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第4部 帝国の終焉 ~滅亡をもたらすダークエルフ~
第175話 ゲオ参戦
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『ケピョン、ヤララとつないで』
イーアはケピョンを呼び出し、ヤララの部屋にいるケピョンとつなげてもらった。
『ヤララ、塔はどうなってるの? 新型兵器の攻撃で消されたみたいに見えたけど』
『塔に被害はないよ。攻撃を受ける前に転移したから』
地味な小鳥から聞こえるヤララの返事に、イーアは拍子抜けした。
『へ? ウェルグァンダルの塔って、移動できるの?』
どうやら、映像で塔がなくなったように見えたのは、塔が一瞬で移動したからだったらしい。
『私も知らなかったよ。塔は今まで一度も移動したことなかったから。ガリがどこかからあの兵器で攻撃されるって情報を得てきて。準備で大変だったけど、なんとか間に合ってよかったよ』
『じゃ、みんな無事なんだね。よかったぁ。でも、ガリは攻撃されるのを知っていたの?』
そうイーアがたずねたところで、ゲオが言った。
「深く尋ねない方が良いだろう。先方に迷惑がかかる。それよりも、君はやるべきことがあって、ここに来たのではないかね?」
『うん、あの兵器を破壊しなくちゃ。でも、そしたら、召喚士のみんなとその家族が帝国に殺されちゃうって、ゲオ先生、さっきは反対して……』
ゲオはきっぱりと言った。
「塔が攻撃されたからには、我々に選択の余地などない。全力で敵を叩きのめすのみだ』
「え?」
ゲオは非戦論者なのかと思っていたけれど、今はむしろ好戦的に聞こえる。
「実はさっき君を逃がしてしまった時点で、全召喚士と関係者に帝国から避難するよう指示を出したのだ。塔主が動いた例の件が起きた時点で、すでに退避していた者もいる。なんとか間に合うだろう。いずれにせよ、塔が攻撃されて黙っている召喚士などいない。ここからはウェルグァンダルの全召喚士と帝国、あるいは<白光>との、全面戦争だ。容赦は不要。情けをかけて手を抜けば被害が大きくなる。さて、行こうか」
ゲオはむしろすっきりとした表情をしていた。
イーアとゲオは新型兵器を破壊するために要塞内を進んでいった。
途中には敵と防衛装置が待ち受けていた。
だけど、ゲオはそれを多種多様な召喚獣を使い、いとも簡単に破壊・回避していった。<白光>の魔導士でさえ、ゲオは速やかに容赦なく倒してしまった。
『あのじぃさん、なんなんだ? おれたちの出番がまったくないぞ』
ティトは感心したというよりむしろあきれたように言った。
イーアは以前ヤララから聞いた話を思い出した。
ゲオは若い頃からずっと、毎年もっとも多くの任務をこなしている召喚士なのだという。
それも、ゲオが受けるのはほとんどが最高難易度の任務で、中には敵が偉い人間だったりする色々な意味で危ない、複雑な任務もあるらしい。
最近のゲオは講演みたいな依頼をすることもあるけれど、今でもウェルグァンダルに来る一番厄介な依頼はゲオに回されるという。
『単純な破壊力ならガリの方が上だけど、罠をかいくぐって潜入したり、バレるとまずい任務をうまくやり遂げる能力は断然ゲオが上。それに、昔はガリに任務を頼むと、色々破壊しすぎたり人間側を攻撃しちゃったりして、結局ゲオがその後始末をするってことがよくあったんだって。塔主は任務を行わないから、今はいいけどね』
そうヤララは語っていた。
以前はガリに頼まれてイーアに補習なんかしてくれたけど、ゲオは現役バリバリのトップ召喚士なのだ。
とても安心感があるので、イーアはゲオの後をついて走りながら、のんびりティトにむかってつぶやいた。
『ゲオ先生が呼ぶ召喚獣は色んな子がいるから、勉強になるね。図鑑でしか見たことのない珍しい精霊ばっかだよ』
やがて新型兵器のある場所へとたどりついた。
天井がどこまでも高い円柱形の大きな部屋で、壁や床には魔法陣が彫りこまれている。そして、真ん中に巨大な大砲のようなものが置かれていた。
「どうやらこの空間全体が魔導昇降機になっているようだな」とゲオが言った。
攻撃するときには、エレベーターのようにこの床全体が上昇していくらしい。今は地下まで降りてきているけれど。
イーアは目の前にある巨大な筒のような物体を見た。巨大な兵器はまだ熱を持っていた。
組み込まれたパーツの持つ役割はイーアにはわからないけれど、魔導技術の粋が集められているのは間違いない。
その魔導技術のすべてが、破壊するためだけに使われ、そして、この巨大な魔導技術の結晶は多くの命を奪ってしまった。
新型兵器に触れ、ゲオはつぶやいた。
「これは金属製か」
ゲオはまず、ヌメヌメドロドロした精霊『溶解粘液霊スローングー』を呼んだ。
スローングーの体液は強力な酸で大抵の金属を溶かしてしまう。
ゲオが呼び出したスローングーは巨大で、大きな筒全体をその半分液体みたいな体で包んだ。
じきに新型兵器に刻まれていた魔法の紋様は溶けて消え、魔道具は外れて落ちていった。
ゲオはつぎに『豪炎獣パラボードン』と、巨大なハンマーを持つ牛のような顔の精霊『猛力牛人タウオスク』を呼びだした。
パラボードンが炎で加熱した大砲を、タウオスクが巨大ハンマーで何度も叩き、潰していく。
イーアはその巨大な鍛冶屋のような光景が始まった時に決めた。
『新型兵器の破壊に、わたしの出番はないね』
ティトはひまそうに顔をかいて前足をなめながら言った。
『あのじいさん出てきてから、やることがないぞ。あれ壊すのは大変そうだったから助かったけどな』
『うん。わたしたちは支配者の石板を探そう』
あの兵器の内部に『支配者の石板』はなさそうだった。
でも、<白光>がボンペール商会の力をかりて完成させたはずの『支配者の石板』はすぐ近くにあるはずだ。あの兵器は『支配者の石板』でこの世界から奪い取った霊力を使っていたはずだから。
『ロロロ、探し物を手伝って』
イーアはカンラビの密林からロロロを呼んだ。
ロロロは鼻がいいだけじゃなく、実は、ごくわずかだけど占術士に近い能力を持っているから、探しものは得意だ。
『いよぉ! ここはどこだ? 変な場所だな』
ロロロはきょろきょろしながらそう言った。
『ロロロ、支配者の石板を探して。前に、石板の欠片の偽物は見たことあったよね? あれは偽物だったけど、ああいう欠片が集まってできた石板が、この近くにあるはず』
『なんかむずかしそうだけど、おれっち、がんばるぞ』
あちこち探して、しばらくして。近くの隠し部屋に『ここ、あやしいぞ』と、ロロロが言う装置があった。
イーアが見ても、その装置は怪しかった。石板を置けそうな入れ物があって、そこから巨大兵器の置いてある円柱形の部屋へと管みたいなものがつながっていた。
本物の石板の欠片をよく知っているティトが装置の中をかいで、『あの石板の臭いがする』と言ったから、たぶん、まちがいない。
ここに『支配者の石板』が置かれていたはずだ。
だけど、すでに石板はそこになかった。
敵は新型兵器の発射直後、イーア達がここへ到着する前に負けを悟って『支配者の石板』を持ち去ったらしかった。
イーアはケピョンを呼び出し、ヤララの部屋にいるケピョンとつなげてもらった。
『ヤララ、塔はどうなってるの? 新型兵器の攻撃で消されたみたいに見えたけど』
『塔に被害はないよ。攻撃を受ける前に転移したから』
地味な小鳥から聞こえるヤララの返事に、イーアは拍子抜けした。
『へ? ウェルグァンダルの塔って、移動できるの?』
どうやら、映像で塔がなくなったように見えたのは、塔が一瞬で移動したからだったらしい。
『私も知らなかったよ。塔は今まで一度も移動したことなかったから。ガリがどこかからあの兵器で攻撃されるって情報を得てきて。準備で大変だったけど、なんとか間に合ってよかったよ』
『じゃ、みんな無事なんだね。よかったぁ。でも、ガリは攻撃されるのを知っていたの?』
そうイーアがたずねたところで、ゲオが言った。
「深く尋ねない方が良いだろう。先方に迷惑がかかる。それよりも、君はやるべきことがあって、ここに来たのではないかね?」
『うん、あの兵器を破壊しなくちゃ。でも、そしたら、召喚士のみんなとその家族が帝国に殺されちゃうって、ゲオ先生、さっきは反対して……』
ゲオはきっぱりと言った。
「塔が攻撃されたからには、我々に選択の余地などない。全力で敵を叩きのめすのみだ』
「え?」
ゲオは非戦論者なのかと思っていたけれど、今はむしろ好戦的に聞こえる。
「実はさっき君を逃がしてしまった時点で、全召喚士と関係者に帝国から避難するよう指示を出したのだ。塔主が動いた例の件が起きた時点で、すでに退避していた者もいる。なんとか間に合うだろう。いずれにせよ、塔が攻撃されて黙っている召喚士などいない。ここからはウェルグァンダルの全召喚士と帝国、あるいは<白光>との、全面戦争だ。容赦は不要。情けをかけて手を抜けば被害が大きくなる。さて、行こうか」
ゲオはむしろすっきりとした表情をしていた。
イーアとゲオは新型兵器を破壊するために要塞内を進んでいった。
途中には敵と防衛装置が待ち受けていた。
だけど、ゲオはそれを多種多様な召喚獣を使い、いとも簡単に破壊・回避していった。<白光>の魔導士でさえ、ゲオは速やかに容赦なく倒してしまった。
『あのじぃさん、なんなんだ? おれたちの出番がまったくないぞ』
ティトは感心したというよりむしろあきれたように言った。
イーアは以前ヤララから聞いた話を思い出した。
ゲオは若い頃からずっと、毎年もっとも多くの任務をこなしている召喚士なのだという。
それも、ゲオが受けるのはほとんどが最高難易度の任務で、中には敵が偉い人間だったりする色々な意味で危ない、複雑な任務もあるらしい。
最近のゲオは講演みたいな依頼をすることもあるけれど、今でもウェルグァンダルに来る一番厄介な依頼はゲオに回されるという。
『単純な破壊力ならガリの方が上だけど、罠をかいくぐって潜入したり、バレるとまずい任務をうまくやり遂げる能力は断然ゲオが上。それに、昔はガリに任務を頼むと、色々破壊しすぎたり人間側を攻撃しちゃったりして、結局ゲオがその後始末をするってことがよくあったんだって。塔主は任務を行わないから、今はいいけどね』
そうヤララは語っていた。
以前はガリに頼まれてイーアに補習なんかしてくれたけど、ゲオは現役バリバリのトップ召喚士なのだ。
とても安心感があるので、イーアはゲオの後をついて走りながら、のんびりティトにむかってつぶやいた。
『ゲオ先生が呼ぶ召喚獣は色んな子がいるから、勉強になるね。図鑑でしか見たことのない珍しい精霊ばっかだよ』
やがて新型兵器のある場所へとたどりついた。
天井がどこまでも高い円柱形の大きな部屋で、壁や床には魔法陣が彫りこまれている。そして、真ん中に巨大な大砲のようなものが置かれていた。
「どうやらこの空間全体が魔導昇降機になっているようだな」とゲオが言った。
攻撃するときには、エレベーターのようにこの床全体が上昇していくらしい。今は地下まで降りてきているけれど。
イーアは目の前にある巨大な筒のような物体を見た。巨大な兵器はまだ熱を持っていた。
組み込まれたパーツの持つ役割はイーアにはわからないけれど、魔導技術の粋が集められているのは間違いない。
その魔導技術のすべてが、破壊するためだけに使われ、そして、この巨大な魔導技術の結晶は多くの命を奪ってしまった。
新型兵器に触れ、ゲオはつぶやいた。
「これは金属製か」
ゲオはまず、ヌメヌメドロドロした精霊『溶解粘液霊スローングー』を呼んだ。
スローングーの体液は強力な酸で大抵の金属を溶かしてしまう。
ゲオが呼び出したスローングーは巨大で、大きな筒全体をその半分液体みたいな体で包んだ。
じきに新型兵器に刻まれていた魔法の紋様は溶けて消え、魔道具は外れて落ちていった。
ゲオはつぎに『豪炎獣パラボードン』と、巨大なハンマーを持つ牛のような顔の精霊『猛力牛人タウオスク』を呼びだした。
パラボードンが炎で加熱した大砲を、タウオスクが巨大ハンマーで何度も叩き、潰していく。
イーアはその巨大な鍛冶屋のような光景が始まった時に決めた。
『新型兵器の破壊に、わたしの出番はないね』
ティトはひまそうに顔をかいて前足をなめながら言った。
『あのじいさん出てきてから、やることがないぞ。あれ壊すのは大変そうだったから助かったけどな』
『うん。わたしたちは支配者の石板を探そう』
あの兵器の内部に『支配者の石板』はなさそうだった。
でも、<白光>がボンペール商会の力をかりて完成させたはずの『支配者の石板』はすぐ近くにあるはずだ。あの兵器は『支配者の石板』でこの世界から奪い取った霊力を使っていたはずだから。
『ロロロ、探し物を手伝って』
イーアはカンラビの密林からロロロを呼んだ。
ロロロは鼻がいいだけじゃなく、実は、ごくわずかだけど占術士に近い能力を持っているから、探しものは得意だ。
『いよぉ! ここはどこだ? 変な場所だな』
ロロロはきょろきょろしながらそう言った。
『ロロロ、支配者の石板を探して。前に、石板の欠片の偽物は見たことあったよね? あれは偽物だったけど、ああいう欠片が集まってできた石板が、この近くにあるはず』
『なんかむずかしそうだけど、おれっち、がんばるぞ』
あちこち探して、しばらくして。近くの隠し部屋に『ここ、あやしいぞ』と、ロロロが言う装置があった。
イーアが見ても、その装置は怪しかった。石板を置けそうな入れ物があって、そこから巨大兵器の置いてある円柱形の部屋へと管みたいなものがつながっていた。
本物の石板の欠片をよく知っているティトが装置の中をかいで、『あの石板の臭いがする』と言ったから、たぶん、まちがいない。
ここに『支配者の石板』が置かれていたはずだ。
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