もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

文字の大きさ
35 / 207
第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~

第35話 地下への入り口

しおりを挟む
 恋占いの部屋の前にはたくさん女子が並んでいて、長い列になっていた。
 グランドールに女子生徒は少ないから、こんなにたくさん女子が集まっているのをイーアは初めて見た。
 列に並ぼうとして、イーアは列の最後尾にローレインがいるのを発見した。

「ローレインさん、こんにちは。ローレインさんも恋占いに来たんだね」

 イーアが話しかけると、ローレインはそわそわしながら返事をした。

「ご、ごきげんよう。イーアさん。わ、わたくしは、べ、別に、こ、恋占いに並んでなんていませんことよ。この列は何かしらって、見ていただけですの」

「そうなの? でも、せっかくだからいっしょに並ぼうよ」

 そうイーアが言うと、ローレインは長い金色の髪の毛をかき上げながら言った。

「そ、そこまでおっしゃるのなら、しかたがありませんわ」

 イーアはローレインの後ろに並んだ。
 キャシーとアイシャはイーアの後ろに並んで、恋占いがたのしみだってことをふたりでしゃべっていた。イーアはローレインに話しかけた。

「ローレインさん。学園祭、どこに行った? わたしはさっき調理部の魔法のカフェに行ってきたんだけど、すごかったよ。おいしかったよ。おすすめだよ」

 ローレインはイーアに答えた。

「では、わたくしもそのカフェへあとでうかがいますわ。わたくしは、まだこれといって……。そ、そういえば、ど、ど、ど、どこかで、ケ、ケ、ケイニスを見かけていらっしゃらないかしら?」

 イーアは学園祭ではケイニスを見かけていないけれど、どこにいるかは知っていた。

「ケイニス君なら、学園祭は時間の無駄だから部屋で勉強するって言ってたよ」

「そ、そう……」

 ローレインは見るからにがっかりしていた。
 そのとき、アイシャがイーアの後ろからローレインに話しかけた。

「ねぇ、ローレインさんって貴族クラスの人だよねぇ?」

 ローレインはアイシャを見ながら言った。

「ええ。あなたは平民クラスのかた? どこかでお見かけしたことがあるような……」

「わたしの名前はねぇ、アイシャ・ボンペールです」

 アイシャが名乗ると、ローレインは何か思い出したような表情になった。

「ボンペール商会のアイシャさん?」

 ローレインとアイシャはどこかで知り合いだったらしく、ふたりでおしゃべりを始めた。イーアはアイシャと場所をかわってキャシーとおしゃべりすることにした。
 列はゆっくりと進んでいった。
 不意にキャシーが言った。

「あれ、オッペンじゃない?」

 廊下の向こうの方から、オッペンがキョロキョロと何かを探しているような様子で歩いてくる。
 オッペンはイーア達を見つけると早足になってやってきた。
 オッペンが探していたのはイーア達だったようだ。

「あれ? もう1時かな」

 イーアはつぶやいた。
 まだ1時の時報はなっていない。でも、カフェを出た時にはとっくに12時をすぎていたから、そろそろユウリの応援に行く時間なのかもしれない。
 だけど、オッペンは近よるなりイーアに言った。

「おい、イーア。占いなんかいいから、ちょっとこいよ。おもしろいもの発見したんだ」

 イーアが答える前に、キャシーがオッペンをにらみつけて言った。キャシーはオッペンより背が高いので、オッペンを見下ろすような形になる。

「おもしろいものってなによ? どうせ、ろくでもないものでしょ」

 オッペンはキャシーをにらみ返して言った。

「おまえには言えねー」

 キャシーはさらに険しい表情でオッペンをにらみつけた。

「イーアに言えて、あたしに言えないってどういうことよ?」

「これは、男の秘密を守れるやつにしか言えねぇんだよ」

 なんだかオッペンとキャシーのケンカがぼっ発しそうだ。

「イーアは女の子だよぉー。恋占いをするんだよぉー」

 アイシャが横からそう抗議したけど、オッペンは言った。

「イーアは女子だけど、おれらの仲間なんだよ。おれ達はドルボッジの死線をくぐりぬけた戦友だぜ? でも、おまえらはちがうから、キャピキャピ恋占いでもしてろよ。ほら、イーア。早く来いって。緊急事態なんだ」

 オッペンは急いでいるみたいだ。何かが起こっているのかもしれない。
 イーアはもともと恋占いにはあまり興味がなかったので、オッペンについていくことにした。

「うん。じゃ、行くよ。もうすぐユウリの応援にグラウンドに行く時間だしね」

 キャシーががっかりした声をあげた。

「えー? 行っちゃうの? どうせオッペンの見つけたものとか、ろくでもないよ?」

 アイシャは、のんびりと手を振った。

「じゃあ、またねぇ。占いの後、わたしたちもエルツ君の応援に行くねぇ」

「うん。またあとでね」

 イーアも手を振った。

「ほら、早く来いって」

 オッペンはイーアをせかして、廊下をどんどんと歩いて行った。
 オッペンについていくと、やがてイーアは校舎のはずれの階段のところへやってきた。
 この辺りは学園祭のお店やイベントが行われている場所からはだいぶ離れているから、ほとんど人がいなかった。
 オッペンは階段のそばで立ちどまって、小声で言った。

「さっき偶然さ、シャヒーン先生を見かけたんだよ」

「シャヒーン先生?」

「シャヒーン先生は、この階段の下にむかって歩いていったんだ」

 ここの階段は他と違って1階のさらに下まで続いている。だけど、地下1階があるわけではなく、曲がった先にはただ壁があるだけだ。
 イーアは入学したばかりの頃に、ユウリとオッペンと一緒に校舎内を探検して、この階段の先が行き止まりだってことを確認していた。
 オッペンは階段を降りて行き、突きあたりの壁の前に立った。

「いいか? おどろくなよ」

 オッペンはそう言って、壁に向かって歩いて行った。
 オッペンの姿は消えた。
 オッペンは壁の中に入って消えてしまった。

 イーアはおどろいて、壁に手をふれた。
 手が壁の中に入っていく。
 イーアはそのまま、壁の中に入った。
 壁の向こうには、暗いろう下が続いていた。
 イーアは暗がりの中、キョロキョロしながらつぶやいた。

「壁の中に入れちゃったよ?」

 オッペンは興奮した様子で言った。

「すげぇだろ。シャヒーン先生が入っていったのを見て、おれも入れるのに気が付いたんだ。だから、速攻呼びにいったんだ。ほんとはユウリも呼びたいんだけどさ。コンテストだろ?」

 たしかに、ユウリは今頃、自然魔法のコンテストに出場するためグラウンドに集合中のはずだ。邪魔するわけにはいかない。

「うん。ユウリは呼べないね。でも、この場所、前は入れなかったよね?」

 イーアは後ろを振り返って、自分が通ってきた壁を見て首をかしげた。今も見た目には壁があるように見える。
 しかも、前に探検した時、ここはなんとなくあやしい場所だったから、イーアもオッペンも手であの壁をたたいて確認したのだ。あの時は、たしかにかたい壁があって通れなかったはずだ。
 オッペンも不思議そうに言った。

「ああ。なんで入れんのかな。学園祭のためか?」

「学園祭のために通れるようにしたってこと? そんなことするかな」

 あまり説得力はない説だ。でも、オッペンは元気よく言った。

「なんでかわかんねーけど、これでここを探検できるぜ! ユウリがいないのが残念だけど、待ってらんねぇよな? 地下の探検だ!」

 イーアはちょっと迷ったけど、うなずいた。

「うん。ちょっとだけなら大丈夫だよね」

 ユウリのコンテストが始まるまで、まだちょっと時間がある。
 ちょっとだけ学校の地下を探検するくらいなら、何も問題ないはずだ。

「おう。行こうぜ!」

 オッペンは意気揚々と地下の暗闇の中へと歩を進めた。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

【完結】不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

処理中です...