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第4部 帝国の終焉 ~滅亡をもたらすダークエルフ~
第190話 ウラジナル1
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その白亜の建造物は、かつては<光の休息所>と呼ばれる、静かで心落ち着く場所だった。
だが、その建物の内部は<白光の魔導士団>団長ウラジナルによって、数十年前から改造され続けていた。
元々は離宮に現国王が頻繁に滞在することにあわせて、ウラジナルが自らの滞在場所兼執務室とするための改築だった。
だが、ウラジナルは古代魔術を用いた実験と開発に熱心であったため、いつしかその建物は魔導兵器の実験と開発を行う場所になっていった。
<光の休息所>の中心にあるウラジナルの執務室は、様々な古代魔術の装置で埋め尽くされている。
ウラジナルは、魔法陣と呪文で埋め尽くされた不気味な椅子に座り、室内に映し出される映像をいらついた様子で見ていた。
ウラジナルが座るその椅子は<不死者の王>操作用の椅子だったが、不死者の王に使わせた魔法無効攻撃の副作用で当分の間、ウラジナルには何もできなかった。
魔法無効の術は何度も使えるものではない上に、しばらくこちらから不死者の王の操作ができなくなる、諸刃の剣だった。
だが、ダークエルフの召喚士のあのしぶとさを考えれば、絶対に必要な術だとウラジナルは考えていた。
ダークエルフを始末するには、その背後にいる<黒竜の子>の力も封じなければいけない。
長年情報収集を続けたにも関わらず、ウラジナルにはウェルグァンダルの召喚術の仕組みがいまだにわからない。
だが、部下からの報告から推測する限りでは、ウェルグァンダル塔主である<黒竜の子>ガリは、いつでもウェルグァンダルの召喚士のもとに転移できる。
しかも、召喚士に異変が起これば、ガリはそれを察知できるらしい。
おそらく、ウェルグァンダルが門外不出の技術としている<契約の書>がそのような機能を持っているのだろう。
不死者の王はどんな優れた召喚士であっても倒すことはできない、はずだ。
だが、あのダークエルフと、<白光の魔導士団>幹部にすら恐れるものの多い<黒竜の子>ふたりを、召喚術を無効にしない状態で相手にするのは、<白光>の魔導士をもってしても難しい。
ウラジナルの計画はうまく進んでいたはずだった。
ダークエルフの召喚士を包囲したところで不死者の王による魔法無効の術を展開し、召喚を無効化したところで、魔法に頼る必要のない戦士達、<白光の騎士>がダークエルフを始末する。
すべて、その計画通りに進んだはずだった。
<白光の騎士>は皆、一流の戦士だ。仮にダークエルフが召喚術で対抗してきても、精霊の攻撃に耐えうる装備と技術をもった戦士をそろえていた。
そして、完全な好機に魔法無効の術を使い、ダークエルフの力を完全に無効化したはずだった。
なのに、ウラジナルが注視する映像の中では、<白光の騎士>達の前からダークエルフがまんまと逃げきろうとしていた。
栄えある<白光の騎士>たちは、メイド姿の女戦士と変な子ども二人、しかもそのうちの一人は変な仮面をかぶっている、という珍妙な3人相手にてこずっている。そして、そのまま、ダークエルフに逃げられてしまった。
「なぜ、うまくいかない! いつも、いつも。なぜ、あんな少女ひとりに」
ウラジナルはいらつきながら、事前に設定した通りヨルヴァ城へ向かう不死者の王の進路を見ていた。
不死者の王があの城に着くころには、再び操作が可能になっているだろう。その頃には、魔法無効の術の効力もおおかた消え失せているが。
アラムがいるあの城を襲えば、ダークエルフは再び不死者の王の前に、ウラジナルの前に、現れるだろう。
次は、逃さない。次こそ、確実にダークエルフの息の根をとめる。
心の中で決意を新たにしながら、ウラジナルは長いため息をついた。
ウラジナルには、理解できなかった。なぜ、あの一見ただのバララセ人にしか見えない少女によって栄華を極めた大帝国が終焉のせとぎわにまで追いつめられているのか。
だが、今はもう確信していた。
あの少女がいるかぎり、帝国は確実に急速に滅亡へと向かう。
ウラジナルは、国王そして帝国を守るためであれば、誰であろうとどれだけ多くの人間であろうと殺す冷酷な男だったが、私利私欲のために動いたことはなかった。
帝国のほとんどの政治家と有力者が私欲で動く中、ウラジナルだけは常に国王と帝国のことを考えて動いてきた。
だからこそ、帝国を脅かすものは許せなかった。
帝国の命運はウラジナルの命そのものだった。
ウラジナルは決意と憎悪をこめた声でつぶやいた。
「ラムノスの予言を成就などさせてたまるか」
だが、その建物の内部は<白光の魔導士団>団長ウラジナルによって、数十年前から改造され続けていた。
元々は離宮に現国王が頻繁に滞在することにあわせて、ウラジナルが自らの滞在場所兼執務室とするための改築だった。
だが、ウラジナルは古代魔術を用いた実験と開発に熱心であったため、いつしかその建物は魔導兵器の実験と開発を行う場所になっていった。
<光の休息所>の中心にあるウラジナルの執務室は、様々な古代魔術の装置で埋め尽くされている。
ウラジナルは、魔法陣と呪文で埋め尽くされた不気味な椅子に座り、室内に映し出される映像をいらついた様子で見ていた。
ウラジナルが座るその椅子は<不死者の王>操作用の椅子だったが、不死者の王に使わせた魔法無効攻撃の副作用で当分の間、ウラジナルには何もできなかった。
魔法無効の術は何度も使えるものではない上に、しばらくこちらから不死者の王の操作ができなくなる、諸刃の剣だった。
だが、ダークエルフの召喚士のあのしぶとさを考えれば、絶対に必要な術だとウラジナルは考えていた。
ダークエルフを始末するには、その背後にいる<黒竜の子>の力も封じなければいけない。
長年情報収集を続けたにも関わらず、ウラジナルにはウェルグァンダルの召喚術の仕組みがいまだにわからない。
だが、部下からの報告から推測する限りでは、ウェルグァンダル塔主である<黒竜の子>ガリは、いつでもウェルグァンダルの召喚士のもとに転移できる。
しかも、召喚士に異変が起これば、ガリはそれを察知できるらしい。
おそらく、ウェルグァンダルが門外不出の技術としている<契約の書>がそのような機能を持っているのだろう。
不死者の王はどんな優れた召喚士であっても倒すことはできない、はずだ。
だが、あのダークエルフと、<白光の魔導士団>幹部にすら恐れるものの多い<黒竜の子>ふたりを、召喚術を無効にしない状態で相手にするのは、<白光>の魔導士をもってしても難しい。
ウラジナルの計画はうまく進んでいたはずだった。
ダークエルフの召喚士を包囲したところで不死者の王による魔法無効の術を展開し、召喚を無効化したところで、魔法に頼る必要のない戦士達、<白光の騎士>がダークエルフを始末する。
すべて、その計画通りに進んだはずだった。
<白光の騎士>は皆、一流の戦士だ。仮にダークエルフが召喚術で対抗してきても、精霊の攻撃に耐えうる装備と技術をもった戦士をそろえていた。
そして、完全な好機に魔法無効の術を使い、ダークエルフの力を完全に無効化したはずだった。
なのに、ウラジナルが注視する映像の中では、<白光の騎士>達の前からダークエルフがまんまと逃げきろうとしていた。
栄えある<白光の騎士>たちは、メイド姿の女戦士と変な子ども二人、しかもそのうちの一人は変な仮面をかぶっている、という珍妙な3人相手にてこずっている。そして、そのまま、ダークエルフに逃げられてしまった。
「なぜ、うまくいかない! いつも、いつも。なぜ、あんな少女ひとりに」
ウラジナルはいらつきながら、事前に設定した通りヨルヴァ城へ向かう不死者の王の進路を見ていた。
不死者の王があの城に着くころには、再び操作が可能になっているだろう。その頃には、魔法無効の術の効力もおおかた消え失せているが。
アラムがいるあの城を襲えば、ダークエルフは再び不死者の王の前に、ウラジナルの前に、現れるだろう。
次は、逃さない。次こそ、確実にダークエルフの息の根をとめる。
心の中で決意を新たにしながら、ウラジナルは長いため息をついた。
ウラジナルには、理解できなかった。なぜ、あの一見ただのバララセ人にしか見えない少女によって栄華を極めた大帝国が終焉のせとぎわにまで追いつめられているのか。
だが、今はもう確信していた。
あの少女がいるかぎり、帝国は確実に急速に滅亡へと向かう。
ウラジナルは、国王そして帝国を守るためであれば、誰であろうとどれだけ多くの人間であろうと殺す冷酷な男だったが、私利私欲のために動いたことはなかった。
帝国のほとんどの政治家と有力者が私欲で動く中、ウラジナルだけは常に国王と帝国のことを考えて動いてきた。
だからこそ、帝国を脅かすものは許せなかった。
帝国の命運はウラジナルの命そのものだった。
ウラジナルは決意と憎悪をこめた声でつぶやいた。
「ラムノスの予言を成就などさせてたまるか」
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