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第2章 ヨルムンガルドダンジョン攻略編
第25話:VSアビスタイタン その2
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「アクアフィストって、たしか、合気道的な動きが出来るとか言ってたやつだよな。本当にそれで何とかなるのか?」
フィンに問われ、私は「必ず何とかするから」と返した。
正直、内心は不安だらけだ。機会に恵まれなかったとはいえ、何でアクアフィストを使う練習を今までしてこなかったんだろう、という後悔に苛まれる。
後悔先に立たず、やるしかない、と心の中で自分に言い聞かせ、気合を入れるべく両手で自分の頬を思い切り叩いた。
「クール、動ける? さっきのダメージは残ってない?」
「あ、ああ、もう大丈夫だ」
「なら、さっきも言ったように、フィンとクールにはキラースライムの対処をお願いしたい。私が隙を作るまでは、アビスタイタンへ攻撃することは考えなくていい。とにかく、私がアビスタイタンとタイマンで戦える状況を作り出してほしいと思ってる」
頭に浮かんだ作戦を、逸る気持ちを抑えながら冷静に言葉にする。1秒でも早く戦線に復帰したいところだけど、作戦の共有を疎かにした結果敗北したら目も当てられないからね。
「タイマンで、ってちょっと待ってよ。アラーテちゃんがあの化け物を1人で倒すつもり? それは無理でしょ。8人で戦ってるんだから、協力して倒す作戦を考えようよ」
クールからもっともらしい言葉が返ってきた。しかし私は首を振って返す。
「1人でアビスタイタンを倒す、とは言ってないよ。私が1人で戦って、隙を作って、その後全員で一斉に攻撃する感じ。私が……」
「ぐもおおああああああ!!!!!」
私の言葉を、アビスタイタンの咆哮が遮った。
視線を向ける。アビスタイタン、そして召喚された大量のキラースライムと、4人のプレイヤーが猛烈な死闘を繰り広げていた。
早く私たち4人が戦列に復帰しないといけない。もはや一刻の猶予もない。私は覚悟を決め、息を吸い、叫んだ。
「クールとフィンはキラースライムを処理して! アヤは後衛のジージとキュードのところに行ってこの作戦を共有して、その後フィンと合流して傷ついたプレイヤーを適宜回復して! 私を信じて! お願い!」
このクランのリーダーは私ではないことを自覚しつつ、私は思いついた作戦を共有した。
人は、自分がすべきことや目標が明確になった時、頑張れるということを私は知っている。キラースライムの出現によって混乱している中で、それぞれの役割や行動を明確にすることが先決だと私は判断したのだ。
「……分かった。アラーテちゃんを信じるよ」
「そうだな。ここで悩んでる時間はない」
「指揮をとるアラーテさん、かっこいいです!」
どうやら3人とも私の作戦に従ってくれるようだ。アヤに至っては何やら私に羨望の眼差しを向けている。
「じゃあそういう感じでよろしく! はい、作戦開始!」
私は明るく言い、アビスタイタンめがけて走り出した。
「ぎゅあおあああああああ!!!」
「ぎゅううあああああああ!!!」
私の接近に2体のキラースライムが反応し、叫びながら近づいてくる。そこにクールが割って入り、私の代わりに2体のキラースライムを迎撃してくれた。
「これでいいんだろアラーテちゃん! アビスタイタンを何とかしてくれ!」
「ありがとう!」
クールの言葉を背に、私は戦場を駆ける。
私たちが戦列を離れている間に、アビスタイタンが何度も召喚を繰り返したのか、戦場には尋常じゃない数のキラースライムが蔓延っていた。回避最優先で動いているものの、いかんせんキラースライムの数が多すぎる。
「「「ぎゅああああああ!!!」」」
複数のキラースライムが私めがけて同時に突っ込んできた。まずい、囲まれた、と思った瞬間、全てのキラースライムに眩い雷が直撃した。どうん、という鈍い音とともにキラースライムが撃退され、私が進むべき道が開かれる。
今のは魔法攻撃だ。アヤがジージとキュードに作戦を伝えてくれたのだろう。感謝の気持ちを胸に私はアビスタイタンに迫る。
走りながら周囲に視線を向ける。コヤ、リスト、クール、フィンの4人は、アビスタイタンの攻撃を回避しながらキラースライムを処理していた。
とにかくキラースライムを倒す、という役割を与えられて行動が明確になったからか、皆さっきよりも動きのキレがいい。
そして、アビスタイタンに対しては断続的に魔法攻撃が浴びせられているため、意識が分散しているためかアビスタイタンはまだ私の接近に気付いていない。
ここまでは作戦通りだ。しかし、本番はここから。私がタイマンでアビスタイタンと戦い、隙を作り出せるかどうかに全てが懸かっている。
「ふうう……」
走りながら私は呼吸を整える。
合気道。それは、相手の力を利用し、力を導くことによって相手のバランスを崩し、自分の力を活かして技をかける現代武道。
体格や体力は関係なく、相手を制することが出来る、とされている。つまり、私が合気道でアビスタイタンを制することも理論上は可能なはず。
いや、理論上がどうこうとかじゃなくてやるしかない! リストの、皆の命を守るために! 勝つために!
頑張れ、私! 頑張れ!
「私が相手だ!!! アビスタイタン!!!」
私は全力で叫んだ。びくっ、とアビスタイタンの体が震え、視線が向けられる。ようやく私の接近に気付いたのだろうか。
「ぐもおおおあああああああああ!!!」
咆哮とともに、アビスタイタンが2本の斧を繰り出してくる。恐ろしい攻撃だが、回避に全神経を集中すればぎりぎり避けられる。
「私はこっちだよっ!!!」
なんとか斧の攻撃を避け切り、私はアビスタイタンの背後をとるようにして移動した。さらに、挑発するようにアビスタイタンの足を何度も殴る。
「ぐもおおああああああああああ!!!」
挑発が効いたのか、アビスタイタンはぐるっとこちらを向き、無理な態勢からパンチを放ってきた。
体勢が崩れてる、今ならいける!!!
恐れるな、稽古を思い出せ!!!
戦え!!!
『アクアフィスト!!!!!』
私は絶叫し、左足を前に、右足を後ろにして半身の姿勢をとった。ぴんと背筋を伸ばし、両手を前にして構える。構えた両手が、青い水流に包まれて青く輝く。
アビスタイタンの拳が空気を切り裂く。力の流れを意識しながら私は両手でアビスタイタンの拳に触れ、瞬時に背中側へ入り身した。
そしてアビスタイタンの丸太のように太い手首を掴んだまま、流れるような動作で体を回転させる。
「せりゃああああああ!!!!!」
気合一閃、私は両手に力を込め、アビスタイタンの力を利用してぐっと両手を下げる。
刹那、アビスタイタンの巨体がくるっと回転し、宙を舞った。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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フィンに問われ、私は「必ず何とかするから」と返した。
正直、内心は不安だらけだ。機会に恵まれなかったとはいえ、何でアクアフィストを使う練習を今までしてこなかったんだろう、という後悔に苛まれる。
後悔先に立たず、やるしかない、と心の中で自分に言い聞かせ、気合を入れるべく両手で自分の頬を思い切り叩いた。
「クール、動ける? さっきのダメージは残ってない?」
「あ、ああ、もう大丈夫だ」
「なら、さっきも言ったように、フィンとクールにはキラースライムの対処をお願いしたい。私が隙を作るまでは、アビスタイタンへ攻撃することは考えなくていい。とにかく、私がアビスタイタンとタイマンで戦える状況を作り出してほしいと思ってる」
頭に浮かんだ作戦を、逸る気持ちを抑えながら冷静に言葉にする。1秒でも早く戦線に復帰したいところだけど、作戦の共有を疎かにした結果敗北したら目も当てられないからね。
「タイマンで、ってちょっと待ってよ。アラーテちゃんがあの化け物を1人で倒すつもり? それは無理でしょ。8人で戦ってるんだから、協力して倒す作戦を考えようよ」
クールからもっともらしい言葉が返ってきた。しかし私は首を振って返す。
「1人でアビスタイタンを倒す、とは言ってないよ。私が1人で戦って、隙を作って、その後全員で一斉に攻撃する感じ。私が……」
「ぐもおおああああああ!!!!!」
私の言葉を、アビスタイタンの咆哮が遮った。
視線を向ける。アビスタイタン、そして召喚された大量のキラースライムと、4人のプレイヤーが猛烈な死闘を繰り広げていた。
早く私たち4人が戦列に復帰しないといけない。もはや一刻の猶予もない。私は覚悟を決め、息を吸い、叫んだ。
「クールとフィンはキラースライムを処理して! アヤは後衛のジージとキュードのところに行ってこの作戦を共有して、その後フィンと合流して傷ついたプレイヤーを適宜回復して! 私を信じて! お願い!」
このクランのリーダーは私ではないことを自覚しつつ、私は思いついた作戦を共有した。
人は、自分がすべきことや目標が明確になった時、頑張れるということを私は知っている。キラースライムの出現によって混乱している中で、それぞれの役割や行動を明確にすることが先決だと私は判断したのだ。
「……分かった。アラーテちゃんを信じるよ」
「そうだな。ここで悩んでる時間はない」
「指揮をとるアラーテさん、かっこいいです!」
どうやら3人とも私の作戦に従ってくれるようだ。アヤに至っては何やら私に羨望の眼差しを向けている。
「じゃあそういう感じでよろしく! はい、作戦開始!」
私は明るく言い、アビスタイタンめがけて走り出した。
「ぎゅあおあああああああ!!!」
「ぎゅううあああああああ!!!」
私の接近に2体のキラースライムが反応し、叫びながら近づいてくる。そこにクールが割って入り、私の代わりに2体のキラースライムを迎撃してくれた。
「これでいいんだろアラーテちゃん! アビスタイタンを何とかしてくれ!」
「ありがとう!」
クールの言葉を背に、私は戦場を駆ける。
私たちが戦列を離れている間に、アビスタイタンが何度も召喚を繰り返したのか、戦場には尋常じゃない数のキラースライムが蔓延っていた。回避最優先で動いているものの、いかんせんキラースライムの数が多すぎる。
「「「ぎゅああああああ!!!」」」
複数のキラースライムが私めがけて同時に突っ込んできた。まずい、囲まれた、と思った瞬間、全てのキラースライムに眩い雷が直撃した。どうん、という鈍い音とともにキラースライムが撃退され、私が進むべき道が開かれる。
今のは魔法攻撃だ。アヤがジージとキュードに作戦を伝えてくれたのだろう。感謝の気持ちを胸に私はアビスタイタンに迫る。
走りながら周囲に視線を向ける。コヤ、リスト、クール、フィンの4人は、アビスタイタンの攻撃を回避しながらキラースライムを処理していた。
とにかくキラースライムを倒す、という役割を与えられて行動が明確になったからか、皆さっきよりも動きのキレがいい。
そして、アビスタイタンに対しては断続的に魔法攻撃が浴びせられているため、意識が分散しているためかアビスタイタンはまだ私の接近に気付いていない。
ここまでは作戦通りだ。しかし、本番はここから。私がタイマンでアビスタイタンと戦い、隙を作り出せるかどうかに全てが懸かっている。
「ふうう……」
走りながら私は呼吸を整える。
合気道。それは、相手の力を利用し、力を導くことによって相手のバランスを崩し、自分の力を活かして技をかける現代武道。
体格や体力は関係なく、相手を制することが出来る、とされている。つまり、私が合気道でアビスタイタンを制することも理論上は可能なはず。
いや、理論上がどうこうとかじゃなくてやるしかない! リストの、皆の命を守るために! 勝つために!
頑張れ、私! 頑張れ!
「私が相手だ!!! アビスタイタン!!!」
私は全力で叫んだ。びくっ、とアビスタイタンの体が震え、視線が向けられる。ようやく私の接近に気付いたのだろうか。
「ぐもおおおあああああああああ!!!」
咆哮とともに、アビスタイタンが2本の斧を繰り出してくる。恐ろしい攻撃だが、回避に全神経を集中すればぎりぎり避けられる。
「私はこっちだよっ!!!」
なんとか斧の攻撃を避け切り、私はアビスタイタンの背後をとるようにして移動した。さらに、挑発するようにアビスタイタンの足を何度も殴る。
「ぐもおおああああああああああ!!!」
挑発が効いたのか、アビスタイタンはぐるっとこちらを向き、無理な態勢からパンチを放ってきた。
体勢が崩れてる、今ならいける!!!
恐れるな、稽古を思い出せ!!!
戦え!!!
『アクアフィスト!!!!!』
私は絶叫し、左足を前に、右足を後ろにして半身の姿勢をとった。ぴんと背筋を伸ばし、両手を前にして構える。構えた両手が、青い水流に包まれて青く輝く。
アビスタイタンの拳が空気を切り裂く。力の流れを意識しながら私は両手でアビスタイタンの拳に触れ、瞬時に背中側へ入り身した。
そしてアビスタイタンの丸太のように太い手首を掴んだまま、流れるような動作で体を回転させる。
「せりゃああああああ!!!!!」
気合一閃、私は両手に力を込め、アビスタイタンの力を利用してぐっと両手を下げる。
刹那、アビスタイタンの巨体がくるっと回転し、宙を舞った。
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