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第1章 アラーテ立志編
第12話:どあほっ!!!
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「改めて、これからよろしく頼むぞ、アラーテ」
「はい! こちらこそよろしくお願いします! ジージさん!」
私はジージさんの手を握りながら、満面の笑みで返した。
よっしゃあああああああ!!!!!
賢者きたあああああああ!!!!!
やった! やった! 私たちのパーティーに足りてなかった遠距離アタッカーとヒーラー、ジージさんの加入でどっちも埋まっちゃった!
ばんざーい!!!
嬉しくて嬉しくて、私はその場で小躍りを始めたい気分だった。
「早速1つお願いなんじゃが、敬語ではなくタメ口で話してもらえんかのう? あと、ジージさんではなくジージと呼んで欲しいわい」
「え……いいんですか?」
現実世界の実年齢はきっと私よりも遥かに上、さらにMSO内の見た目もおじいちゃん。
だから自然と敬語を使い、さん付けをしてたんだけど……。
「勿論じゃ。これからは同じパーティーのメンバーとして苦楽を共にする仲。いつまでも敬語とさん付けでは距離が縮まらず、戦闘の際に支障が出る恐れもある。こういう些細なことが、もしもの時に意外と大事だったりするんじゃよ」
「なるほど……」
さすがだ、と私は思った。なんか、言葉の重みがすごい。
「分かりま、じゃなくて、分かったよ、ジージ」
「うむ」
ジージさん、じゃなかった、ジージは満足そうに頷いた。
「さて、アラーテよ、これからどうする?」
「えっと、じゃあまずはリストとコヤと合流しよっか」
「りすと……こや……なるほど、それが残りの2人というわけなんじゃな? 2人のジョブを教えてもらえんかのう?」
「いいよ! リストは重戦士で、コヤは聖騎士……って、あああああああ!! 2人に連絡するのすっかり忘れてた!!」
自分の位置情報を2人に共有しようと思った矢先に3体のアイアンカマキリに囲まれ、その後ジージと出会ったため、位置情報の共有をすっかり忘れていた。
しまった……きっと2人ともすごく心配してるよね……。
恐る恐るウィンドウを開くと、案の定2人からの大量のメッセージの受信の知らせが目に入った。
MSOの世界では、パーティーメンバー、さらに自分が許可したプレイヤーとメッセージでやり取り出来るようになっている。
詳しく見てみると、コヤからのメッセージが異常に多かった。どうやらとても心配してくれているようだ。
当然だろう。今のMSOは、HPがゼロになった瞬間本当に死んでしまうデスゲームと化している。
パーティーメンバーを見失い、連絡までつかないとなったら、最悪の事態を想定してしまってもおかしくない。
私は誠心誠意謝罪のメッセージを送り、さらに位置情報を2人に共有した。
そこまで距離は離れていない。すぐに2人はここに来てくれるだろう。
「ジージ、位置情報を共有したからリストとコヤがここに来てくれるよ。場所はあまり離れてない。私たちも向かおう」
当然ジージはついてきてくれると思ったのだが、予想に反してジージは首を振った。
「いや、わしらはここに残った方がいい」
「え? 何で?」
「2つ理由がある。1つ。ここは見晴らしがいい。故にモンスターの奇襲に対応しやすい。ここを動くと奇襲に対応出来る確率が下がる。2つ。場所はあまり離れてないのなら、わしらがここに残っても移動しても会うまでの時間はそこまで変わらないはず。危険性を考慮しても、ここに残った方がいいとわしは思うのじゃ」
……い、言われてみればたしかにその通りだ!!!
え!? ジージ、なんかめっちゃすごい人感出てるんですけど!?
「わ、分かった。じゃあここで待つよ」
「うむ」
ここで待つことになったので、私はジージと並んでその場に腰を下ろした。私はあぐらを組んだのに対し、ジージは背筋をぴんと伸ばして正座をしている。
あ、そうだ、ジージにこの質問してみよ。
「ねえジージ、もしかして、めちゃくちゃ頭良くてすごい系の人? あ、現実世界の話になっちゃうから嫌だったら答えなくていいけど」
「頭がいいというより、こういうことに慣れている、と言った方が適切じゃな。一時期自衛隊に所属していたんじゃよ」
「すご……」
腑に落ちる、とはまさにこのことだ。色々な意味で頼りになる人がパーティーに加入してくれたのかもしれない。
「1つ質問していいかの?」
「うん」
「本当のジョブを教えてもらえんかの? アラーテが治療者じゃないことは明白なんじゃが、代わりに何のジョブなのか皆目検討がつかん。武器を持ってるわけでもないしのう」
どうやらジージは11拳のことは知らないらしい。
まあそうだよね。私も11拳を授かる前は、11拳どころかオリジナルジョブが存在するのかすらよく分かってなかったし。
パーティーメンバーに11拳の存在を隠す必要はない。私はジージにこれまでの経緯を話した。
「オリジナルジョブの11拳……ふむ、実に興味深いのう。Zを見ている限り、アラーテのようにオリジナルジョブを授かった、というプレイヤーは誰もいなかったように見えたんじゃが」
「そうなんだよね……何で私が11拳を授かったのかよく分からなくて。MSOは剣と魔法の世界なのに、拳で戦うジョブとか、ほんと何なのって感じ」
「じゃが、どこぞの半端なプレイヤーではなくアラーテが11拳を授かったのは良いことだとわしは思う。先程の格闘戦を見るに、アラーテは武道を心得ているように見えた。それもかなり高いレベルで」
「まあ一応空手と合気道は黒帯だけど……」
「なるほどのう。まあ、これから戦いを重ねていけば、新たに見えてくるものもあるじゃろうて」
「うーん……」
空手と合気道で黒帯を持つ私が、オリジナル格闘ジョブの11拳を授かったのは単なる偶然なのだろうか?
それとも、11拳を授かった理由がいつか分かる日は来るのだろうか?
「残り2人のパーティーメンバーは、リストとコヤだと言っておったな。どちらも女性かの?」
「ううん、リストは男でコヤは女だよ」
「コヤはどんな女性なんじゃ?」
「え? そうだなぁ、背が低くてめちゃくちゃかわいい女子って感じ。あ、あとコテコテの大阪弁を喋るよ」
「ほう。つまり変則派のロリ系ということじゃな?」
「変則? まあ、そう言えなくもないかな」
「……むふふ、正統派の綺麗系と変則派のロリ系……パーティーに女性が2人……実によい……滾るのう……」
「は?」
「ごほんごほん、何でもないわい」
ジージは視線を逸らし、わざとらしく咳払いをした。
……あれ、もしかして中身は変態ジジイだったりする?
「アラーテっっ!!!」
その時、コヤの叫び声が聞こえた。
視線を向ける。コヤとリストがこちらへ全速力で駆けてくるのが見えた。
「コヤ! リスト! 連絡忘れてて本当にごめんっ!」
「どあほっ!!!」
「ぐえええっ!?」
コヤは私に近づいても一切スピードを緩めず、むしろ加速してその勢いのまま思い切り私に抱きついた。
「こ、コヤ……?」
「あほ! どあほ! 何で連絡しなかったんや! アラーテが死んでもうたのかって、めちゃくちゃ心配してんから!」
コヤは叫び、私の体をきつく抱きしめたままわんわんと泣き出してしまった。
「コヤ……」
「アラーテ、パーティーメンバーからのメッセージにはちゃんと返信するようにして欲しい。心臓に悪すぎるよ」
リストは真剣な表情で言った。
「うん。本当にごめん。これからは気をつける」
「よろしくね。コヤ、アラーテはちゃんと謝ったんだから、そろそろ離れなよ」
「嫌や! もう少しこうする! ウチを心配させた罰や!」
コヤは私から離れようとせず、むしろ私を抱きしめる力を強めた。
ううう、ちょっとだけ痛い……でも悪いのは私だから、やめてって言いづらいなぁ……。
「ところでアラーテ、この方は?」
リストは近くに佇むジージへ視線を向けた。
「この人はジージだよ。ついさっき出会って、私を助けてくれたの。ジョブは賢者。天性特性でMP自動回復を授かってる。そして、私たちのパーティーに入りたいって言ってくれてるの」
「え、ほんと!?」
リストは目を丸くした。
まあ、そりゃびっくりするよね。
「はじめまして、わしはジージじゃ」
「あ、はじめまして、リストです」
リストは言葉を返した後、私に視線を向けた。
この人は何だ、信用出来るのか、と視線で訴えている。
「リスト、大丈夫だよ。ジージは信用出来る。私を助けてくれた人なんだから」
「……本当に?」
「本当だよ。私の勘は当たる。私を信じて」
私の視線とリストの視線が交錯する。程なくしてリストは大きく頷いた。
「分かった。アラーテを信じるよ」
「うん。タメ口で話して、あとジージって呼んであげてね」
「よろしく頼むわい」
ジージはにこっと笑みを浮かべて言った。
「分かった。じゃあ、ジージ、これからよろしく。このパーティーでは、基本的に僕がリーダー的な役割を務めようと思ってるんだけど、いいかな?」
「構わん。むしろそっちの方がありがたいのう」
「よし、じゃあそういうことで。まずは手続きをやっちゃおう」
リストはジージとパーティーメンバー登録の手続きを済ませた。
ジージのウィンドウを視認出来るようになり、ジージが天性特性持ちの賢者であることを確認したリストは感嘆の溜め息を漏らした。
「すごいね。デフォルトでMP自動回復持ちは大当たりすぎる」
「ほっほっほっ。日頃の行いが良いからかのう」
「よし、これでパーティーメンバーが揃った。11拳、聖騎士、重戦士、そして賢者。少し物理攻撃に偏ってるとはいえ、パーティーのバランスが良い。これなら戦える」
リストは自信ありげに言った。
うーん、やっぱりリストはいつ見てもイケメン! 好き!
「パーティー名が決まったことだし、これからの動きについて本格的に話し合おう。まず、パーティーの方針としては、『生存を最優先に考えつつ、1日でも早くクリアを目指して全力で攻略に取り組む』で固めようと思ってるんだけどいいかな?」
「うん」
「ええで」
「問題なしじゃ」
リスト以外の3人が言葉を返す。
MSOの世界から抜け出したい、という気持ちは変わってない。ラスボスのインフィニティドラゴンを倒すためには、地道に努力を重ねて強くなっていくしかないのだ。
「なら、僕たちはダンジョン攻略をすることになるね。ダンジョンエリアは今いるアクティブエリアよりも危険が増すから、レベルを上げてから攻略に取り掛かりたい。最低でも全員レベル100には到達して欲しいと僕は思ってる」
「え、レベル100? それはちょっとやりすぎじゃない?」
「はい! こちらこそよろしくお願いします! ジージさん!」
私はジージさんの手を握りながら、満面の笑みで返した。
よっしゃあああああああ!!!!!
賢者きたあああああああ!!!!!
やった! やった! 私たちのパーティーに足りてなかった遠距離アタッカーとヒーラー、ジージさんの加入でどっちも埋まっちゃった!
ばんざーい!!!
嬉しくて嬉しくて、私はその場で小躍りを始めたい気分だった。
「早速1つお願いなんじゃが、敬語ではなくタメ口で話してもらえんかのう? あと、ジージさんではなくジージと呼んで欲しいわい」
「え……いいんですか?」
現実世界の実年齢はきっと私よりも遥かに上、さらにMSO内の見た目もおじいちゃん。
だから自然と敬語を使い、さん付けをしてたんだけど……。
「勿論じゃ。これからは同じパーティーのメンバーとして苦楽を共にする仲。いつまでも敬語とさん付けでは距離が縮まらず、戦闘の際に支障が出る恐れもある。こういう些細なことが、もしもの時に意外と大事だったりするんじゃよ」
「なるほど……」
さすがだ、と私は思った。なんか、言葉の重みがすごい。
「分かりま、じゃなくて、分かったよ、ジージ」
「うむ」
ジージさん、じゃなかった、ジージは満足そうに頷いた。
「さて、アラーテよ、これからどうする?」
「えっと、じゃあまずはリストとコヤと合流しよっか」
「りすと……こや……なるほど、それが残りの2人というわけなんじゃな? 2人のジョブを教えてもらえんかのう?」
「いいよ! リストは重戦士で、コヤは聖騎士……って、あああああああ!! 2人に連絡するのすっかり忘れてた!!」
自分の位置情報を2人に共有しようと思った矢先に3体のアイアンカマキリに囲まれ、その後ジージと出会ったため、位置情報の共有をすっかり忘れていた。
しまった……きっと2人ともすごく心配してるよね……。
恐る恐るウィンドウを開くと、案の定2人からの大量のメッセージの受信の知らせが目に入った。
MSOの世界では、パーティーメンバー、さらに自分が許可したプレイヤーとメッセージでやり取り出来るようになっている。
詳しく見てみると、コヤからのメッセージが異常に多かった。どうやらとても心配してくれているようだ。
当然だろう。今のMSOは、HPがゼロになった瞬間本当に死んでしまうデスゲームと化している。
パーティーメンバーを見失い、連絡までつかないとなったら、最悪の事態を想定してしまってもおかしくない。
私は誠心誠意謝罪のメッセージを送り、さらに位置情報を2人に共有した。
そこまで距離は離れていない。すぐに2人はここに来てくれるだろう。
「ジージ、位置情報を共有したからリストとコヤがここに来てくれるよ。場所はあまり離れてない。私たちも向かおう」
当然ジージはついてきてくれると思ったのだが、予想に反してジージは首を振った。
「いや、わしらはここに残った方がいい」
「え? 何で?」
「2つ理由がある。1つ。ここは見晴らしがいい。故にモンスターの奇襲に対応しやすい。ここを動くと奇襲に対応出来る確率が下がる。2つ。場所はあまり離れてないのなら、わしらがここに残っても移動しても会うまでの時間はそこまで変わらないはず。危険性を考慮しても、ここに残った方がいいとわしは思うのじゃ」
……い、言われてみればたしかにその通りだ!!!
え!? ジージ、なんかめっちゃすごい人感出てるんですけど!?
「わ、分かった。じゃあここで待つよ」
「うむ」
ここで待つことになったので、私はジージと並んでその場に腰を下ろした。私はあぐらを組んだのに対し、ジージは背筋をぴんと伸ばして正座をしている。
あ、そうだ、ジージにこの質問してみよ。
「ねえジージ、もしかして、めちゃくちゃ頭良くてすごい系の人? あ、現実世界の話になっちゃうから嫌だったら答えなくていいけど」
「頭がいいというより、こういうことに慣れている、と言った方が適切じゃな。一時期自衛隊に所属していたんじゃよ」
「すご……」
腑に落ちる、とはまさにこのことだ。色々な意味で頼りになる人がパーティーに加入してくれたのかもしれない。
「1つ質問していいかの?」
「うん」
「本当のジョブを教えてもらえんかの? アラーテが治療者じゃないことは明白なんじゃが、代わりに何のジョブなのか皆目検討がつかん。武器を持ってるわけでもないしのう」
どうやらジージは11拳のことは知らないらしい。
まあそうだよね。私も11拳を授かる前は、11拳どころかオリジナルジョブが存在するのかすらよく分かってなかったし。
パーティーメンバーに11拳の存在を隠す必要はない。私はジージにこれまでの経緯を話した。
「オリジナルジョブの11拳……ふむ、実に興味深いのう。Zを見ている限り、アラーテのようにオリジナルジョブを授かった、というプレイヤーは誰もいなかったように見えたんじゃが」
「そうなんだよね……何で私が11拳を授かったのかよく分からなくて。MSOは剣と魔法の世界なのに、拳で戦うジョブとか、ほんと何なのって感じ」
「じゃが、どこぞの半端なプレイヤーではなくアラーテが11拳を授かったのは良いことだとわしは思う。先程の格闘戦を見るに、アラーテは武道を心得ているように見えた。それもかなり高いレベルで」
「まあ一応空手と合気道は黒帯だけど……」
「なるほどのう。まあ、これから戦いを重ねていけば、新たに見えてくるものもあるじゃろうて」
「うーん……」
空手と合気道で黒帯を持つ私が、オリジナル格闘ジョブの11拳を授かったのは単なる偶然なのだろうか?
それとも、11拳を授かった理由がいつか分かる日は来るのだろうか?
「残り2人のパーティーメンバーは、リストとコヤだと言っておったな。どちらも女性かの?」
「ううん、リストは男でコヤは女だよ」
「コヤはどんな女性なんじゃ?」
「え? そうだなぁ、背が低くてめちゃくちゃかわいい女子って感じ。あ、あとコテコテの大阪弁を喋るよ」
「ほう。つまり変則派のロリ系ということじゃな?」
「変則? まあ、そう言えなくもないかな」
「……むふふ、正統派の綺麗系と変則派のロリ系……パーティーに女性が2人……実によい……滾るのう……」
「は?」
「ごほんごほん、何でもないわい」
ジージは視線を逸らし、わざとらしく咳払いをした。
……あれ、もしかして中身は変態ジジイだったりする?
「アラーテっっ!!!」
その時、コヤの叫び声が聞こえた。
視線を向ける。コヤとリストがこちらへ全速力で駆けてくるのが見えた。
「コヤ! リスト! 連絡忘れてて本当にごめんっ!」
「どあほっ!!!」
「ぐえええっ!?」
コヤは私に近づいても一切スピードを緩めず、むしろ加速してその勢いのまま思い切り私に抱きついた。
「こ、コヤ……?」
「あほ! どあほ! 何で連絡しなかったんや! アラーテが死んでもうたのかって、めちゃくちゃ心配してんから!」
コヤは叫び、私の体をきつく抱きしめたままわんわんと泣き出してしまった。
「コヤ……」
「アラーテ、パーティーメンバーからのメッセージにはちゃんと返信するようにして欲しい。心臓に悪すぎるよ」
リストは真剣な表情で言った。
「うん。本当にごめん。これからは気をつける」
「よろしくね。コヤ、アラーテはちゃんと謝ったんだから、そろそろ離れなよ」
「嫌や! もう少しこうする! ウチを心配させた罰や!」
コヤは私から離れようとせず、むしろ私を抱きしめる力を強めた。
ううう、ちょっとだけ痛い……でも悪いのは私だから、やめてって言いづらいなぁ……。
「ところでアラーテ、この方は?」
リストは近くに佇むジージへ視線を向けた。
「この人はジージだよ。ついさっき出会って、私を助けてくれたの。ジョブは賢者。天性特性でMP自動回復を授かってる。そして、私たちのパーティーに入りたいって言ってくれてるの」
「え、ほんと!?」
リストは目を丸くした。
まあ、そりゃびっくりするよね。
「はじめまして、わしはジージじゃ」
「あ、はじめまして、リストです」
リストは言葉を返した後、私に視線を向けた。
この人は何だ、信用出来るのか、と視線で訴えている。
「リスト、大丈夫だよ。ジージは信用出来る。私を助けてくれた人なんだから」
「……本当に?」
「本当だよ。私の勘は当たる。私を信じて」
私の視線とリストの視線が交錯する。程なくしてリストは大きく頷いた。
「分かった。アラーテを信じるよ」
「うん。タメ口で話して、あとジージって呼んであげてね」
「よろしく頼むわい」
ジージはにこっと笑みを浮かべて言った。
「分かった。じゃあ、ジージ、これからよろしく。このパーティーでは、基本的に僕がリーダー的な役割を務めようと思ってるんだけど、いいかな?」
「構わん。むしろそっちの方がありがたいのう」
「よし、じゃあそういうことで。まずは手続きをやっちゃおう」
リストはジージとパーティーメンバー登録の手続きを済ませた。
ジージのウィンドウを視認出来るようになり、ジージが天性特性持ちの賢者であることを確認したリストは感嘆の溜め息を漏らした。
「すごいね。デフォルトでMP自動回復持ちは大当たりすぎる」
「ほっほっほっ。日頃の行いが良いからかのう」
「よし、これでパーティーメンバーが揃った。11拳、聖騎士、重戦士、そして賢者。少し物理攻撃に偏ってるとはいえ、パーティーのバランスが良い。これなら戦える」
リストは自信ありげに言った。
うーん、やっぱりリストはいつ見てもイケメン! 好き!
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「うん」
「ええで」
「問題なしじゃ」
リスト以外の3人が言葉を返す。
MSOの世界から抜け出したい、という気持ちは変わってない。ラスボスのインフィニティドラゴンを倒すためには、地道に努力を重ねて強くなっていくしかないのだ。
「なら、僕たちはダンジョン攻略をすることになるね。ダンジョンエリアは今いるアクティブエリアよりも危険が増すから、レベルを上げてから攻略に取り掛かりたい。最低でも全員レベル100には到達して欲しいと僕は思ってる」
「え、レベル100? それはちょっとやりすぎじゃない?」
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