もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

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第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~

第25話 ドルボッジ1

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 イーア達はドルボッジ場へむかった。
 ドルボッジ場はグランドールの本校舎から離れた林の中にある4階建てくらいの高さで、とても頑丈そうな建物だ。

 ドルボッジ場の中には、昼休みケンカになりかけた3人のマッチョな上級生がいた。3人は半袖半ズボンの何かのユニフォームみたいな服を着ていた。
 そして、オッペンが床に倒れていた。 
 
「オッペン! だいじょうぶ!?」

 オッペンはイーアの声に反応して振り返った。オッペンの顔はひどく殴られたように赤くなっていて鼻血が出ている。

「おう……なんともねぇ」

 なんともなくは見えない、ひどい顔だった。
 マーカスが、ドルボッジ場に入ってくるなり大声で言った。

「先輩、エルツのやつ、また先輩たちの悪口を言いまくってましたよ。ブサイクすぎだの、脳みそまで筋肉バカだの。今日はずっと悪口を言い続けてます」

 イーアはおどろきすぎて、とっさに何も言えなかった。
 ユウリは、そんなことは言っていない。
 いかつい上級生の3人が口々に言った。

「とことん生意気な一年どもだ」
「礼儀ってものを教えてやるんだな!」
「その根性叩き直してるぜ!」

 上級生たちはマーカスの言うことを信じて、怒っている。
 イーアが「そんなこと言ってない!」と抗議しようとしたところで、先にオッペンが叫んだ。

「ぜんぶマーカスの作り話だって言ってるだろ! おれはムキムキバカ面トリオとしか言ってねぇって!」

 イーアは心の中で叫んだ。

(オッペン! ムキムキバカ面トリオは十分悪口だよ!)

 ユウリがため息をついた。

「どうせぼくが何を言っても、先輩達はマーカスの言うことを信じるんだろうな」

 マーカスは笑いながら言った。

「もちろんさ。俺は先輩たちと仲がいいんだ。お前達の悪い所は前からたくさん話してある。俺を笑いものにしたことを死ぬほど後悔させてやる。今すぐあやまれば、先輩たちを説得して許してやってもいいけどな」

 ユウリはうんざりした表情で言った。

「ぼくは君が勝手に笑いものになった件しか知らないよ。召喚獣は勝手に暴走したんだ。イーアのせいじゃない。それは逆恨みだよ。そんなくだらない逆恨みで、先輩達にでたらめを吹きこんでぼくらに制裁せいさいを加えさせようと企むなんて」

 それを聞いて、イーアは思い出した。

「召喚術の授業のコプタン暴走のこと? あれは、オッペンとユウリは関係ないよ! わたしの召喚失敗は、たしかに悪かったけど。でも、あれは、わざとじゃないよ」

 オッペンも叫んだ。

「そうだぜ。イーアはぜんっぜん悪くねーぞ。マーカスが勝手に鼻に子豚いれてただけだろ。それに、どっちにしろおれは関係ないぞ!」

 でも、マーカスはひたいに青筋をたてて怒鳴った。

「わざとじゃない? どうせ、わざとじゃないのにいつも俺を笑いものにするのが君のクセなんだろ? イーア。それに、俺を一番バカにしてあざけり笑ったのが、オッペンだ! 俺はオッペンが一番許せないんだ! 百歩ゆずってイーアのことは許してやってもいいさ。でも、お前だけは絶対に許せない! オッペン!」

「おれは悪くねぇ!」

 オッペンはどなり返した。
 マーカスはそこで、そっぽを向いて言った。

「ふん。まぁ、それでも、心の広い俺は、許してやってもいいけどな。君達が俺に心から謝罪して感謝するっていうなら、今日のところはゆるしてやる」

 (コプタン事件は最初からあやまるつもりだったのに。そういう言い方されるとあやまりたくなくなるよ)と思いながら、イーアは言った。

「わたしはあやまってもいいけど。でも、マーカスとそっちの三人も、ユウリにあやまってよ。昼休み、ユウリをバカにしたこと」

「はぁ? なんで、俺がエルツに謝らなきゃいけないんだ」

 マーカスはそう言って顔をゆがめた。
 イーアはきっぱり宣言した。

「マーカス達があやまらないなら、わたしもあやまらない」

 マーカスは顔を赤くして怒り、そっぽを向いた。

「フンッ。世界が滅んだって俺はエルツにだけは頭をさげるもんか!」

「こうしょうけつれつだな!」

 オッペンが元気よくそう言った。まるで、オッペンは交渉決裂を望んでいたみたいに。
 マーカスは顔をゆがませて言った。

「それじゃあ、君たちは死ぬほど後悔するがいい。さぁ、君たちに俺が敬愛する先輩たちを紹介しよう。あちらがダモン先輩。ドルボッジ部の部長だ」

 ダモンは角ばった顔の赤ら顔で、直径20センチくらいのボールをひとさし指の上に浮かべていた。
 ボールを移動魔法で浮遊させているようだ。

「真ん中にいるのがガボー先輩。副部長だ」

 ガボーは3人の中では一番背が低いけど、どっしりした体形だ。

「グドロ先輩だ。エースだ」

 グドロは唇が分厚い顔で、身長は3人の中では真ん中だけど、逆三角形な体型で肩と背中の筋肉がとても大きい。 
 3人とも十代とは思えない筋肉量のマッチョっぷりで、とても強そうだった。
 マーカスはニタニタ笑いながら言った。

「これから先輩たちがドルボッジで君達の性根を叩き直してくださるんだ。感謝しろよ。ダモン先輩。こいつら、ドルボッジのルールも知らないんです。教えてやってください」

 ダモンは笑い、ボールを手に説明をした。

「ルールは簡単。そのセンターラインの線を挟んで向かい合い、このボールをぶつけあうだけだ。敵にボールをぶつけた回数で点数をつけ、先に10点獲得したチームがゲームをとる」

「それだけ?」

 イーアは思わず聞き返した。
 ただのボール当てゲームに聞こえる。むしろ楽しそうだ。
 ダモンはニヤリと笑って言った。

「それだけだ。が、言い忘れたが、敗北条件がもう一つある。プレイヤーの誰かがKOされて立ち上がれなくなったらその時点で負けだ。お前達は最後まで立っていられるかな?」

 なんだか、不気味だ。ダモンは言った。

「普通は1ゲーム10点先取で何ゲームかやるんだが、今日は1ゲームで十分だ。おまえらが勝てば、俺達は、はいつくばってあやまってやる」

「よっしゃ! ムキムキバカづらトリオに泣いてあやまらせてやるぜ!」

 オッペンが即座にそう叫び、ダモンはうれしそうにニヤリと笑った。

「そうこなくちゃな。とっとと、そっちの陣地に入れ。マーカス。扉を閉めろ!」

 マーカスがドルボッジ場の重たい鉄の扉を閉めた。
 イーアとユウリはオッペンのいる陣地の方へ入った。

「オッペン、だいじょうぶ? 回復する?」

 オッペンは鼻血を手の甲でぬぐいながら元気よく言った。

「ぜんっぜん、へーきだぜ? こんなん蚊にさされたみてーなもんだ。ボールは10発全部おれが当たってやるよ!」

「オッペン、10発当たったら負けだよ。ボールはキャッチするか、よけなきゃ」

 イーアが指摘すると、オッペンは「お、おう」と言って頭をかいた。
 ダモンが大声で言った。

「ドルボッジ・コート、ゲーム開始準備!」

 ドルボッジ場内に引かれたラインから光が立ち上り、光の壁のようなものが出現した。
 光の壁はイーア達の陣地と相手の陣地の四方と天井を囲んでいる。
 ガボーが説明した。

「周囲の壁は、ボールをはね返す壁なんだな。センターラインだけは、ボールは通過できるけど人は通れない壁なんだな」

 センターラインを挟んで、イーア達の陣地とダモン達の陣地は、床がうっすら色分けされていた。
 ドルボッジ場の天井から声が聞こえた。

《ゲーム開始の準備をします。エリアA、プレイヤー3名。エリアB、プレイヤー3名。以上、3対3でゲームを開始しますか?》

 ダモンがドルボッジ場へ返事をした。

「ドルボッジ・コート。それでOKだ。オプションルールなし、フィールド条件なし。禁止魔法なし。勝利条件1ゲーム先取」

《オプションルールなし、フィールド条件なし、禁止魔法なし、1ゲーム先取のゲームを開始します。よろしいですか?》

「OK」

《それでは、ゲームを開始します》

 ドルボッジ場内に笛のような音が響いた。
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