剣と魔法のゲーム世界に閉じ込められた私は、オリジナル格闘ジョブ【11拳(イレブンフィスト)】でクリア目指して勝ち上がる

五月雨前線

文字の大きさ
10 / 28
第1章 アラーテ立志編

第10話:ふざけんな

しおりを挟む
「しいいいあああっ!!!」

 3体の内の1体、アイアンカマキリが鋭い鎌で攻撃を仕掛けてきた。

 私はぎりぎりまで引きつけて攻撃をかわし、反撃を試みようとしたところでもう1体のアイアンカマキリが突っ込んできた。

「やばっ……!」

 突進攻撃を回避することに気を取られて、3体目のアイアンカマキリの奇襲に直前まで気付かなかった。

「しいいっ!!!」

「ぐっ……!」

 鋭いカマが私の体を掠める。なんとか直撃こそ避けたものの、完全に回避は出来なかった。私のHPゲージが1割近く減少する。

 くそっ、こいつら、統率が取れてる……!
 私は舌打ちをし、ファイティングポーズをとった。

 MSOの世界では、目の前の3体のアイアンカマキリのように、協力してプレイヤーを攻撃してくるモンスターがいる。
 単体ではあまり強くなくても、複数体が集まると途端に強くなるモンスターは意外と多い。今対峙しているアイアンカマキリもそれに該当する。

「しいいあああっ!!」
「しゃああああっ!!」

 同時に放たれた鎌による攻撃を寸前でかわし、さらに3体目が振り回した鎌もなんとかかわし、3体目に狙いを定め、クロスカウンターの要領で私は正拳突きを叩き込んだ。

 ごん、という鈍い音が響く。

 感触で分かる。全然ダメージが入ってない。
 当然だ。アイアンカマキリは物理攻撃に強い。だから魔法攻撃でさくっと倒すのが定跡となっている。

 あーちくしょう! データリセット前の私だったら、魔法攻撃で瞬殺出来るのにぃぃぃ!

「しいいいいいっ!!!」
「しゃあああああっ!!!」
「しいいああああああっ!!!」

 3体のアイアンカマキリが同時に攻撃を放ってきた。プレイヤーの回避の隙を奪う、洗練された連携攻撃。
 私は回避に全神経を集中させ、なんとか致命傷こそ避けたものの再びダメージを負ってしまった。

 まずい、ポーションを飲んで回復を……

「しいいいああああっ!!!」

 回復させてよっ!!!

 アイアンカマキリは間髪入れずに攻撃を仕掛けてくるため、ポーションを飲む暇がない。
 無理矢理ショートカットを操作してポーションを飲もうとしたが最期、隙を作ってしまい致命傷を喰らうことは想像に難くない。

 ……や、やばいやばいやばい! 
 これ、想像以上にやばい!

 くそっ! 物思いに耽っていたせいでアイアンカマキリの接近に直前まで気付けなかった! 馬鹿! 私の馬鹿馬鹿馬鹿!

「しいいあああああっ!!!」

 アイアンカマキリは私の焦りを嘲笑うかのように、波状攻撃を仕掛けてくる。

「せりゃああああっ!!!」

 攻撃の合間、一瞬の隙を突いて一体に回し蹴りをヒットさせたものの、ダメージを与えてる感触が全くない。

「しいああああああ!!!」

 私の不利を肌で感じたのか、3体のアイアンカマキリはよりいっそう激しい攻撃を加えてきた。
 致命傷こそ避けられているものの、攻撃を捌く中で小さなダメージの蓄積は避けることが出来ず、じりじりと私のHPが減少していく。

 1体が相手ならともかく、3体同時に相手をするのはかなりしんどい。
 というか、普通に死ねるやつだ、これ。

「……ふざけんなっ!!!!!」

 迫る攻撃を回避し切った私は、叫んだ。
 びりびり、と空気が震える。私の唐突な叫びに気圧されたのか、3体のアイアンカマキリが僅かに後ずさった。

「こんなところで死んでたまるかっ!! MSOの中で死ぬなんて絶対嫌だっ!! まだリストにこの想いを伝えてない!! お父さんとお母さんに親孝行だって出来てない!!」

 叫びながら、脳内でどばどばとドーパミンが分泌されていくのを感じる。体温が上昇し、心臓が脈打ち、全身が闘争心で満ち溢れていく。

「相性なんて知らない!! 私は絶対負けない! お前たち全員まとめてぶっ倒してやる!!」

 3体のアイアンカマキリを睨みつけながら、私はファイティングポーズをとった。

 まとめて倒す、と言いつつ狙いは逃走だ。
 スキル攻撃、渾身のファイアフィストを放って隙を作り、その一瞬の隙を突いて逃げる。
 アイアンカマキリは足が速い部類のモンスターだけど、関係ない。
 逃げて、逃げまくって、リストとコヤと合流するんだ。

 やるしかない!
 臆するな! 逃げるな! 恐れるな! 
 お父さんの教えを思い出せ!

 戦え!!!

「うらああああああああ!!!!」

 私は叫びながら、3体の内の1体に狙いを定め、全速力で距離を詰めると同時に拳を振りかぶった。

「しいああああああああ!!!」

 狙われていると察知したのか、アイアンカマキリは鎌を構えて迎撃の構えをとる。
 迎撃、望むところだ!
 私の拳でぶっ潰してやる!

『ファイアフィス……』

『アイスランス』

 聞き覚えのない声が聞こえたと思った、刹那。

 3体のアイアンカマキリの体に、巨大な氷の槍が突き刺さっていた。
 これは……氷属性の魔法攻撃!?

「「「しいいああ…………」」」

 めっぽう弱い魔法攻撃をまともに喰らい、3体のアイアンカマキリはあっけなくその場に崩れ落ちた。
 え、な、何これ?
 私は攻撃の手を止めてフリーズした。全く状況が飲み込めず、バグを疑ったその時。

「ほっほっほっ、危ないところじゃったなぁ」

 再び声。先程の、アイスランス、と言った声と同じだ。
 声の方向に視線を向ける。そこには、黄緑色のローブに身を包み、白い杖を構えた背の低い老人が佇んでいた。

 ……え!? お、おじいちゃん!?
 MSOでおじいちゃんの見た目のプレイヤーって、超珍しいんですけど!?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

処理中です...