もふもふ精霊に愛された召喚士、実はエルフだった!? ~精霊の森の生き残りはやがて英雄となる~

しゃぼてん

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第3部 帝都騒乱 ~魔女の血脈~

第136話 <光の神殿>保管庫前

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 てつくように寒い<光の神殿>の最奥で、ベグランは廊下に響く足音を聞いていた。
 雪と氷に閉ざされたこの神殿の中に、今は他に人はいないはずだった。
 ひとり歩いて来る<白光>の魔導士は、銀仮面に白いローブ姿だが、それが誰かは仮面を確認するまでもなく一目でわかる。
 暗い暗い闇のような呪われた魔力が全身にまとわりついているために。

 ベグランは柱にもたれかかり目をつぶったまま声をかけた。

「アンドルさん。どうしたんですか? こんな凍え死にそうに寒いところにこんな時間に」

「お前こそ、ここで何をしている。ベグラン」

 ベグランは柱にもたれかかったまま答えた。

「見張りですよ。ご存じの通り、俺は配置がえで、アンドルさんとこからウラジナル団長閣下直属に移りまして。今日はここ、例の物の保管庫の見張りを仰せつかってるんです」

 そう言って、ベグランが親指で指さす背後の暗い廊下の先には、限られた者だけが入室できる保管庫があった。

「どこかの占術士が凶兆を告げたとかで。俺は今晩はこんなとこで寝ずの番ですよ。寒いったらありゃしない」

「そうか。ご苦労。バララセで回収した例の石を持ってきた。我が師ウラジナルには報告済みだ。保管庫に入らせてもらう」

「そうですか。さぁさ、どうぞお通りください。どうせアンドルさんは裏切れば自動的に死ぬ身ですから裏切るはずがない。団長閣下の一番弟子にして腹心の部下であるアンドルさんを通さない理由は、俺には何もないんで」

 軽い口調でそう言うベグランの横を通り過ぎながら、アンドルは言った。

「ベグラン」

「なんですかい?」

「配置換えの前に言い忘れた。長い間世話になった」

 アンドルはいつも通りの険しい表情だったが、ベグランは笑顔になり照れたように頭をかいた。

「そりゃどうも。うれしいですね。そう言ってもらえると。実は俺はあんたのファンなんでね。アンドルさん。俺なんかが力になれるなら、なんだってしますよ」

 ベグランの返事が終わるのを待たず、アンドルは歩き去り、支配者の石板が安置されている部屋へと入っていった。
 無人の廊下で真顔に戻ったベグランはつぶやいた。
 
「だから、俺は、あんたとのお別れはちょいとさびしいですね」
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