姫君の憂鬱―悪の姫君と3人の王子共―

Chiyuki.

文字の大きさ
8 / 36
#クレイジー注意報!

Ep.7 なんなのこれは

しおりを挟む

―――
有名私立青藍高校に君臨する3人の王子様、H2O。

成績優秀、眉目秀麗、才色兼備、イケメン等々の名を欲しいままに、おまけにキャラ被りも無しときた。

クールにお色気、キュート系。

誰かしらが女子の心にクリティカルヒット、彼らを見て落ちない奴は女じゃない。

そんな彼らの前に現れたのは人間の形をした美少女(自称)!

どっかの星のお姫様らしいそれは、地球の男を娶ろうと画策していた!

迫る貞操の危機、どうなるH2O――――!!!

―――to be continued.

「ちょーっと待ったああああ!!!」

榛名聖の持っていたお手製紙芝居を思わずフルスイングで叩き落とす。

キテレツストーリーに、ついうっかり。

――っていうか“お手製紙芝居”って何?
ストーリー意味不明なクセに、やたら作画クオリティ高いんだけど。

てかもうどこからツッコんでいいのかわからないんだけど、とりあえず。

「美少女(自称)って何!
私は自他共に認める稀代の美少女なんですけど!?」

「あ、初めにツッコむのそこなんだぁ。」

「藤澤ちゃんブレないね~」と榛名聖からまばらな拍手を贈られた。ムカつく。


「人間扱いされてねーとこをまずツッコめよ、ブス。」

私の隣で紙芝居を見ていた金髪が、無謀にも噛み付いてきた。

「黙れキュート系。」

「誰がキュート系だ誰が!」

「えっ!まさか自分はクール系かお色気担当だと思ってたの?
ないわーまじないわー冗談は頭の程度と身長だけにしてよね。」

カーン!と気持ちよく戦いのゴングが鳴り響き、私とキュート系の間に大きな火花が散る。 

そもそもこのバカ金髪のどこがキュート系よ。ゴキブリの方がよっぽど可愛いわ。

その傍で、近江涼介が静かに散らばった紙芝居の1枚を拾い上げた。

「で、聖。わけわからねーこれはなんなわけ?」

追いつかないボケ満載のそれを「わけわからねーこれ」の一言で片付ける。

――ちなみに紙芝居に対して初のまともなツッコミである。

「ん~?女の子達のもっぱらの話題をわかりやすく纏めてみたんだけど、どうだった~?」

満足そうに脱力した笑みを見せる榛名聖。

何?今の女共はこんなキチガイな話題で持ち切りなの?


………クレイジーね………。


「あ、ちなみにドラマ性を持たせるためにかなり脚色加えちゃいました~⭐︎」

ふざけるなよ。

とても簡潔に要約すると、「みんなのアイドルH2Oに最近纏わり付いてる超絶美少女・藤澤姫くたばれ」って話だった。


「“超絶美少女”とか脚色入れんな。」

「ちょ、近江涼介、私の脳内に勝手に入ってこないでよね!」


なんなんだこいつは。エスパーか!

「何はともあれそんなわけで、ちょっと不穏な空気漂っちゃってるから藤澤ちゃん気を付けた方がいいかもね~?」

榛名聖が淹れたばかりの紅茶を啜りながら呑気な口調で不穏なことをさらり。

――てか、そんなこと言われなくてもわかってるし。

前からあったカミソリ付きラブレターに、校舎裏へのドッキリお呼びだしの数が尋常じゃないくらい増えたもんね。

もっとも、H2Oと行動する(一方的にくっついてるともいう)から直接攻撃は激減してるんだけどね。

奴らの前でリンチすれば嫌われるって自覚あるなら、影でもしなきゃいいのに。

女共の悪意に満ちた目を思い出して心が翳る。
胸糞悪くてムカついて、下唇がキュッと上げて顔を顰めた。

「ほんと、これだから女って大っ嫌い。」

「お前も女だけどな。」

無表情な近江涼介のツッコミに気が削がれてムッとする。
一瞬視線を彷徨わせてから、気を取り直して胸を張った。

「……そうだけど!私は群れないと何も出来ない奴らと違うもん。
何人かかってこようと1人でぶっ飛ばしてやるし!」
 
ふふーん、と手を腰に当てる。金髪に心底引いた目で見られた。

「むしろその群れを蹴散らす勢いじゃねーか。」

「うるさいチビ。」

「あっそ」と無機質な返しをする近江涼介をよそに、またも戦いの火ぶたは切って落とされようとしていた――!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】純血の姫と誓約の騎士たち〜紅き契約と滅びの呪い〜

来栖れいな
恋愛
「覚醒しなければ、生きられない———       しかし、覚醒すれば滅びの呪いが発動する」 100年前、ヴァンパイアの王家は滅び、純血種は絶えたはずだった。 しかし、その血を引く最後の姫ルナフィエラは古城の影で静かに息を潜めていた。 戦う術を持たぬ彼女は紅き月の夜に覚醒しなければ命を落とすという宿命を背負っていた。 しかし、覚醒すれば王族を滅ぼした「呪い」が発動するかもしれない———。 そんな彼女の前に現れたのは4人の騎士たち。 「100年間、貴女を探し続けていた——— もう二度と離れない」 ヴィクトル・エーベルヴァイン(ヴァンパイア) ——忠誠と本能の狭間で揺れる、王家の騎士。 「君が目覚めたとき、世界はどう変わるのか......僕はそれを見届けたい」 ユリウス・フォン・エルム(エルフ) ——知的な観察者として接近し、次第に執着を深めていく魔法騎士。 「お前は弱い。だから、俺が守る」 シグ・ヴァルガス(魔族) ——かつてルナフィエラに助けられた恩を返すため、寡黙に寄り添う戦士。 「君が苦しむくらいなら、僕が全部引き受ける」 フィン・ローゼン(人間) ——人間社会を捨てて、彼女のそばにいることを選んだ治癒魔法使い。 それぞれの想いを抱えてルナフィエラの騎士となる彼ら。 忠誠か、執着か。 守護か、支配か。 愛か、呪いか——。 運命の紅き月の夜、ルナフィエラは「覚醒」か「死」かの選択を迫られる。 その先に待つのは、破滅か、それとも奇跡か———。 ——紅き誓いが交わされるとき、彼らの運命は交差する。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

嫌われ公女に転生したけど、愛されたい願望を捨てたら全員がデレてきた

桃瀬さら
恋愛
嫌われ公女ナディアは、婚約破棄され学園で孤立し、家族からも見放されていた。 どれほど努力しようが周囲からは「嫌われ公女」と蔑まれ、誰も味方なんていない。 「もういい。愛されたいなんて、くだらない」 そう心に誓った瞬間から、状況が一変した。 第二王子が婚約破棄を撤回し跪き、寡黙な騎士団長が「君を守りたい」と熱く迫ってくる。 そして、冷ややかな兄まで「婚約など認めない。家を出ることは許さない」と……。 愛されることを諦めた途端、なぜか執着される。

処理中です...