供達があの猫を取り囲んで餌をあげていた。
「私も餌で……。」
「佐倉ちゃん~……。その前に仕事!」
「あ!は、はい!!」
笑いながらだけど、先輩に叱られてしまった。
もっと、しっかりしないと!
人が多くなる時間帯になり、店長がヘルプで入ってくれていた。
「佐倉さんも随分レジ打ちに慣れてきたみたいだね。」
「あ、ありがとうございます!」
自分なりに頑張っていた事を褒められ、つい嬉しくなってしまう。
ウィーーン
自動ドアが開き、お客さんかと思ったが誰もいなかった。
「にゃー」
「あれ?ねこさん?」
私はそのまま猫を視線で追い掛けると、猫は棚にあったキャットフードを口に咥える。
「え!?ねこさん!?お、お会計!!」
私の大きな声に驚いた猫は、キャットフードを咥えたまま、外に出てしまった。
「佐倉ちゃん、猫ちゃんはお金持って無いと思うよ?」
笑いながら言う先輩の言葉に私は自分の発言が恥ずかしくなり、顔に熱がこもる。
「んー、最近ここの駐車場で猫に餌をあげてる人がいるからかな?」
店長は悩ましげに思案する。
そんな様子に先輩は言葉を発した。
「なら、次に来た時はちゃんと注意しましょう!」
そうですね!
ちゃんと猫さんに注意しないといけませんね!
あの愛くるしい姿を前にちゃんと注意出来るか不安に思いながらも、私は先輩の言葉に頷いた。
────
後日。
再びやってきた可愛らしいお客さん。
私はそのお客さんの前に膝を折り、視線を低くする。
「ねこさーん。勝手に商品を持って帰っちゃ駄目なんですよー?」
「にゃー」
「勝手に持って帰ったら店長が困っちゃいます。もう、やらないで貰えますか?」
優しく私は語りかけるが、猫は私を一瞥した後、再びキャットフードを咥える。
「猫ちゃん!今度は私が相手だよ!!」
先輩は猫の前に立ちはだかり、猫を捕らえようとするが、ひらりひらりと躱され、そのまま外へと飛び出して行った。
「私が相手でも駄目かっ!!」
「先輩……どうしましょう?」
「店長に相談してみよう!今、バックヤードにいるから、聞いてみるよ!!」
そう言って先輩はバックヤードへ行き、私はレジに向かった。
しばらくすると、先輩がレジに来て、私に一枚の紙を渡してきた。
……??
なんだろう?
「佐倉ちゃんって絵は得意?」
「えっと……趣味程度です。」
「私が描いたら店長にダメ出しされちゃってさ!」
「──っ!?」
もう一枚出された紙に、おそらく先輩が描いたであろう絵があった。
その絵は、猫と言って良いのか……。
ゾンビにも見える、ホラーテイストの絵に私は驚きを隠せなかった。
そんな私の様子を先輩はにこにこと笑いながら見て、白紙の紙を私に渡す。
「だから、佐倉ちゃんが描いてくれないかな!」
「え、あ、はい。」
言われるがまま、私は紙を受け取り、猫の絵を描いた。
「おー!可愛らしい猫ちゃんだね!」
本物とは似ても似つかない、猫のイラストを見て先輩が言葉を放つと、その紙を持ってバックヤードに行ってしまった。
なんで急に猫さんの絵を……?
不思議に思いながらも、私は商品を持ってきたお客さんのレジ打ちをする。
お客さんがいなくなると、店長がバックヤードから出て、自動ドアのガラスに紙を張り付けていた。
「店長?何をしているんですか?」
私は気になり、店長の元へ寄ると店長は柔らかな笑顔で答えてくれる。
「猫君の事をね。そっちに回って見ても良いよ。」
そう言われたので、自動ドアをくぐり紙を見ると私が描いたイラストと店長が書いた文字がそこにあった。
──────
猫君に餌を与えない様にお願い致します。
猫君がキャットフードを万引きしています。
当店では、猫君に注意を致しましたが、聞き入れて貰えませんでした…。
皆様のご協力を、宜しくお願い致します。
──────
自分のイラストが沢山の人に見られると思うと恥ずかしくなるが、これで猫が来なくなってしまうかもしれないと、思うと少し寂しい気持ちにもなってしまった。
レジに戻ると先輩がにこにこと私を見ていた。
「佐倉ちゃんも猫ちゃんに餌をあげちゃ、駄目だよ?」
「わ、分かってますよっ!!」
少しだけなら、と顔に出てしまっていたのだろうか。
見抜かれていた事に私は少し恥ずかしくなってしまった。
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