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12話 ハミルトン家へ 1
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「お父様、冷静になって考えてください。オデッセイ様が何をしたのか……」
「私は冷静に考えているぞ? 何を言っているんだ?」
絶対に冷静ではない……ランバーも同じ気持ちなのか、私の隣で頷いているし。
「父様、あの男はエルミナ姉さまのことを侮辱しているも同然です。そんな男に謝罪なんて……私はしたくありません」
「ランバー、わがままを言うんじゃない! お前が投げ飛ばしたから、オデッセイ様はさらにお怒りになったのだぞ? 侯爵令息であるあのお方が本気になれば、私達、子爵家など簡単に没落させられてしまうのだ!」
「お父様……」
地位の差は確かに大きいけれど、冷静に考えて侯爵家が子爵家を没落させる、権限なんて持っているはずがない。でもそれを、今のお父様に言っても無意味だと思えた。
「姉さま、ここはやはり……」
「そうね、分かっているわ」
「ん? どうかしたのか? とにかく、後日、謝罪に向かうからな」
完全にお父様は蚊帳の外になっていた。私とランバーは話の分からないお父様を、居ないものとして扱っているのだ。私達が助けを求める相手は別にいるのだし……。
「行きましょう、姉さま。ローレック・ハミルトン公爵令息の元へ」
「そうね、ランバー」
------------------------
「な、なんだと……!? そんなことが……?」
その翌日、私とランバーの二人はローレック様の所へ向かった。そして、面会を承知してくれた彼に、オデッセイのことを全て話したのだ。お父様が非常に頼りなかった点も含めて……。
「そうか……大変だったな、二人とも。それに、父君であるザラス殿やレイシャ夫人もオデッセイ殿の味方のようなものなのか……」
「はい、お父様もお母様も家を守る為とはいえ、ランバーに謝罪させる方向で調整しております。それから……イリヤ姉さまと私を交代させることも承諾しているので」
「交代、というのは再びオデッセイ殿とエルミナが婚約する、ということだな?」
「そういうことになります」
その事実を確認すると、ローレック様の表情は以前のように変化し始めた。ランバーも同じような顔つきになっているけれど、ローレック様のそれは桁が違う。本気で怒ってくれているようだ。
「よく話してくれたな、二人とも。エルミナには以前にも言ったが、良く頼ってくれた。私に出来ることであれば、何でも協力させてもらおう」
「ありがとうございます……! ローレック様!」
「ありがとうございます」
「ふふふふふ、話は聞かせてもらったぞ?」
あれ? 聞き覚えのない声が聞こえて来た気がする……ローレック様が話しているわけじゃないし。部屋の入り口から聞こえて来たものだ。私達が振り返るとそこには……。
「父上……聞かれていたのですか?」
ローレック様が父上と呼ぶ人物は1人しか居ない。アルフォンス・ハミルトン公爵がそこには立っていたのだ。ハミルトン家の当主を務め、全ての貴族の頂点とも噂されているお方だったりする。
「私は冷静に考えているぞ? 何を言っているんだ?」
絶対に冷静ではない……ランバーも同じ気持ちなのか、私の隣で頷いているし。
「父様、あの男はエルミナ姉さまのことを侮辱しているも同然です。そんな男に謝罪なんて……私はしたくありません」
「ランバー、わがままを言うんじゃない! お前が投げ飛ばしたから、オデッセイ様はさらにお怒りになったのだぞ? 侯爵令息であるあのお方が本気になれば、私達、子爵家など簡単に没落させられてしまうのだ!」
「お父様……」
地位の差は確かに大きいけれど、冷静に考えて侯爵家が子爵家を没落させる、権限なんて持っているはずがない。でもそれを、今のお父様に言っても無意味だと思えた。
「姉さま、ここはやはり……」
「そうね、分かっているわ」
「ん? どうかしたのか? とにかく、後日、謝罪に向かうからな」
完全にお父様は蚊帳の外になっていた。私とランバーは話の分からないお父様を、居ないものとして扱っているのだ。私達が助けを求める相手は別にいるのだし……。
「行きましょう、姉さま。ローレック・ハミルトン公爵令息の元へ」
「そうね、ランバー」
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「な、なんだと……!? そんなことが……?」
その翌日、私とランバーの二人はローレック様の所へ向かった。そして、面会を承知してくれた彼に、オデッセイのことを全て話したのだ。お父様が非常に頼りなかった点も含めて……。
「そうか……大変だったな、二人とも。それに、父君であるザラス殿やレイシャ夫人もオデッセイ殿の味方のようなものなのか……」
「はい、お父様もお母様も家を守る為とはいえ、ランバーに謝罪させる方向で調整しております。それから……イリヤ姉さまと私を交代させることも承諾しているので」
「交代、というのは再びオデッセイ殿とエルミナが婚約する、ということだな?」
「そういうことになります」
その事実を確認すると、ローレック様の表情は以前のように変化し始めた。ランバーも同じような顔つきになっているけれど、ローレック様のそれは桁が違う。本気で怒ってくれているようだ。
「よく話してくれたな、二人とも。エルミナには以前にも言ったが、良く頼ってくれた。私に出来ることであれば、何でも協力させてもらおう」
「ありがとうございます……! ローレック様!」
「ありがとうございます」
「ふふふふふ、話は聞かせてもらったぞ?」
あれ? 聞き覚えのない声が聞こえて来た気がする……ローレック様が話しているわけじゃないし。部屋の入り口から聞こえて来たものだ。私達が振り返るとそこには……。
「父上……聞かれていたのですか?」
ローレック様が父上と呼ぶ人物は1人しか居ない。アルフォンス・ハミルトン公爵がそこには立っていたのだ。ハミルトン家の当主を務め、全ての貴族の頂点とも噂されているお方だったりする。
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