もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

文字の大きさ
6 / 207
第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~

第6話 面接

しおりを挟む
 午後の面接は、召喚術のテストを行った大きな部屋で行われた。
 午前中にはなかった大きな暗幕が部屋をふたつにわけていて、面接はその暗幕の向こう側で行われた。
 幕が張られているだけに見えるけど、むこう側の音は全く聞こえない。

 面接は受験番号順、5人ずつだった。
 だから、ユウリは早々に呼ばれていなくなってしまった。
 イーアの番はずっと後だ。
 待ちくたびれて眠くなっちゃった頃に、ようやくイーアの番号が呼ばれた。
 
「はい、次、46番から50番の人、入ってください」

 イーアはあわてて立ち上がって、他の受験生たちといっしょに5人並んで暗幕の中に入っていった。

 暗幕の中には、受験生用のイスが5つ並んでいて、その正面に今までの試験でも見かけたグランドールの先生たちが5人いた。
 先生たちの後ろにはたくさんイスが並んでいて、そこに魔導師たちが座っていた。
 魔導師用のイスは20個くらいは並んでいた。だけど、室内にいたのは数人だけだ。しかも、魔導師たちは、みんなやる気がない表情で、関係ないおしゃべりをしている人たちもいる。
 イーアはそれを見て悟った。

(そっか……。番号が後ろの方だから、はじめから期待されてないんだ……)

 受験番号が成績順なのは、今までの試験の結果で、もう明らかだった。
 どの試験でも、受験番号が最初の方の生徒はみんなすぐに成功して、後ろの方の生徒は失敗ばっかりだった。

「では、46番から一人ずつ、簡単な自己紹介をしてください」

 そう試験官の先生が言った。
 受験番号46番のきりっとした女子生徒は、はきはきと言った。

「キャシー・ソーヤです。得意科目は自然魔法と占術です」

 46番の自己紹介が終わり、47番の受験生が自己紹介を始めた頃。
 奥の暗幕が開き、魔導師が一人入ってきた。

 暗い雰囲気の人だ。
 髪の色も服の色も全部黒い。
 無表情で妙に眼光が鋭かった。
 それに、老人ばかりの魔導師たちの中で、ひときわ若かった。まだ20代後半くらいに見える。
 室内にいた魔導師たちはそちらをふりむき、それから、みんな落ち着かない雰囲気になった。「まさか……」「ウェルグァンダルの……」そんなささやき声が魔導師達から聞こえた。

(なんか、ものすっごく怖い感じの人だぁ……)

 そう思っていると、イーアの番がまわってきた。

「49番。49番、自己紹介をしてください」

「あ、ハイ」

 イーアは名前を言い、それから、他の受験生たちが言っていたように、自分の得意な科目を力をこめて言った。

「イーアです。得意なのは、召喚術です。召喚術ならだれにも負けません!」

 そこにいた魔導師たちが、一瞬ざわついた。
 まるで、イーアが何か恐ろしいことを言ったかのように。
 そして、不気味な沈黙が漂った。
 イーアはわけもわからず後悔した。
 よくわからないけれど、なにか、悪いことを言ってしまったみたいだった。

 ひととおり、全員の自己紹介が終わると、46番から順番に魔導師たちの質問を受けることになった。
 誰も質問する者がいなかったら、代わりにグランドールの試験官の先生が質問する、という感じで進んで行った。
 そして、イーアの番がやってきた。
 試験官の先生がたずねた。

「49番の受験生に質問のある方はいらっしゃいますか?」

 部屋の中が、不気味にシーンとした。
 後から入ってきた怖い雰囲気の若い魔導師が紙に何かを書きつけていた。その音だけが響いている。
 魔導師の手からはなたれた紙片がイーアの方へと空中を滑るように飛んできた。

「呼べ」

 若い魔導師はぶっきらぼうにそう一言だけ言った。

(あの人、怖いよー)

 そう思いながら、イーアは紙片を受け取り、そこに書かれた文字を見た。
 これは召喚に使う精霊語だ。精霊語で書かれている。
 何かを召喚する呪文のようだけど、イーアは見たことがなかった。
 でも、意味はわからなくても、発音はわかる。

(よし。集中して呼ぼう!)

 イーアは、集中して呪文を読み上げていった。
 
(だれだかわからないけど。お願い。来て……)

 心の中でそう願いながら、イーアは待った。
 だけど、数秒たっても何も起こらなかった。
 イーアはあせりだした。
 魔導師たちは誰も何も言わない。イーアに指示を出した怖い雰囲気の若い魔導師も何も言わない。
 数十秒たった。
 まだ何も起こらい。

(失敗……?)

 そう思った時。
 まぶしい光が出現した。
 小さな小さな獣が空中に浮かんでいた。 
 初めて見る召喚獣だ。

 赤青黄白黒5色の毛並みが美しくて、とてもまぶしい白い炎でできた翼をもつ、きれいな一角獣だ。
 でも、体長5センチくらいしかない。

「かわいー」

 イーアが試験を忘れてそうつぶやくとと、美しい霊獣は小さな炎を吐きながら怒ったように言った。

『たわけ。身の程を知れ。感謝せよ。誰がためにわざわざ足を運んでやったと思うてか。まったく』

 美しく荘厳そうごんな霊獣はそんなことを精霊語で言って小さな炎を吐くと、すぐに消えてしまった。

 そして、室内には再び沈黙が漂った。
 召喚術の試験官をしていたグランドールの先生が目を見開いて固まっている。他には、なんの変化もない。

(これって……失敗?)

 召喚獣は、出てきたことは出てきたけれど、言うことを聞かずに何もしないで帰ってしまった。
 あの召喚獣をいままで見たことのないイーアには何が成功なのかがわからない。でも、すぐ消えてしまったから、たぶん、ちょっと失敗しているのはまちがいない。
 イーアは思わず両手で顔を隠した。

(あちゃー。召喚術では負けないとか、さっきえらそうに言っちゃったから、失敗すると、すっごく恥ずかしいよー!)

 イーアは指の間から、おそるおそる部屋の中の様子を見た。
 怖い雰囲気の若い魔導師は無表情で無言のまま立ち上がり、暗幕の向こうへと去って行った。
 グランドールの召喚術の先生が、あわててその後を追うように部屋を出て行った。

「49番の受験生への質問は以上でよろしいですね。それでは、50番の人に質問がある方……」

 そのまま、面接は何事もなかったように、進んで行った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

【完結】不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

処理中です...