もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

文字の大きさ
63 / 207
第1部 グランドール魔術学校 ~亡国の古城と地底竜の守るもの~

第63話 呼び出し

しおりを挟む
 答案がぜんぶ返された翌日、掲示板の前には人だかりができていた。
 成績優秀者の名前が掲示されるのだ。
 成績がいい人以外の名前は張り出されないけど、赤点の人は張り出される。補習の日時が書いてある赤点の掲示には、オッペンの名前がいくつかあった。

 一方、成績優秀者の掲示では、1年生の総合成績のところに、「1位ケイニス、2位エルツ、3位マーカス」と張り出されていた。

 ユウリは掲示を見てほっとしたように言った。

「よかった。奨学生の全額学費免除には、学年10位以内をキープしないといけないんだ」

「そうなの?」

「うん。1年の成績の平均で、10位以内に入っていればいいんだけど」

 奨学生は成績が悪いと奨学金取り消しになる、ということをイーアは初めて知った。
 それを知って、イーアは一瞬、不安になった。
 ウェルグァンダルの奨学生にも成績の取り決めがあるのだろうか……?

(でも、赤点はないから、きっと大丈夫だよね……)

 イーアがユウリといっしょに掲示を見ていると、ちょうど、掲示板の前にマーカスがやってきた。イーアはマーカスに話しかけた。

「マーカス、すごいね。3位だよ」

 マーカスは悔しそうにつぶやいた。

「フン。エルツに負けたか」

「でも、すごいよ。マーカスは入学の時よりずっと順位があがってるもん。入学の時は、わたしと大差なかったのに」

 マーカスは鼻で笑った。
 
「君といっしょにしてほしくないな。入学試験は調子が悪かっただけなんだ。次は負けないぞ。エルツ。凡人が天才に勝つところをみせてやる」

 マーカスはユウリに向かって堂々と宣言をして、去って行った。
 ユウリはわざとマーカスのことを無視して、つぶやいた。

「ケイニスはさすがだね。勝てそうにないや」

 イーアは掲示板の前をはなれながら、ユウリに言った。

「これで試験も終わったし、あとは冬休み! 楽しみだね」
 
 ところが、そのとき突然、黒い影のような、カラスみたいな生き物が飛んできた。
 生徒達があわてて左右によけていく。
 猛スピードで飛んできた黒い鳥はイーアの前でとまり、翼と口を大きく開いて叫んだ。

「なんだ、この成績は。即刻、塔に来い」

 聞こえたのは、ガリの声だ。……ウェルグァンダルからの呼び出しだ。
 イーアの成績を見たガリが怒っている……。
 声は淡々としていた、というより、むしろあきれているような声だったけど、あのガリがわざわざ「来い」と呼び出すということは、きっと、怒っている……。

「どうしよう!」




 すぐに来いと言われたので、イーアは放課後、すぐさまウェルグァンダルに向かった。
 なにしろ、ガリが怒って「奨学金を取り消す」と言えば、それでイーアの学校生活は終わってしまう。

 塔の入り口で不気味なベルを鳴らすと、少ししてリグナムが出てきた。

「いらっしゃーい。久しぶりだね。もちろん、今日もガリはいないよ」

「え? いないんですか? すぐ来いって言われたのに」

 ガリがいないと聞いて、イーアはひょうしぬけして、少しほっとした。

「ガリがわざわざ君を呼び出すなんて……何かしでかしちゃった? まぁ、入りなよ」

「しでかしたというか……テストの点がよくなくて……」

 イーアは塔の中に入りながら、リグナムにテストのことを説明した。

「赤点は一個もないから、怒らなくてもいいのに」

 イーアがなげくと、リグナムは大笑いしながら言った。

「そりゃ、ガリは超成績優秀だったからさ。100点以外は許せないんじゃないかな。赤点ギリギリなんて点数、きっと、ガリは生まれて初めて見たと思うよ」

「100点!?」

 そんな点数、とれるはずがない。……ユウリは、とっているけど。どうやら、ガリは学生時代、ああいうタイプの超優等生だったらしい。
 リグナムは笑いながらつづけて言った。

「だって、ガリって、1年で3年分の科目をほぼ終えちゃったらしいよ。しかも、ほとんどの科目で成績トップ。初等魔学校にも行ってなかったのにさ」

「そうなんですか!?」

「うん。ガリがウェルグァンダルに来たのは、君ぐらいの年の時だけど。その時までガリは学校なんて行ってなかったんだ。ドラゴンといっしょにいたから。なのに、ここにきてから、ほとんど独習で、ものすごいスピードで魔術を学んでいったんだよ」

 ガリの天才っぷりは、ユウリやケイニスよりもすごいかもしれない。

「ガリは塔主としては最悪だけど、魔導士としても召喚士としても天才なんだよ。塔主としては本当に最悪だけど。あーあ。昔は、年末って門弟の皆さんがあいさつに来て大にぎわいだったのに。ガリが塔主になってからは、ほとんど誰も来やしない……」

 その時、塔の中に「ゲオー、ゲオー」という音が響いた。

「来客……ゲオ先生だ!」

 リグナムはそう言って、玄関にむかって急いで走っていった。


 イーアは立ちどまってリグナムが戻ってくるのを待った。
 入り口の方からリグナムの声が聞こえた。

「ゲオ先生! お久しぶりです!」

「久しぶりだ。リグナム。元気そうで何より。年末の挨拶あいさつに来たんだが、塔主はいらっしゃるかね」

 聞こえてきたのは、年配の男性っぽい低い声だった。

「ガリはいません。でも、弟子を呼び出したらしいから、じきに戻ってくると思います……あ、そうだ! ゲオ先生。ガリの初弟子を紹介します。イーア!」

 イーアは呼ばれたので、廊下をちょっと戻った。
 リグナムの横に白髪の威厳のあるおじいさんが立っていた。
 おじいさんだけど、背筋がまっすぐで背が高くて格好いい。

「イーア、こちらは塔主補佐役のゲオ先生。とてもえらい先生なんだよ」

 イーアは頭を下げてあいさつをした。

「はじめまして。よろしくお願いします」

 ゲオはほほえんだ。

「よろしく。君が新しい入門者か。なるほど、素質にめぐまれているね」

「そうなんですか? グランドールのテストは赤点ギリギリなのに?」

 疑わし気に聞き返したのは、リグナムだ。
 たしかに、成績が悪すぎて呼び出されたって話の後じゃ、疑われても仕方がない。

「少なくとも召喚士としての素質は人並みはずれている。さて、塔主がお戻りになられたようだ」

 ゲオはそう言って、廊下の先の階段の方を見た。
 リグナムは驚いたように聞き返した。

「え? ガリが戻った?」

 たしかに、階段の所に、ガリがいた。
 ガリはイーアを見て、いつものように無表情に言った。

『ゲオと話す。おまえはしばらく待て』

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

【完結】不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

処理中です...