彼女は義妹の友達のお母さん

矢暗六九徒

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第一章:突然の気持ち

第5話 倒れちゃった - その2 -

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「あらっ……ご、ごめんなさい……っ!」

早紀の顔が、一瞬でリンゴのように真っ赤に染まった。
彼女は慌てて手にしたハンドタオルを倖輔のズボンに押し当て、必死に水分を吸い取ろうとする。
けれど、その指先が、焦りのあまり「もっとも無防備な場所」を執拗に刺激してしまい、倖輔の体は鋼のように強張った。

(や、ヤバい……これ、精神修行か何かか……っ!?)

必死に理性を保とうとしたその時、倖輔は見てしまった。
テーブルから滴る麦茶が、早紀の水色のスカートをも無慈悲に濡らしているのを。

「あ、だいじょうぶですっ! それより高尾家さん、スカートが……!」

反射的に体が動いた。

濡れたテーブルから彼女を遠ざけようと、倖輔はその細い腰をガシッと掴む。
手のひらに伝わる、驚くほど柔らかく、温かな「女性」の感触。濡れて肌に張り付いたスカート越しに、彼女の肉感的なラインが掌に直接訴えかけてくる。

だが、運命の悪戯は止まらない。 股間をタオルで押さえられたまま、二人分の重心が後ろへと崩れた。

「うわっ……あ、ぐぅっ!?」

尻もちをついた衝撃と同時に、早紀の手が彼の中心をグイッと圧迫する。
不意打ちの激痛に、倖輔の体は「くの字」に折れ曲がり、反射的に目の前の早紀をギュッと抱きしめてしまった。

「…………っ!」

静寂がリビングを支配する。

腕の中に収まった早紀の柔らかな体温。
上下する胸元の鼓動が、倖輔の胸板にダイレクトに伝わってくる。

痛みと、それとは真逆の強烈な快楽が脳内で混ざり合い、理性がどろどろに溶けていく。

「ごめんなさい……痛かったわよね?」

耳元で、甘く、湿り気を帯びた吐息が囁かれた。

背筋に電流が走る。

首筋を撫でるその温もりは、どんな強力な魔法よりも確実に、中学生の心を蝕んでいった。

「あぁ……はい。だ、だいじょうぶ……です」

ようやく痛みが引き、倖輔が腕の力を緩めると、早紀は少し放心したような顔で体を離した。

「びしょ濡れになっちゃったわね。着替え、用意しなくちゃ……」

そう呟いて立ち上がろうとした彼女だったが、膝に力が入らないのか、そのまま床にへたり込んでしまった。
ふと見れば、密着した際に移った水分で、彼女の白いTシャツがうっすらと透け、下着のラインを露わにしている。

(……っ! 見ちゃダメだ、見ちゃダメだ……!)

「だ、だいじょうぶですか?」

慌てて視線を逸らしつつ、立ち上がった倖輔が手を差し伸べる。

「あっらぁ……ごめんなさい。ちょっと、腰が抜けちゃったみたい」

早紀は弱々しく微笑む。
倖輔が彼女の肩に手を添え、優しくさすると、彼女はふぅと大きく深呼吸をした。
そして――彼女の細く白い手が、自分の肩をさすっている倖輔の手の上に、そっと重ねられた。

重ねられた手の平から、熱すぎるほどの体温が伝わってくる。

焦点の定まらない早紀の瞳が、じっと倖輔を射抜いた。

異世界ファンタジーよりもずっと予測不能な「現実の試練」は、まだ始まったばかりだった。
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