もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

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第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~

第62話 期末試験

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 マジーラ先生が宣言した通り、林の中の地下への入り口は翌日には封じられてしまい、先生や守衛さんが交代であの入り口を見張るようになった。

 ちなみに、シャヒーン先生はイーアたちが捕まった翌日、マジーラ先生にこってりたっぷりしかられたらしい。

「監督なしで夜に野外を歩きまわらせるなだの、危険なオリジナル占いを教えるなだの、身に覚えのないことふくめて、いっぱいしかられちまったからね。あんたたち、しばらくは静かにしておいておくれ。これ以上やると、あたしがクビになっちまうよ」

 シャヒーン先生は怒られすぎて頭痛がするとぼやきながら、そう言っていた。
 どっちにしろ見張りがいて地下には入れないから、イーア達は地下の探索をいったん中止にした。

(モルドーに会えなかったのは残念だけど。グランドールの秘宝を白装束たちから守るには、この方がいいもんね)

 双竜模様の扉のカギとなる宝玉は、今もユウリが保管している。
 先生たちの見張りが強化され、扉のカギはイーア達が持っているこの状態で、白装束の魔導士の一味がモルドーのいる地下迷宮に忍びこむことはできないだろう。
 
 それより問題は、先生たちの中にいるという白装束の共犯者だ。
 どんなにたずねても、マーカスは口を割らなかった。
 何度かたずねている内に、イーアはマーカスの様子から、指示役への尊敬と、それから、恐怖みたいなものを感じた。
 秘密をもらせば、マーカスの身が危なくなるのかもしれない。

 聞きだすのがむりなら見つけようと思って、イーアたちはマーカスを見張ることにした。
 だけど、マーカスはあの後しばらくケガで寝こんでいて、その後は冬休み前の試験準備期間になり、最近は勉強ばかりしていた。

 しかたがないのでイーア達も試験勉強をすることにした。
 この日、イーアは自習室でユウリに教えてもらいながらテスト勉強をしていた。
 グランドールはエリート学校なだけあって、試験前はほとんどの生徒が真剣に勉強をしている。
 そんな中、イーアは頭をかかえていた。

「ぜんっぜん、わからないよー!」

 バイトや犯人探しが忙しくて、まったく勉強していなかったから、イーアはどの科目もさっぱりわからなくなっていた。

「どこがわからない? もう一度説明するよ」

「ぜんぶ」

 といった会話をしている内に、ユウリは他の生徒にも勉強を教えてほしいと呼ばれて、行ってしまった。
 イーアはひとりでぼやき続けた。

「まいったよー。このままじゃ、赤点ばっかになりそうだよー」

 成績が悪すぎて退学になったらどうしよう……。
 イーアが心配になっていると、突然、どさっと、イーアの前に本が何冊も置かれた。

「エルツみたいな天才に教わったってむださ。凡人は凡人流の勉強をしなきゃね」

 イーアがふりかえると、そこには、なんとマーカスがいた。

「ほら、凡人向けの参考書だ。俺はもういらないから、君にあげるよ。せいぜい赤点にならないようにがんばればいいさ」

 そっぽを向いてそう言うと、マーカスはイーアの礼も聞かずに足早に歩きさっていった。

 イーアはマーカスの参考書を開いた。
 「よくわかる魔導語」とか「はじめての薬学」とか書いてある参考書は、教科書よりずっとわかりやすかった。
 しかも、参考書にはマーカスのきれいな字の書きこみがたくさんあって、それがとても役に立つ。
 ちょっとわからないなと思ったところには、大抵マーカスのメモが書いてあるのだ。

(わかる……。これなら、なんとか、わかる!)

 イーアが山積みの参考書で勉強を始めたところで、キャシーとアイシャが通りがかった。

「あれ? イーア、その参考書の山、どうしたの?」

「マーカスがくれたんだよ」

「マーカスが? あのマーカスが?」

 キャシーが信じられないと言った様子で聞き返し、アイシャがなぜだかうれしそうに笑いながら言った。

「ほらぁ~。うふふぅ~。だから、言ったとおりだよぉ~。うふふふぅ~」

「まさか。絶対にただのアイシャの妄想だと思ってたのに」

「実は最初からそうだったんだよぉ~。マーカスは~。うふふふぅ~」

 ふたりはよくわからない会話をしながら去って行った。


 そんなこんなであっというまに試験期間になり、そして、試験がすべて終わった。
 試験期間が終わるとすぐ、答案はどんどんと返された。

「先生たち、こんなにいそいで採点がんばらなくてもいいのにね」

 イーアは返ってきた薬学の答案用紙をながめながら、つぶやいた。
 オッペンもなげいた。

「ほんとだぜ。結果なんて知りたくねーよ。しばらく夢みさせてくれよ」

「あたしは、すぐ返してもらえるほうが安心できるかも」

 そう言うキャシーは、薬学のテストはしっかり92点をとっていた。

「オッペンは何点?」

 そうたずねながらキャシーはオッペンの答案を見て、あわてて叫んだ。

「オッペン、22点って、これ、完全に赤点じゃない! 赤点は来月から補習でしょ? で、その後、追試に受からないと、留年よ?」

「補習!? 留年!? やべぇ! まじかよ! ……補習がんばろうぜ、イーア」

 こっちを見てきたオッペンに、イーアは言った。

「わたし、赤点じゃないよ? ほら、45点」

 マーカスの参考書のおかげか、イーアは赤点の科目はひとつもなかった。赤点ギリギリの点数はあったけど。
 オッペンは叫んだ。

「この裏切り者ぉ! 補習は、おれだけかよ!」
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