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第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~
第61話 連行
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再びトラップのある道を抜け、長い階段をあがって地下2階にもどった頃には、3人とも疲れはてていた。
ユウリは双竜模様の扉を閉めると、カギとなる宝玉をすべて外した。
これで、誰も中に入れないはずだ。
オッペンが、大きく息を吐きながら言った。
「あーあ。すんげぇ、つかれたぜ」
イーアはもう疲れすぎてて「うん」としか言えない。
ユウリは扉のカギとなる宝玉を魔法のかばんにしまいながら言った。
「ぼくも、ほぼ魔力が尽きたよ。脱出用の転移アイテムを用意してもらうべきだったな。とても高価だって話だけど」
「シャヒーン先生にたのんで、今度は用意してから行こうぜ」
オッペンはそう言ったけど、ユウリは冷静に言った。
「今度はないよ。危険すぎる。あの先に何があるのか知らないけど……」
「なんだ。きみらはなにも知らずに、地下にもぐっていたのかい?」
突然、マーカスのイヤミな声が聞こえた。マーカスが目を覚ましたようだ。
「げっ。おまえ気がついてたのかよ! だったら自分で歩けよ!」
オッペンが非難するように叫んだ。
でも、マーカスが実は気が付いていたくせに気絶したふりをしていた、とは思えない。
マーカスはかなり情けない姿でユウリとオッペンにひきずられて運ばれてきたから。
「マーカス。よかった。無事、気がついたんだね」
イーアが声をかけると、マーカスはそっぽをむいて、いつもの調子で言った。
「フン。いいか。俺は助けろなんて一言も言ってないぞ」
ユウリがとげのある声で言った。
「言われなくても助けるのがイーアだからね。感謝ぐらいしろよ。君が生きてるのは100%イーアのおかげなんだ。イーアがいなければ、君は石像の戦士にひき肉にされていたはずだ」
即座にオッペンも言った。
「そうだぜ。おまえなんか、ハンバーグにされて魔獣にくわれてたぜ」
でも、イーアは言った。
「感謝なんていいよ。死にかけてるクラスメイトがいたら、助けるのは当然だもん。それより、マーカス、あの先に何があるか知ってるの?」
ケンカをするよりも、大事なことがある。
今はできるだけたくさんマーカスから情報を引き出したい。
マーカスは、白装束の魔導士たちにつながる貴重な情報源だ。
マーカスはそっぽを向いたまま言った。
「グランドールの秘宝。帝国の命運を左右する大事なものだ。俺はある方に頼まれて、それを探している」
「グランドールの秘宝?」
「やっぱお宝があんのか!」
オッペンが興奮して叫ぶと、マーカスはせせら笑うように言った。
「君たちは鼻を突っこまない方がいいよ。これは、子どもの遊びじゃないんだ」
ユウリは冷たく言った。
「君だって子どもだろ。同じ年なんだから」
でも、マーカスは言った。
「一緒にしないでほしいな。俺は選ばれたんだ。これから危機に直面する帝国を救う英雄となるために」
「ぼくらが行かなきゃ、死んでたのに?」
ユウリとマーカスがにらみ合った。
イーアは二人の間にわってはいってたずねた。
「それより、マーカス。ある方ってだれ? だれがマーカスに頼んだの?」
マーカスに依頼した人が、きっと白装束の魔導士の一味、イーアたちが探している人物だ。
「それは言えないね。これは極秘任務なんだ」
「おれたちは命の恩人なんだから、恩返しに教えろよ」
オッペンが要求すると、マーカスは鼻で笑った。
「どうせオッペンは何もしてないだろ? おおかた、イーアが何か召喚したんだろ? オッペンはいつでも戦力外の足手まといだもんな」
オッペンは怒りくるった顔で叫んだ。
「おれが、おまえを運んで来てやったんだよ! 感謝しやがれ! へなちょこピヨピヨ野郎!」
「ピヨ……なんだと!」
イーアは(こりゃだめだ……)と頭をかかえた。
すっかりケンカモードで、とてもマーカスから情報を引き出せそうにない。
イーアは、今はあきらめることにして言った。
「とりあえず、寮に帰ろう」
4人は出口に向かった。
マーカスはやはりひどいケガをしているらしく、動くだけでも痛そうだったけれど、強がって治療も受けずに歩いていた。
地上へとつながる通路へ戻ってきたところで、イーアは、ほっと息をはいて、(あと少しで外だね。今日はつかれたぁ)と心の中でつぶやいた。
ところが、イーア達がようやく出口にたどりついて外に出ようとした所で、いきなり、階段の上から怒鳴り声がふってきた。
「おまえら! こんな時間にこんなところで何をやっている!」
地下の出入り口の所に仁王立ちしていたのは、マジーラ先生だった。
マジーラ先生は重々しい口調で言った。
「まさか、こんなところに地下への入り口があるとはな。おまえら、こっちへ来い」
イーアたちは校舎へ、生徒指導室へと、連行された。
生徒指導室で、マジーラ先生はすごい剣幕で言った。
「近頃1年が門限までに寮に帰っていないという噂を聞いてパトロールを強化していたら、これだ!」
(どうしよう。罰として校舎100周とかいわれちゃうかも……)
イーアはマジーラ先生の剣幕にすっかり不安になったけれど、叱られなれているオッペンは、マジーラ先生の怒りにまったくひるまず堂々と主張した。
「先生、おれらは占星術部だから夜まで活動していいんだよ。これは部活動なんだって」
マジーラ先生はオッペンをにらみつけたまま言った。
「たしかに、シャヒーンから占星術部の夜間活動の届け出はでている。だが、占星術部がなぜ地下に入る必要があるんだ? 夜空を観察するための夜間活動だろう?」
マジーラ先生の言うことはもっともだ。でも、オッペンは堂々と主張した。
「わかってねぇなぁ。先生は。占いは空を見るだけじゃねーんだよ。おれらは地下のじめじめ暗い所で占いの練習してたんだよ。な!」
オッペンの言い訳は無理があるけど、イーア達はうなずくしかなかった。他の言い訳なんて思いつかない。
マジーラ先生はしかめっ面でマーカスを指さして言った。
「百歩ゆずって、占星術部の活動だったとしてだ。マーカスは部員じゃないだろう」
「マーカスは、体験入部です」
イーアはとっさにそう言った。
ユウリが、「こんなやつ、かばってやらなくていいよ」と目で言っていたけれど。この状況じゃ、マーカスが裏切ればみんなアウトだ。かばわないわけにいかない。
マジーラ先生はイーア達全員を順番ににらみながら言った。
「二百歩ゆずって、マーカスが体験入部中だったとして。どうしてエルツのローブが焦げていて、いつもきちんとしているマーカスの顔や服がそんなに汚れていて傷だらけなんだ? それに、マーカス、ケガをしていないか? さっきから苦しそうな……」
マーカスは激痛に耐えながら首を横に強く振り、「ケガなんてしてません。すり傷だけです」と主張し、オッペンも言った。
「すげぇ、やばい占いだったんだよ。失敗すると炎が吹き出たり爆発したり石がふっとんできたりするんだよ。シャヒーン先生から習ったシャヒーンスペシャルな占いだから、やっべぇんだ。な?」
すらすらと言い訳を思いつくオッペンに感心しながらイーアはうなずいた。ユウリとマーカスもうなずいた。
マジーラ先生は大きなため息をついて、頭をゆっくり左右にふった。
「シャヒーンめ。まったく。それにしても今年の1年どもは、元気が良すぎるにもほどがあるぞ。地下で何をしていたのかしらないが……。いいか、校舎の地下は、お前たちが思っているよりずっとずっと危険な場所なんだ」
すでにイーア達はマジーラ先生以上にあの地下の危険さを知っているけれど。4人とも何も言わなかった。
「あの地下への入り口はすぐにふさぐ。地下へは絶対に立ち入り禁止だ! お前達はもう二度とあの場所に近づくな。今度近づいたら、停学処分をかくごしろ!」
「はい!」とオッペンがやたら元気よく返事をして、それでマジーラ先生の話は終わった。
結局、イーア達は厳重注意だけ、罰はゼロで、無事に解放された。
寮にもどってから、オッペンは言った。
「ふぅ。マジーラ先生でよかったぜ。なんとかごまかせたな」
オッペンはいっつもあんな感じでごまかしているらしい。どこまでマジーラ先生がオッペンのウソを信じているのかはわからないけれど。
なんやかんやいって、マジーラ先生はけっこう生徒に甘いみたいだ。
ユウリは双竜模様の扉を閉めると、カギとなる宝玉をすべて外した。
これで、誰も中に入れないはずだ。
オッペンが、大きく息を吐きながら言った。
「あーあ。すんげぇ、つかれたぜ」
イーアはもう疲れすぎてて「うん」としか言えない。
ユウリは扉のカギとなる宝玉を魔法のかばんにしまいながら言った。
「ぼくも、ほぼ魔力が尽きたよ。脱出用の転移アイテムを用意してもらうべきだったな。とても高価だって話だけど」
「シャヒーン先生にたのんで、今度は用意してから行こうぜ」
オッペンはそう言ったけど、ユウリは冷静に言った。
「今度はないよ。危険すぎる。あの先に何があるのか知らないけど……」
「なんだ。きみらはなにも知らずに、地下にもぐっていたのかい?」
突然、マーカスのイヤミな声が聞こえた。マーカスが目を覚ましたようだ。
「げっ。おまえ気がついてたのかよ! だったら自分で歩けよ!」
オッペンが非難するように叫んだ。
でも、マーカスが実は気が付いていたくせに気絶したふりをしていた、とは思えない。
マーカスはかなり情けない姿でユウリとオッペンにひきずられて運ばれてきたから。
「マーカス。よかった。無事、気がついたんだね」
イーアが声をかけると、マーカスはそっぽをむいて、いつもの調子で言った。
「フン。いいか。俺は助けろなんて一言も言ってないぞ」
ユウリがとげのある声で言った。
「言われなくても助けるのがイーアだからね。感謝ぐらいしろよ。君が生きてるのは100%イーアのおかげなんだ。イーアがいなければ、君は石像の戦士にひき肉にされていたはずだ」
即座にオッペンも言った。
「そうだぜ。おまえなんか、ハンバーグにされて魔獣にくわれてたぜ」
でも、イーアは言った。
「感謝なんていいよ。死にかけてるクラスメイトがいたら、助けるのは当然だもん。それより、マーカス、あの先に何があるか知ってるの?」
ケンカをするよりも、大事なことがある。
今はできるだけたくさんマーカスから情報を引き出したい。
マーカスは、白装束の魔導士たちにつながる貴重な情報源だ。
マーカスはそっぽを向いたまま言った。
「グランドールの秘宝。帝国の命運を左右する大事なものだ。俺はある方に頼まれて、それを探している」
「グランドールの秘宝?」
「やっぱお宝があんのか!」
オッペンが興奮して叫ぶと、マーカスはせせら笑うように言った。
「君たちは鼻を突っこまない方がいいよ。これは、子どもの遊びじゃないんだ」
ユウリは冷たく言った。
「君だって子どもだろ。同じ年なんだから」
でも、マーカスは言った。
「一緒にしないでほしいな。俺は選ばれたんだ。これから危機に直面する帝国を救う英雄となるために」
「ぼくらが行かなきゃ、死んでたのに?」
ユウリとマーカスがにらみ合った。
イーアは二人の間にわってはいってたずねた。
「それより、マーカス。ある方ってだれ? だれがマーカスに頼んだの?」
マーカスに依頼した人が、きっと白装束の魔導士の一味、イーアたちが探している人物だ。
「それは言えないね。これは極秘任務なんだ」
「おれたちは命の恩人なんだから、恩返しに教えろよ」
オッペンが要求すると、マーカスは鼻で笑った。
「どうせオッペンは何もしてないだろ? おおかた、イーアが何か召喚したんだろ? オッペンはいつでも戦力外の足手まといだもんな」
オッペンは怒りくるった顔で叫んだ。
「おれが、おまえを運んで来てやったんだよ! 感謝しやがれ! へなちょこピヨピヨ野郎!」
「ピヨ……なんだと!」
イーアは(こりゃだめだ……)と頭をかかえた。
すっかりケンカモードで、とてもマーカスから情報を引き出せそうにない。
イーアは、今はあきらめることにして言った。
「とりあえず、寮に帰ろう」
4人は出口に向かった。
マーカスはやはりひどいケガをしているらしく、動くだけでも痛そうだったけれど、強がって治療も受けずに歩いていた。
地上へとつながる通路へ戻ってきたところで、イーアは、ほっと息をはいて、(あと少しで外だね。今日はつかれたぁ)と心の中でつぶやいた。
ところが、イーア達がようやく出口にたどりついて外に出ようとした所で、いきなり、階段の上から怒鳴り声がふってきた。
「おまえら! こんな時間にこんなところで何をやっている!」
地下の出入り口の所に仁王立ちしていたのは、マジーラ先生だった。
マジーラ先生は重々しい口調で言った。
「まさか、こんなところに地下への入り口があるとはな。おまえら、こっちへ来い」
イーアたちは校舎へ、生徒指導室へと、連行された。
生徒指導室で、マジーラ先生はすごい剣幕で言った。
「近頃1年が門限までに寮に帰っていないという噂を聞いてパトロールを強化していたら、これだ!」
(どうしよう。罰として校舎100周とかいわれちゃうかも……)
イーアはマジーラ先生の剣幕にすっかり不安になったけれど、叱られなれているオッペンは、マジーラ先生の怒りにまったくひるまず堂々と主張した。
「先生、おれらは占星術部だから夜まで活動していいんだよ。これは部活動なんだって」
マジーラ先生はオッペンをにらみつけたまま言った。
「たしかに、シャヒーンから占星術部の夜間活動の届け出はでている。だが、占星術部がなぜ地下に入る必要があるんだ? 夜空を観察するための夜間活動だろう?」
マジーラ先生の言うことはもっともだ。でも、オッペンは堂々と主張した。
「わかってねぇなぁ。先生は。占いは空を見るだけじゃねーんだよ。おれらは地下のじめじめ暗い所で占いの練習してたんだよ。な!」
オッペンの言い訳は無理があるけど、イーア達はうなずくしかなかった。他の言い訳なんて思いつかない。
マジーラ先生はしかめっ面でマーカスを指さして言った。
「百歩ゆずって、占星術部の活動だったとしてだ。マーカスは部員じゃないだろう」
「マーカスは、体験入部です」
イーアはとっさにそう言った。
ユウリが、「こんなやつ、かばってやらなくていいよ」と目で言っていたけれど。この状況じゃ、マーカスが裏切ればみんなアウトだ。かばわないわけにいかない。
マジーラ先生はイーア達全員を順番ににらみながら言った。
「二百歩ゆずって、マーカスが体験入部中だったとして。どうしてエルツのローブが焦げていて、いつもきちんとしているマーカスの顔や服がそんなに汚れていて傷だらけなんだ? それに、マーカス、ケガをしていないか? さっきから苦しそうな……」
マーカスは激痛に耐えながら首を横に強く振り、「ケガなんてしてません。すり傷だけです」と主張し、オッペンも言った。
「すげぇ、やばい占いだったんだよ。失敗すると炎が吹き出たり爆発したり石がふっとんできたりするんだよ。シャヒーン先生から習ったシャヒーンスペシャルな占いだから、やっべぇんだ。な?」
すらすらと言い訳を思いつくオッペンに感心しながらイーアはうなずいた。ユウリとマーカスもうなずいた。
マジーラ先生は大きなため息をついて、頭をゆっくり左右にふった。
「シャヒーンめ。まったく。それにしても今年の1年どもは、元気が良すぎるにもほどがあるぞ。地下で何をしていたのかしらないが……。いいか、校舎の地下は、お前たちが思っているよりずっとずっと危険な場所なんだ」
すでにイーア達はマジーラ先生以上にあの地下の危険さを知っているけれど。4人とも何も言わなかった。
「あの地下への入り口はすぐにふさぐ。地下へは絶対に立ち入り禁止だ! お前達はもう二度とあの場所に近づくな。今度近づいたら、停学処分をかくごしろ!」
「はい!」とオッペンがやたら元気よく返事をして、それでマジーラ先生の話は終わった。
結局、イーア達は厳重注意だけ、罰はゼロで、無事に解放された。
寮にもどってから、オッペンは言った。
「ふぅ。マジーラ先生でよかったぜ。なんとかごまかせたな」
オッペンはいっつもあんな感じでごまかしているらしい。どこまでマジーラ先生がオッペンのウソを信じているのかはわからないけれど。
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