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第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~
第35話 地下への入り口
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恋占いの部屋の前にはたくさん女子が並んでいて、長い列になっていた。
グランドールに女子生徒は少ないから、こんなにたくさん女子が集まっているのをイーアは初めて見た。
列に並ぼうとして、イーアは列の最後尾にローレインがいるのを発見した。
「ローレインさん、こんにちは。ローレインさんも恋占いに来たんだね」
イーアが話しかけると、ローレインはそわそわしながら返事をした。
「ご、ごきげんよう。イーアさん。わ、わたくしは、べ、別に、こ、恋占いに並んでなんていませんことよ。この列は何かしらって、見ていただけですの」
「そうなの? でも、せっかくだからいっしょに並ぼうよ」
そうイーアが言うと、ローレインは長い金色の髪の毛をかき上げながら言った。
「そ、そこまでおっしゃるのなら、しかたがありませんわ」
イーアはローレインの後ろに並んだ。
キャシーとアイシャはイーアの後ろに並んで、恋占いがたのしみだってことをふたりでしゃべっていた。イーアはローレインに話しかけた。
「ローレインさん。学園祭、どこに行った? わたしはさっき調理部の魔法のカフェに行ってきたんだけど、すごかったよ。おいしかったよ。おすすめだよ」
ローレインはイーアに答えた。
「では、わたくしもそのカフェへあとでうかがいますわ。わたくしは、まだこれといって……。そ、そういえば、ど、ど、ど、どこかで、ケ、ケ、ケイニスを見かけていらっしゃらないかしら?」
イーアは学園祭ではケイニスを見かけていないけれど、どこにいるかは知っていた。
「ケイニス君なら、学園祭は時間の無駄だから部屋で勉強するって言ってたよ」
「そ、そう……」
ローレインは見るからにがっかりしていた。
そのとき、アイシャがイーアの後ろからローレインに話しかけた。
「ねぇ、ローレインさんって貴族クラスの人だよねぇ?」
ローレインはアイシャを見ながら言った。
「ええ。あなたは平民クラスのかた? どこかでお見かけしたことがあるような……」
「わたしの名前はねぇ、アイシャ・ボンペールです」
アイシャが名乗ると、ローレインは何か思い出したような表情になった。
「ボンペール商会のアイシャさん?」
ローレインとアイシャはどこかで知り合いだったらしく、ふたりでおしゃべりを始めた。イーアはアイシャと場所をかわってキャシーとおしゃべりすることにした。
列はゆっくりと進んでいった。
不意にキャシーが言った。
「あれ、オッペンじゃない?」
廊下の向こうの方から、オッペンがキョロキョロと何かを探しているような様子で歩いてくる。
オッペンはイーア達を見つけると早足になってやってきた。
オッペンが探していたのはイーア達だったようだ。
「あれ? もう1時かな」
イーアはつぶやいた。
まだ1時の時報はなっていない。でも、カフェを出た時にはとっくに12時をすぎていたから、そろそろユウリの応援に行く時間なのかもしれない。
だけど、オッペンは近よるなりイーアに言った。
「おい、イーア。占いなんかいいから、ちょっとこいよ。おもしろいもの発見したんだ」
イーアが答える前に、キャシーがオッペンをにらみつけて言った。キャシーはオッペンより背が高いので、オッペンを見下ろすような形になる。
「おもしろいものってなによ? どうせ、ろくでもないものでしょ」
オッペンはキャシーをにらみ返して言った。
「おまえには言えねー」
キャシーはさらに険しい表情でオッペンをにらみつけた。
「イーアに言えて、あたしに言えないってどういうことよ?」
「これは、男の秘密を守れるやつにしか言えねぇんだよ」
なんだかオッペンとキャシーのケンカがぼっ発しそうだ。
「イーアは女の子だよぉー。恋占いをするんだよぉー」
アイシャが横からそう抗議したけど、オッペンは言った。
「イーアは女子だけど、おれらの仲間なんだよ。おれ達はドルボッジの死線をくぐりぬけた戦友だぜ? でも、おまえらはちがうから、キャピキャピ恋占いでもしてろよ。ほら、イーア。早く来いって。緊急事態なんだ」
オッペンは急いでいるみたいだ。何かが起こっているのかもしれない。
イーアはもともと恋占いにはあまり興味がなかったので、オッペンについていくことにした。
「うん。じゃ、行くよ。もうすぐユウリの応援にグラウンドに行く時間だしね」
キャシーががっかりした声をあげた。
「えー? 行っちゃうの? どうせオッペンの見つけたものとか、ろくでもないよ?」
アイシャは、のんびりと手を振った。
「じゃあ、またねぇ。占いの後、わたしたちもエルツ君の応援に行くねぇ」
「うん。またあとでね」
イーアも手を振った。
「ほら、早く来いって」
オッペンはイーアをせかして、廊下をどんどんと歩いて行った。
オッペンについていくと、やがてイーアは校舎のはずれの階段のところへやってきた。
この辺りは学園祭のお店やイベントが行われている場所からはだいぶ離れているから、ほとんど人がいなかった。
オッペンは階段のそばで立ちどまって、小声で言った。
「さっき偶然さ、シャヒーン先生を見かけたんだよ」
「シャヒーン先生?」
「シャヒーン先生は、この階段の下にむかって歩いていったんだ」
ここの階段は他と違って1階のさらに下まで続いている。だけど、地下1階があるわけではなく、曲がった先にはただ壁があるだけだ。
イーアは入学したばかりの頃に、ユウリとオッペンと一緒に校舎内を探検して、この階段の先が行き止まりだってことを確認していた。
オッペンは階段を降りて行き、突きあたりの壁の前に立った。
「いいか? おどろくなよ」
オッペンはそう言って、壁に向かって歩いて行った。
オッペンの姿は消えた。
オッペンは壁の中に入って消えてしまった。
イーアはおどろいて、壁に手をふれた。
手が壁の中に入っていく。
イーアはそのまま、壁の中に入った。
壁の向こうには、暗いろう下が続いていた。
イーアは暗がりの中、キョロキョロしながらつぶやいた。
「壁の中に入れちゃったよ?」
オッペンは興奮した様子で言った。
「すげぇだろ。シャヒーン先生が入っていったのを見て、おれも入れるのに気が付いたんだ。だから、速攻呼びにいったんだ。ほんとはユウリも呼びたいんだけどさ。コンテストだろ?」
たしかに、ユウリは今頃、自然魔法のコンテストに出場するためグラウンドに集合中のはずだ。邪魔するわけにはいかない。
「うん。ユウリは呼べないね。でも、この場所、前は入れなかったよね?」
イーアは後ろを振り返って、自分が通ってきた壁を見て首をかしげた。今も見た目には壁があるように見える。
しかも、前に探検した時、ここはなんとなくあやしい場所だったから、イーアもオッペンも手であの壁をたたいて確認したのだ。あの時は、たしかにかたい壁があって通れなかったはずだ。
オッペンも不思議そうに言った。
「ああ。なんで入れんのかな。学園祭のためか?」
「学園祭のために通れるようにしたってこと? そんなことするかな」
あまり説得力はない説だ。でも、オッペンは元気よく言った。
「なんでかわかんねーけど、これでここを探検できるぜ! ユウリがいないのが残念だけど、待ってらんねぇよな? 地下の探検だ!」
イーアはちょっと迷ったけど、うなずいた。
「うん。ちょっとだけなら大丈夫だよね」
ユウリのコンテストが始まるまで、まだちょっと時間がある。
ちょっとだけ学校の地下を探検するくらいなら、何も問題ないはずだ。
「おう。行こうぜ!」
オッペンは意気揚々と地下の暗闇の中へと歩を進めた。
グランドールに女子生徒は少ないから、こんなにたくさん女子が集まっているのをイーアは初めて見た。
列に並ぼうとして、イーアは列の最後尾にローレインがいるのを発見した。
「ローレインさん、こんにちは。ローレインさんも恋占いに来たんだね」
イーアが話しかけると、ローレインはそわそわしながら返事をした。
「ご、ごきげんよう。イーアさん。わ、わたくしは、べ、別に、こ、恋占いに並んでなんていませんことよ。この列は何かしらって、見ていただけですの」
「そうなの? でも、せっかくだからいっしょに並ぼうよ」
そうイーアが言うと、ローレインは長い金色の髪の毛をかき上げながら言った。
「そ、そこまでおっしゃるのなら、しかたがありませんわ」
イーアはローレインの後ろに並んだ。
キャシーとアイシャはイーアの後ろに並んで、恋占いがたのしみだってことをふたりでしゃべっていた。イーアはローレインに話しかけた。
「ローレインさん。学園祭、どこに行った? わたしはさっき調理部の魔法のカフェに行ってきたんだけど、すごかったよ。おいしかったよ。おすすめだよ」
ローレインはイーアに答えた。
「では、わたくしもそのカフェへあとでうかがいますわ。わたくしは、まだこれといって……。そ、そういえば、ど、ど、ど、どこかで、ケ、ケ、ケイニスを見かけていらっしゃらないかしら?」
イーアは学園祭ではケイニスを見かけていないけれど、どこにいるかは知っていた。
「ケイニス君なら、学園祭は時間の無駄だから部屋で勉強するって言ってたよ」
「そ、そう……」
ローレインは見るからにがっかりしていた。
そのとき、アイシャがイーアの後ろからローレインに話しかけた。
「ねぇ、ローレインさんって貴族クラスの人だよねぇ?」
ローレインはアイシャを見ながら言った。
「ええ。あなたは平民クラスのかた? どこかでお見かけしたことがあるような……」
「わたしの名前はねぇ、アイシャ・ボンペールです」
アイシャが名乗ると、ローレインは何か思い出したような表情になった。
「ボンペール商会のアイシャさん?」
ローレインとアイシャはどこかで知り合いだったらしく、ふたりでおしゃべりを始めた。イーアはアイシャと場所をかわってキャシーとおしゃべりすることにした。
列はゆっくりと進んでいった。
不意にキャシーが言った。
「あれ、オッペンじゃない?」
廊下の向こうの方から、オッペンがキョロキョロと何かを探しているような様子で歩いてくる。
オッペンはイーア達を見つけると早足になってやってきた。
オッペンが探していたのはイーア達だったようだ。
「あれ? もう1時かな」
イーアはつぶやいた。
まだ1時の時報はなっていない。でも、カフェを出た時にはとっくに12時をすぎていたから、そろそろユウリの応援に行く時間なのかもしれない。
だけど、オッペンは近よるなりイーアに言った。
「おい、イーア。占いなんかいいから、ちょっとこいよ。おもしろいもの発見したんだ」
イーアが答える前に、キャシーがオッペンをにらみつけて言った。キャシーはオッペンより背が高いので、オッペンを見下ろすような形になる。
「おもしろいものってなによ? どうせ、ろくでもないものでしょ」
オッペンはキャシーをにらみ返して言った。
「おまえには言えねー」
キャシーはさらに険しい表情でオッペンをにらみつけた。
「イーアに言えて、あたしに言えないってどういうことよ?」
「これは、男の秘密を守れるやつにしか言えねぇんだよ」
なんだかオッペンとキャシーのケンカがぼっ発しそうだ。
「イーアは女の子だよぉー。恋占いをするんだよぉー」
アイシャが横からそう抗議したけど、オッペンは言った。
「イーアは女子だけど、おれらの仲間なんだよ。おれ達はドルボッジの死線をくぐりぬけた戦友だぜ? でも、おまえらはちがうから、キャピキャピ恋占いでもしてろよ。ほら、イーア。早く来いって。緊急事態なんだ」
オッペンは急いでいるみたいだ。何かが起こっているのかもしれない。
イーアはもともと恋占いにはあまり興味がなかったので、オッペンについていくことにした。
「うん。じゃ、行くよ。もうすぐユウリの応援にグラウンドに行く時間だしね」
キャシーががっかりした声をあげた。
「えー? 行っちゃうの? どうせオッペンの見つけたものとか、ろくでもないよ?」
アイシャは、のんびりと手を振った。
「じゃあ、またねぇ。占いの後、わたしたちもエルツ君の応援に行くねぇ」
「うん。またあとでね」
イーアも手を振った。
「ほら、早く来いって」
オッペンはイーアをせかして、廊下をどんどんと歩いて行った。
オッペンについていくと、やがてイーアは校舎のはずれの階段のところへやってきた。
この辺りは学園祭のお店やイベントが行われている場所からはだいぶ離れているから、ほとんど人がいなかった。
オッペンは階段のそばで立ちどまって、小声で言った。
「さっき偶然さ、シャヒーン先生を見かけたんだよ」
「シャヒーン先生?」
「シャヒーン先生は、この階段の下にむかって歩いていったんだ」
ここの階段は他と違って1階のさらに下まで続いている。だけど、地下1階があるわけではなく、曲がった先にはただ壁があるだけだ。
イーアは入学したばかりの頃に、ユウリとオッペンと一緒に校舎内を探検して、この階段の先が行き止まりだってことを確認していた。
オッペンは階段を降りて行き、突きあたりの壁の前に立った。
「いいか? おどろくなよ」
オッペンはそう言って、壁に向かって歩いて行った。
オッペンの姿は消えた。
オッペンは壁の中に入って消えてしまった。
イーアはおどろいて、壁に手をふれた。
手が壁の中に入っていく。
イーアはそのまま、壁の中に入った。
壁の向こうには、暗いろう下が続いていた。
イーアは暗がりの中、キョロキョロしながらつぶやいた。
「壁の中に入れちゃったよ?」
オッペンは興奮した様子で言った。
「すげぇだろ。シャヒーン先生が入っていったのを見て、おれも入れるのに気が付いたんだ。だから、速攻呼びにいったんだ。ほんとはユウリも呼びたいんだけどさ。コンテストだろ?」
たしかに、ユウリは今頃、自然魔法のコンテストに出場するためグラウンドに集合中のはずだ。邪魔するわけにはいかない。
「うん。ユウリは呼べないね。でも、この場所、前は入れなかったよね?」
イーアは後ろを振り返って、自分が通ってきた壁を見て首をかしげた。今も見た目には壁があるように見える。
しかも、前に探検した時、ここはなんとなくあやしい場所だったから、イーアもオッペンも手であの壁をたたいて確認したのだ。あの時は、たしかにかたい壁があって通れなかったはずだ。
オッペンも不思議そうに言った。
「ああ。なんで入れんのかな。学園祭のためか?」
「学園祭のために通れるようにしたってこと? そんなことするかな」
あまり説得力はない説だ。でも、オッペンは元気よく言った。
「なんでかわかんねーけど、これでここを探検できるぜ! ユウリがいないのが残念だけど、待ってらんねぇよな? 地下の探検だ!」
イーアはちょっと迷ったけど、うなずいた。
「うん。ちょっとだけなら大丈夫だよね」
ユウリのコンテストが始まるまで、まだちょっと時間がある。
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