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私と女の子
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少し暗くなる時間帯。
お客さんも疎らで、雑誌の立ち読みの所にお客さんがいる。
そこに見掛けた小学生くらいの女の子。
習い事の帰りでしょうか?
あの……でも、その場所は……。
私はどうして良いか分からず、先輩に声を掛ける。
「あの、先輩……?あそこにいる女の子なんですけど……。」
私がこそっと視線で示した先を確認した先輩は笑顔で私の質問に答えてくれた。
「あー!なるほどねっ!私がレジをやっておくから、声を掛けてあげてくれるかな?」
「え!?あ、はい!分かりましたっ!」
私は先輩の言葉を聞き、ゆっくりと女の子の方へ歩く。
女の子の横に着いた私は、視線を合わせる為に膝を折る。
「あ、あの~、何を読んでいるんでしょうか……?」
私は女の子を怖がらせない様に、出来る限り優しく問い掛けると女の子は首を傾げる。
「わかんない!」
分からないですか~。
あの、えーっと……。
私は次にどんな言葉を掛ければ良いか迷っていると、女の子は読んでいた雑誌を広げて私に見せる。
「おねえさん!なんで、この ひとは はだかなの?」
「え!?あ、あの!?」
その一ページを見せられ、私は恥ずかしくなり顔が暑くなってきた。
女の子がいるのは“成人向けコーナー”なのだ。
まだ、あなたには早いと思いますっ!!
あの……それを見せないで下さいっ!!
私の混乱は女の子には伝わらず、どんな答えが返って来るのかと期待の眼差しで見られていた。
「あ、あのですね!これは、大人向けの本……と言いますか……。その~……」
「おとなは みんな よむの?」
「い、いえ!そう言う訳でも無いのですが……何と言いますか……」
「おねえさん も よむの?」
そう言って女の子はページを広げたまま、私に渡してくる。
あわわわわ。
私は読んだ事が無いんですっ!
どう答えたら正解なんでしょうか!?
と、とりあえず……
ページを閉じて貰えませんか?
すごく恥ずかしいです……。
こてん、と首を傾げる女の子から、そっと雑誌を受け取りそのまま閉じる。
「あ、あのですね……ここのコーナーは成人向けになっていますので……そのぉ……あなたの年齢ではまだ見てはいけないんですよ。」
「ここ、ぜんぶ みちゃ だめなの?」
女の子は雑誌コーナー全体を示しながら聞いてきた。
「いえ、違いますよ?ここの看板に“成人向け”と書かれている所以外は見ても大丈夫ですよ。」
私がにこりと笑い答えると、女の子は不思議そうな顔をする。
「せーじんむけ?そう よむの?」
ああ!
そ、そうですよね!
漢字で書かれていたら読めないですよね!
気付かなかったです……。
「えっと、そうですね……。ここのお店だとここからここの間は読まないで貰えますか?」
私は“成人向けコーナー”の部分を手で示しながら言葉にする。
「うん!わかった!」
可愛らしい笑顔で私の言葉に頷いてもらえた。
すると、女の子はキラキラとした眼差しで質問をしてくる。
「せーじんむけ の おんなのひと が はだか の ほん は どんな おはなし なの?」
え!?
あの!?
え、絵本では無いです!!
お話は……あるのでしょうか?
よ、読んだ事が無いので答えられません!!
ど、どうしましょう!?
「えー……と。お家の人に聞いてみて下さい…………?」
お家の方、すいません!!
私には答えられそうに無いんです!!
「うん!わかった!ありがと、おねえさん!ばいばい!」
「はい。またね。」
女の子は手を振りながらお店から出ていった。
私はレジに戻り、先輩に声を掛ける。
「先輩……あれで良かったのでしょうか?」
「うん!大丈夫だと思うよ!ちゃんと注意も出来ていたし、女の子も分かってくれたみたいだからね!」
先輩はニコニコと笑いながら、私の頭をポンポンと優しく叩て、労ってくれた。
────────
数日後。
一人のタクシーの運転手をしている男性が缶コーヒーを持って、先輩のレジに来た。
先輩がレジに通すと、男性は一万円札を出す。
「一万円、でよろしいでしょうか?」
「あぁ。」
先輩の言葉に男性は短く答えると、先輩は店内を少し見てから男性に声をかける。
「全て千円札の方がよろしいでしょうか?」
「え?あぁ、その方が助かるよ。」
「五百円と五十円はどうされますか?」
「あ、そうだな……五十円だけ替えて貰っても良いかな。」
「はい!かしこまりました!」
すると、先輩は千円札を九枚男性に渡し、次に小銭を数える。
「ありがとう、助かるよ。」
「いえいえ!何かお疲れですか?」
「最近、娘がませててね。この前なんか、成人向けの本がどーとか聞いて来たんだよ……。」
「それは大変ですね。」
男性の言葉に苦笑しながら、先輩は小銭を男性に渡すと、男性が缶コーヒーを先輩に渡す。
「両替のお礼と話を聞いてくれたお礼。受け取ってくれ。」
「良いんですか!ありがとうございます!!」
先輩の言葉に男性が笑うと、そのまま店を出ていった。
それを見送っていた先輩はレジを出て、近くにある小さいお茶のペットボトルを持って外に出た。
え!?
先輩!?
先輩は車に乗り込んだ男性の元へ行き、そのお茶を渡す。
閉じられていない自動ドアから会話が聞こえてくる。
「はい!缶コーヒーのお礼です!コーヒーばかりだと胃も痛めますので、お茶をどうぞ!お仕事、お疲れ様です!身体を大切にしてくださいね!」
先輩の言葉に男性は照れ臭そうにお茶を受け取ると、別れを言い車を出した。
先輩はレジに戻る前に、先程持っていったお茶と同じ商品を取ると自分で会計をし、その商品を棚に戻した。
「先輩、良いんですか?」
「ん?なにが?両替かな?別に良いよね、店長?」
バックヤードから出てきた店長は笑顔で頷いた。
「お客様あってのお店だからね。お客さんが喜んでくれるなら両替するのは大丈夫だよ。」
そうなんですね……。
先輩は凄いです!
色々な事に気が回って……。
私もそんな風になりたいです!!
「そういえば、さっきのお客さんの娘ちゃんは、前に佐倉ちゃんが注意した子かもね!」
先輩はにこにこと嬉しそうに缶コーヒーを持ちながら、元気な笑顔で私にそう言葉にした。
そんな。
まさか、ね?
お客さんも疎らで、雑誌の立ち読みの所にお客さんがいる。
そこに見掛けた小学生くらいの女の子。
習い事の帰りでしょうか?
あの……でも、その場所は……。
私はどうして良いか分からず、先輩に声を掛ける。
「あの、先輩……?あそこにいる女の子なんですけど……。」
私がこそっと視線で示した先を確認した先輩は笑顔で私の質問に答えてくれた。
「あー!なるほどねっ!私がレジをやっておくから、声を掛けてあげてくれるかな?」
「え!?あ、はい!分かりましたっ!」
私は先輩の言葉を聞き、ゆっくりと女の子の方へ歩く。
女の子の横に着いた私は、視線を合わせる為に膝を折る。
「あ、あの~、何を読んでいるんでしょうか……?」
私は女の子を怖がらせない様に、出来る限り優しく問い掛けると女の子は首を傾げる。
「わかんない!」
分からないですか~。
あの、えーっと……。
私は次にどんな言葉を掛ければ良いか迷っていると、女の子は読んでいた雑誌を広げて私に見せる。
「おねえさん!なんで、この ひとは はだかなの?」
「え!?あ、あの!?」
その一ページを見せられ、私は恥ずかしくなり顔が暑くなってきた。
女の子がいるのは“成人向けコーナー”なのだ。
まだ、あなたには早いと思いますっ!!
あの……それを見せないで下さいっ!!
私の混乱は女の子には伝わらず、どんな答えが返って来るのかと期待の眼差しで見られていた。
「あ、あのですね!これは、大人向けの本……と言いますか……。その~……」
「おとなは みんな よむの?」
「い、いえ!そう言う訳でも無いのですが……何と言いますか……」
「おねえさん も よむの?」
そう言って女の子はページを広げたまま、私に渡してくる。
あわわわわ。
私は読んだ事が無いんですっ!
どう答えたら正解なんでしょうか!?
と、とりあえず……
ページを閉じて貰えませんか?
すごく恥ずかしいです……。
こてん、と首を傾げる女の子から、そっと雑誌を受け取りそのまま閉じる。
「あ、あのですね……ここのコーナーは成人向けになっていますので……そのぉ……あなたの年齢ではまだ見てはいけないんですよ。」
「ここ、ぜんぶ みちゃ だめなの?」
女の子は雑誌コーナー全体を示しながら聞いてきた。
「いえ、違いますよ?ここの看板に“成人向け”と書かれている所以外は見ても大丈夫ですよ。」
私がにこりと笑い答えると、女の子は不思議そうな顔をする。
「せーじんむけ?そう よむの?」
ああ!
そ、そうですよね!
漢字で書かれていたら読めないですよね!
気付かなかったです……。
「えっと、そうですね……。ここのお店だとここからここの間は読まないで貰えますか?」
私は“成人向けコーナー”の部分を手で示しながら言葉にする。
「うん!わかった!」
可愛らしい笑顔で私の言葉に頷いてもらえた。
すると、女の子はキラキラとした眼差しで質問をしてくる。
「せーじんむけ の おんなのひと が はだか の ほん は どんな おはなし なの?」
え!?
あの!?
え、絵本では無いです!!
お話は……あるのでしょうか?
よ、読んだ事が無いので答えられません!!
ど、どうしましょう!?
「えー……と。お家の人に聞いてみて下さい…………?」
お家の方、すいません!!
私には答えられそうに無いんです!!
「うん!わかった!ありがと、おねえさん!ばいばい!」
「はい。またね。」
女の子は手を振りながらお店から出ていった。
私はレジに戻り、先輩に声を掛ける。
「先輩……あれで良かったのでしょうか?」
「うん!大丈夫だと思うよ!ちゃんと注意も出来ていたし、女の子も分かってくれたみたいだからね!」
先輩はニコニコと笑いながら、私の頭をポンポンと優しく叩て、労ってくれた。
────────
数日後。
一人のタクシーの運転手をしている男性が缶コーヒーを持って、先輩のレジに来た。
先輩がレジに通すと、男性は一万円札を出す。
「一万円、でよろしいでしょうか?」
「あぁ。」
先輩の言葉に男性は短く答えると、先輩は店内を少し見てから男性に声をかける。
「全て千円札の方がよろしいでしょうか?」
「え?あぁ、その方が助かるよ。」
「五百円と五十円はどうされますか?」
「あ、そうだな……五十円だけ替えて貰っても良いかな。」
「はい!かしこまりました!」
すると、先輩は千円札を九枚男性に渡し、次に小銭を数える。
「ありがとう、助かるよ。」
「いえいえ!何かお疲れですか?」
「最近、娘がませててね。この前なんか、成人向けの本がどーとか聞いて来たんだよ……。」
「それは大変ですね。」
男性の言葉に苦笑しながら、先輩は小銭を男性に渡すと、男性が缶コーヒーを先輩に渡す。
「両替のお礼と話を聞いてくれたお礼。受け取ってくれ。」
「良いんですか!ありがとうございます!!」
先輩の言葉に男性が笑うと、そのまま店を出ていった。
それを見送っていた先輩はレジを出て、近くにある小さいお茶のペットボトルを持って外に出た。
え!?
先輩!?
先輩は車に乗り込んだ男性の元へ行き、そのお茶を渡す。
閉じられていない自動ドアから会話が聞こえてくる。
「はい!缶コーヒーのお礼です!コーヒーばかりだと胃も痛めますので、お茶をどうぞ!お仕事、お疲れ様です!身体を大切にしてくださいね!」
先輩の言葉に男性は照れ臭そうにお茶を受け取ると、別れを言い車を出した。
先輩はレジに戻る前に、先程持っていったお茶と同じ商品を取ると自分で会計をし、その商品を棚に戻した。
「先輩、良いんですか?」
「ん?なにが?両替かな?別に良いよね、店長?」
バックヤードから出てきた店長は笑顔で頷いた。
「お客様あってのお店だからね。お客さんが喜んでくれるなら両替するのは大丈夫だよ。」
そうなんですね……。
先輩は凄いです!
色々な事に気が回って……。
私もそんな風になりたいです!!
「そういえば、さっきのお客さんの娘ちゃんは、前に佐倉ちゃんが注意した子かもね!」
先輩はにこにこと嬉しそうに缶コーヒーを持ちながら、元気な笑顔で私にそう言葉にした。
そんな。
まさか、ね?
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