もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

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第2部 バララセ東部 ~密林の巨鳥と水竜の島

第106話 オッペンの戦い3

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 コサが、白装束の大男の頭に向かって死角から矢を放った。
 だけど、矢は銀色に輝く盾に阻まれた。
 盾を持っていたのは、大男の後から出てきた、白いマントの下に白銀の鎧を着こんだ騎士のようないでたちの男だ。
 矢が盾に跳ね返った音で振り返った白装束の魔導士と大男に向かって、白装束の騎士は言った。

「この虫けらどもの始末はお任せください、ジグモ様」

「フン。任せたぞ、ライン」

 白装束の魔導士とランを抱えた大男は一瞬で姿を消した。
 「待て!」とオッペンが叫んだ瞬間、ラインと呼ばれた騎士の盾のかげから、槍が飛び出した。

 オッペンは家の影に走りこみ、コサもとっさにとびのいた。
 白装束の騎士の槍の一突きは、その先にあった小屋に大きな穴をあけた。屋根と壁が吹き飛び半壊した小屋の中に、ぐったりと横たわる人質たちの姿が見えた。
 一方、コサは、避けたのにも関わらず、大きくふきとばされていた。
 オッペンは愕然がくぜんと、その様子を見ていた。

(なんだ、今の? ユウリの魔法みてぇな、風の攻撃が飛んできたぞ?)

 ただの槍の突きではない。
 武器に付与されている力なのか、魔法なのかはわからないが、あの槍使いは、突きと同時に強力な風魔法の攻撃を放っていた。
 あれの直撃をくらったら、普通の人間はこっぱみじん、即死するだろう。
 それに、あの攻撃の前では、木造の家では盾にならない。

 盾と槍を持った白装束の騎士が、首をかしげてつぶやいた。

「おや? 蛮族といっしょに妙なのがいるな。その小屋の影にいるのは何者だ?」

 隠れても無駄だ。そう悟って、オッペンは家の影から出て堂々と、足の震えをとめようとがんばりながら、堂々と宣言した。

「おれは通りすがりのヒーローだ!」

 白装束の騎士は、鼻で笑った。

「フハハハ。ずいぶんと小さなヒーローがでてきたものだ。それにしても、運が悪いお子ちゃまだ。こんなところでヒーローごっこをしたがために、お前はここで蛮族と一緒に殺されてしまうのだからな」

 オッペンは父からもらった魔導銃剣を構えて大声で言った。

「運が悪いのは、おまえの方だ! 騎士みてぇな格好のクズ野郎。おれを敵にしたことを後悔させてやる。おれは超運がいい男だからな!」

 長身の騎士はせせら笑った。

「何を言っているのだか。まともに剣を構えることすらできないお子ちゃまが、本物の帝国騎士にかなうと思うなよ」

「お前なんて本物の帝国騎士じゃねぇ! 本当の正義の味方は、弱い者いじめなんてしねぇんだよ! お前は本物のヒーローに倒される悪党だ! おれにはわかる。あと3分でお前はボロボロに倒される!」

 オッペンが断言すると、白装束の騎士は大笑いした。

「ああ、おもしろい。そこまで言うなら、3分ほど遊んでやろうか」

 その瞬間、オッペンは感じた。ここにいたら殺される、と。
 オッペンが大声で敵の気を引いている間に白装束の騎士の死角にまわりこんでいたコサが、矢を放っていた。
 コサの放つ矢を軽々と盾でふせぎながら、白装束の騎士は、オッペンの方へむかって槍をつきだした。

 槍から放たれた風魔法が一直線に飛んでくる。
 だけどその時には、オッペンはすでに走って移動していた。騎士の攻撃はかすりもしなかった。

「カンがいいお子ちゃまだ。だが、何度よけ続けられるかな?」

 白装束の騎士は余裕の笑みを浮かべてそう言った。
 次の攻撃が襲ってくる。
 ドルボッジの訓練で反射神経を鍛えているとはいえ、オッペンは騎士のスピードには、かなわない。
 相手が動く前に動かなければよけられない。
 だけど、わかる気がした。

(来るのはどっちだ? ……右だ)

 オッペンは左に跳び、駆け抜けた。思った通り、敵の攻撃は右に来た。
 白装束の騎士は笑い、からかうように言った。

「たしかに運がいい。さぁて、自称ヒーロー君。次はどっちに逃げるのかな?」

 オッペンは敵を見つめながら、心の中でつぶやいた。

(運じゃねぇ。見えるんだ)

 今、オッペンには、一瞬先の未来が見えていた。
 これまでも、そんな気がするときはあった。だけど、気のせいだと思って気にしなかった。
 だけど、見える。
 これは、気のせいじゃない。
 コサからかりた首飾りが未来予知の力を増しているのかもしれない。

(集中しろ。見るんだ……。次は……人質が危ない!)

 最初の槍の一撃で崩れかけた小屋の中に、縛られた男と老人数人が地面に伏せていた。白装束の騎士は、こちらに攻撃すると思わせて、その人質たちにむかって攻撃しようとしていた。
 一撃で、全員殺されるだろう。

「させるか!」

 白装束の騎士が槍を引いた瞬間、オッペンは敵にむかって魔導銃剣の雷撃を放った。一発限りの雷撃が、白装束の槍使いにむかって飛んでいく。

「なに!?」

 白装束の騎士は、人質へ攻撃する寸前で動きを変え、盾で雷撃を受けた。
 雷撃は、銀色の盾の中に吸収されるように消えていった。

「フッ。我が至宝、アイアの魔盾に魔法は効かない。だが、貴様、まるで、攻撃を読んでいるような……。いや、まさかな。そんなこと、できるものか。さて、そろそろ、お子ちゃま相手の遊びは終わりにするとしよう」

 あざ笑うようにそう言う白装束の騎士にむかって、ただの剣になった魔導銃剣をむけ、オッペンは宣言した。

「終わるのはおまえだ。おまえはもうすぐ倒される」

「まだ言うか。愚かな」

「バカはおまえだ。おれはもうバカじゃない」
 
 オッペンにだけ見える未来の中で、白装束の騎士が攻撃を繰り出した。
 現実の白装束の騎士が槍を構えた瞬間、オッペンは叫んだ。

「コサ! よけろ!」

 槍使いは、弓矢を構えていたコサの方へ攻撃を放った。
 オッペンの叫びで一瞬早く反応したコサは、直撃はまぬがれた。
 だが、その時には、オッペンに向かって、白装束の騎士が次の一撃をうちこもうとしていた。
 二連撃。

 だけどその時、巨大な影が、上空から突っこんできた。
 すべて予測し地に伏せたオッペンの頭上を騎士の攻撃が通過していき、そして直後、巨大な爪が激しい風圧とともに通り過ぎていった。
 鋭い爪に胸を貫かれた白装束の騎士が、一度空高く高く連れ去られた後、ぼろきれのように遠くへと投げ捨てられ、密林の中に落ちていった。

 巨大な怪物の声が密林の上空に響きわたった。
 さっきの槍の一撃で折れ、出血する片腕をおさえながら、コサがつぶやいた。「オーロガロン……」と。
 巨大な、少しドラゴンに似ている鳥が、空を飛び交っていた。
 そして、一羽の大怪鳥の上から聞きなれた声が降ってきた。

「オッペン! コサ! だいじょうぶ?」

 オッペンはとび上がり、大怪鳥の上の少女にむかって叫んだ。

「よっしゃ! イーア! 来ると思ってたぜ!」
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