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第2部 バララセ東部 ~密林の巨鳥と水竜の島
第98話 白装束の男達
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カンラビの密林のはずれの草原に小さな白いテントがあった。
「ジグモ様。俺です。入りますよ」
<白光>の紋様がついた白いローブを着て銀仮面をつけた男がひとり、そう言って、そのテントへと入っていった。テントの中には、外からは想像もつかない、絨毯がしきつめられ豪華な調度品で飾られた室内が広がっていた。
その室内に、<白光>の白いローブを着た初老の男がしかめ面で一人座っていた。
「ベグラン、遅いぞ」
ベグランと呼ばれた、外から入ってきた白装束の男はフードと仮面をはずして言った。
「無茶言わないでくださいよ。言われたように、奴隷兵と囚人兵、借りてきましたよ。しかし、いいんですか? 例の物探しは、極秘任務。あの兵士どもにちょっとでも情報知られちゃまずいでしょうに」
ベグランの口調は丁寧だが、どこか相手を小ばかにしたような、不遜な調子だった。
ジグモと呼ばれた男は鼻で笑った。
「問題なかろう。用が済めば全部殺せばいいだけだ」
「そんなことしちゃ、軍が怒りますよ。あっちは戦力足りなくて大変なんですから」
「怒る? わしの調合してやった魔薬がなければろくに戦えん無能どもが?」
ベグランは肩をすくめた。
「<盲従と高揚>のクスリねぇ。あれ、使いすぎると廃人になるでしょ。長期的にはどうなんですかねぇ。あ、そうそう、戦力不足といえば。アンドルさんから援軍要請がきたんで、俺は行きますが、いいですか?」
「ふん。アンドルめ。バララセでも失態を重ねてるようだな」
「失態っていうかねぇ、無茶な汚れ仕事押し付けられてるっていうか。元々負け戦だったところに、あの人つっこんでなんとか持ち直したって感じですからねぇ。そういえば、あの遺跡に派遣した下っ端どもはどうなりました?」
「まだ連絡はきていない」
「今月、例の大怪鳥にやられたのが6人。帰ってこなかったら、これで8人ですか。<奉仕者>レベルにまかせてても埒があきませんね」
ジグモは笑った。
「安心せい。これから、わしが行く。ゴモル、兵士どもに薬を飲ませろ」
それまで部屋の隅に立っていた無地の白装束の服を着た大柄《おおがら》な従者が無言でうなずき、テントを出ていった。
「じゃあ、俺はもう行きますよ」
ベグランはジグモに背を向け、外に出ようとしながら言った。
「ご武運をお祈りしてますよ。本当にアレがここにあるんだか、俺は正直、半信半疑ですがね。過去にそうそうたる顔ぶれの魔導師が挑んでも、入手できなかったって話じゃないですか」
「フンッ。見ていろ。わしが手に入れてあの下賤《げせん》な成り上がり者の鼻をあかしてやる」
「ご武運を」
ベグランは肩をすくめながらテントの外にでて、転移用の水晶石を取りだした。
そこで、ベグランは木のそばに、ひっそりとたたずむもう一人の白装束の魔導士の方へふりかえり、たずねた。
「さぁて、南でおそうじ、おそうじ、と。いっしょに行くか?」
「いや。先に行け、ベグラン。面白いものを見つけた。俺はここで少し遊んでからあの方のもとへむかう」
黒い獣を傍に従えた魔導士はそう言って笑った。
「そうかい。それじゃ、俺は先に地獄に行ってるぜ。嫌だ嫌だ。まったく、奴隷人種も人の形をしているからなぁ。善良な俺の心は痛むったらありゃしない」
そう大声でつぶやきながらベグランは姿を消し、黒い獣を従えた白装束の魔導士は木立の中へと歩き去っていった。
「ジグモ様。俺です。入りますよ」
<白光>の紋様がついた白いローブを着て銀仮面をつけた男がひとり、そう言って、そのテントへと入っていった。テントの中には、外からは想像もつかない、絨毯がしきつめられ豪華な調度品で飾られた室内が広がっていた。
その室内に、<白光>の白いローブを着た初老の男がしかめ面で一人座っていた。
「ベグラン、遅いぞ」
ベグランと呼ばれた、外から入ってきた白装束の男はフードと仮面をはずして言った。
「無茶言わないでくださいよ。言われたように、奴隷兵と囚人兵、借りてきましたよ。しかし、いいんですか? 例の物探しは、極秘任務。あの兵士どもにちょっとでも情報知られちゃまずいでしょうに」
ベグランの口調は丁寧だが、どこか相手を小ばかにしたような、不遜な調子だった。
ジグモと呼ばれた男は鼻で笑った。
「問題なかろう。用が済めば全部殺せばいいだけだ」
「そんなことしちゃ、軍が怒りますよ。あっちは戦力足りなくて大変なんですから」
「怒る? わしの調合してやった魔薬がなければろくに戦えん無能どもが?」
ベグランは肩をすくめた。
「<盲従と高揚>のクスリねぇ。あれ、使いすぎると廃人になるでしょ。長期的にはどうなんですかねぇ。あ、そうそう、戦力不足といえば。アンドルさんから援軍要請がきたんで、俺は行きますが、いいですか?」
「ふん。アンドルめ。バララセでも失態を重ねてるようだな」
「失態っていうかねぇ、無茶な汚れ仕事押し付けられてるっていうか。元々負け戦だったところに、あの人つっこんでなんとか持ち直したって感じですからねぇ。そういえば、あの遺跡に派遣した下っ端どもはどうなりました?」
「まだ連絡はきていない」
「今月、例の大怪鳥にやられたのが6人。帰ってこなかったら、これで8人ですか。<奉仕者>レベルにまかせてても埒があきませんね」
ジグモは笑った。
「安心せい。これから、わしが行く。ゴモル、兵士どもに薬を飲ませろ」
それまで部屋の隅に立っていた無地の白装束の服を着た大柄《おおがら》な従者が無言でうなずき、テントを出ていった。
「じゃあ、俺はもう行きますよ」
ベグランはジグモに背を向け、外に出ようとしながら言った。
「ご武運をお祈りしてますよ。本当にアレがここにあるんだか、俺は正直、半信半疑ですがね。過去にそうそうたる顔ぶれの魔導師が挑んでも、入手できなかったって話じゃないですか」
「フンッ。見ていろ。わしが手に入れてあの下賤《げせん》な成り上がり者の鼻をあかしてやる」
「ご武運を」
ベグランは肩をすくめながらテントの外にでて、転移用の水晶石を取りだした。
そこで、ベグランは木のそばに、ひっそりとたたずむもう一人の白装束の魔導士の方へふりかえり、たずねた。
「さぁて、南でおそうじ、おそうじ、と。いっしょに行くか?」
「いや。先に行け、ベグラン。面白いものを見つけた。俺はここで少し遊んでからあの方のもとへむかう」
黒い獣を傍に従えた魔導士はそう言って笑った。
「そうかい。それじゃ、俺は先に地獄に行ってるぜ。嫌だ嫌だ。まったく、奴隷人種も人の形をしているからなぁ。善良な俺の心は痛むったらありゃしない」
そう大声でつぶやきながらベグランは姿を消し、黒い獣を従えた白装束の魔導士は木立の中へと歩き去っていった。
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